北陸新幹線が敦賀まで延伸することで一躍注目を浴びているのが福井だ。どこ? 地味? いやいや。一度も福井を訪れたことがないという人にこそ言いたい。福井はおいしくて楽しいってことを。
東京から福井が近くなる!
東京→金沢→小松→加賀温泉→芦原温泉→福井→越前武生→敦賀
3月16日に金沢駅から敦賀駅まで延伸される北陸新幹線。東京〜福井間は最短2時間51分で結ばれ、乗り換えの手間がなくなり36分短縮される。
1|「曹洞宗・大本山永平寺」で禅の世界を知る
曹洞宗を代表する禅寺が福井に。33万㎡という広大な敷地に70を超える堂があり、そのうち19が国の重要文化財に指定されている。およそ800年もの歴史に圧倒されながら「禅」の空気を肌で感じたい。
曹洞宗の大本山永平寺は道元禅師が寛元2年(1244年)に開創した禅の修行道場。現在も全国から多くの修行僧が集まり、厳しい修行の日々を送っている。
傘松閣(さんしょうかく) 156畳もの広間の天井には花や鳥などを描いた230枚の絵が。これらは昭和5年当時の高名な画家たちによるもの。別名「天井絵の大広間」。
長い階段 永平寺で最も古いのが1749年に再建された永平寺玄関にあたる山門。修行僧はそこを通って入門する。その横には法堂(はっとう)へと続く長い階段がある。
法堂 永平寺の伽藍の配置はすべて意味があるのだが、最も高い場所に位置するのが法堂でほかの寺院では本堂に相当する。朝のお勤めや法要が行われる広い堂内の中央に本尊「聖観世音菩薩」が祀られている。
親禅の宿柏樹關(はくじゅかん) 旅館と宿坊の中間というコンセプトで坐禅体験も。
香湯 永平寺の修行僧は香木を煮出した香りの高い湯で身を清めており、特に神聖な行事前の入浴は「香湯沐浴」と呼ばれている。柏樹關内の大浴場では永平寺と同じ成分・分量の配合の香湯に浸かることができる。
大本山永平寺
福井県吉田郡永平寺町志比5-15
TEL:0776-63-3102
開門時間:8時30分~16時30分
無休
2|世界三大「恐竜博物館」で童心にかえる
実は福井は恐竜の化石の産地。勝山市にある「県立恐竜博物館」はカナダ、中国と並んで世界三大恐竜博物館と称される。50体の恐竜全身骨格標本や巨大ジオラマなどの恐竜だらけの空間は、大人も十分に楽しめる人気スポット。
恐竜にまつわる展示品のほかに、黒川紀章設計の建築にも注目。入り口から各階に延びるエスカレーターと階段は恐竜の骨格をイメージしている。
昨年7月オープンの新館では化石のクリーニングなどの研究体験も。
福井県立恐竜博物館
福井県勝山市村岡町寺尾51-11
TEL:0779-88-0001
開館時間:9時~17時
休館日:第2・第4水曜日
3|日本のポンペイ「一乗谷朝倉氏遺跡」で戦国時代を追体験
織田信長に敗れた朝倉氏は滅び城下町も焼き尽くされた。町の存在は忘れ去られやがて土の下に。400年後当時のままの遺跡が発掘され大きなニュースに。博物館の展示で当時の様子がわかる。
応仁の乱で活躍し越前国を手にした朝倉氏。館が置かれた一乗谷は5代103年間にわたって越前国の中心地として栄えた。京の都との文化交流も盛んで「北陸の小京都」と呼ばれていた。
復元された町並みを見ると整然と区画されており、当時の文化的な暮らしの様子が垣間見える。
一乗谷朝倉氏遺跡(復原町並)
福井県福井市城戸ノ内町
TEL:0776-41-2330
開館時間:9時~17時
復原町並以外の場所は無料
無休
※一乗谷朝倉氏遺跡博物館の情報はHP等で確認を
4|酒蔵発の新スポット「ESHIKOTO」で地酒に舌鼓
福井を代表する蔵元「黒龍酒造」による食と文化の複合施設。店舗前のデッキから見えるのは九頭竜川と山々。九頭竜川はかつて黒龍川と呼ばれ、川の伏流水は創業以来酒造りの際の仕込み水として使われている。
ここでしか購入できない「永」シリーズを求めて足を運ぶ客も多い。オリジナルの製法で造られた酒は、飲んだ瞬間の力強さと、すっきりとした味わいが印象に残る。
「永」は福井生まれの酒米「さかほまれ」を贅沢に使った純米大吟醸酒。店舗限定の日本酒もありテイスティングや購入ができる。
石田屋ESHIKOTO店
福井県吉田郡永平寺町下浄法寺12-17 酒樂棟2階
TEL:0776-63-1030
営業時間:10時~17時
定休日:第1・3・5火曜、水曜
※入場は20歳以上
5|個性豊かなローカル線で縦横無尽に福井を旅する
私鉄が2社3路線と充実しているがJRも負けていない。福井駅からは越美北線、敦賀駅からは小浜線と、鉄道ファンに人気のローカル線が二つも走り、小さな旅を手軽に味わうことができる。
JR西日本・越美北線
朝倉氏遺跡がある一乗谷駅を走る越美北線は、もともと福井と岐阜を結ぶ予定だった。落ち着いた車両カラーは地元特産の笏谷石の色になぞらえ「笏谷ブルー」と呼ばれ愛されている。
九頭竜湖駅までの55キロを結ぶ越美北線の1日の運行本数は約9本。3月には、駅周辺で購入できる、御朱印を集めるための「御朱印帳」を発売予定。
えちぜん鉄道・勝山永平寺線
えちぜん鉄道の勝山永平寺線では恐竜のラッピングが施された車両も。
福井鉄道・福武線
「フクラム」の愛称で親しまれる福武線は路面電車が鉄道線も走行するのが面白い。