夏目坂珈琲 バリスタ・モデル Eunsang You×津和野
目当てはあっても予定は詰めない、気ままな巡礼旅
バリスタ兼モデルのウンサンさんは韓国から東京へ移り住んで8年。日本はローカルの個性が際立っていると語り、ここ数年で特に印象的だったのは島根県の津和野町だそう。
「お気に入りのテレビ番組『日曜美術館』で、津和野町に絵本作家の安野光雅さんの美術館があると知りました。古い絵本をよく買うのですが安野さんも好きな作家の一人。温かく繊細な絵で、代表作の『旅の絵本』シリーズはとてもかわいい」
早朝の新幹線で新山口まで。さらに一日8本のみ走る各駅停車に揺られること1時間半。お昼頃には到着できるそう。
「駅の向かいにある安野光雅美術館に直行しました。館内に入るとお客さんはまばらで非常に静か。代表作の『ふしぎなえ』や『旅の絵本』の原画と対面して早速、感動してしまった。美術館には1000点以上の作品と一部の原画が収蔵され、自分のペースで絵と向き合えたのも贅沢。都会の美術館ではできない経験です。
気づけば数時間がたち、地元の旅館を探してチェックイン。
翌日は気持ちいい朝日で目覚め、池の鯉に餌をやり、当てもなく散策。
すると…お椀のように広がる青野山、瓦屋根の家屋の町並み、山麓のお寺、煙を立てながら橋の上を走る蒸気機関車、行く先々が絵本に描かれていた風景。美術館が目当ての旅でしたが図らずも聖地巡礼になったんです。彼が育った土地の景色、すべてが幻想的に感じられて特別な旅になりました」