寝ても覚めても、タスクに追われる。気づけば一日が終わってしまう。仕事の暗い波に漂うあなたを、灯台のような光で案内する書籍。
『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』
デヴィッド・グレーバー著
酒井隆史・芳賀達彦・森田和樹訳
ホワイトカラーの職にある者が、自身の職務内容に意義や必要性を見いだせない…資本主義社会に秘かに蔓延する仕事のありようを見事に喝破した話題の書。多くの労働者たちから寄せられた“声”が響き合い、理論が“自由”を後押しする、ポリティカルな本でもある。¥4,070/岩波書店
『仕事と人間 70万年のグローバル労働史』(上・下)
ヤン・ルカセン著
塩原通緒・桃井緑美子訳
狩猟採集の時代から、デジタル化の現代まで。欧米のみならずアジア圏なども視野に収め、仕事の歴史をつまびらかにする快著だ。自営労働から賃金労働へ移行・依存し自主性を奪われた労働者の意欲を、雇用主が起こさせようとするくだりは、涙なしでは読めない。(各)¥3,200/NHK出版
『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか バーンアウト文化を終わらせるためにできること』
ジョナサン・マレシック著
吉嶺英美訳
燃え尽きて辞した大学教授の職。一方での駐車場の係員としての労働。後者のほうが「良かった」と著者が言うのはなぜか? 自身の体験を礎に、バーンアウト文化形成に至る歴史を丹念にひもとき、修道院や非営利団体といったオルタナティブな動向を描く、真摯な一冊。¥2,420/青土社
『迷うことについて』
レベッカ・ソルニット著
東辻賢治郎訳
思慮深い文章で人気の著者が、思い出も世界史も哲学的議論もやわらかく編み合わせて、「迷う」ことを思索する。読めば目的に縛られた心持ちが、ふっと変わるはず。「忘却ではなく手放す技法が肝要なのだ。すべてが剝がれ落ちたとき、手のなかには潤沢な喪失がある」。¥2,640/左右社