切れ味の良さ、美しいフォルム、メンテナンス性の高さを兼ね備えたグッドデザインな包丁として人気の「GLOBAL」。実は世界各国で定番として愛される「GLOBAL」と、日本の食文化に特化した新定番「GLOBAL-IST」の2つのラインがあるのをご存知だろうか? それぞれの特徴を見ていくとともに、改めて「GLOBAL」シリーズの魅力を探っていこう。
定番「GLOBAL」と新定番「GLOBAL-IST」。選べる2つのシリーズ
「GLOBAL(グローバル)」「GLOBAL-IST(グローバル・イスト)」の両シリーズは共に新潟県燕市を拠点とし、カトラリーなど洋食器の金属加工メーカーとして出発した「吉田金属工業」のブランド。1983年に誕生した「GLOBAL」シリーズの、ハンドル部分までオールステンレス包丁という斬新な発想は、吉田金属工業がもともと製造していたステーキナイフから生まれた。デザインはプロダクトデザイナーの山田耕民氏が担当。アイコニックな黒いドットパターンを施したハンドルのモダンなフォルムが特徴的だ。その斬新さゆえに当初は日本市場でなかなか受け入れられなかった「GLOBAL」シリーズの人気に火がついたのは海外から。ドイツの国際見本市への出展を機に、切れ味の良さ、美しいフォルム、メンテナンス性の高さが高く評価されることとなった。海外人気を受けての逆輸入的な形で日本国内でも1990年代後半から人気が高まり、今では包丁の定番的な存在となっている。
「GLOBAL-IST」シリーズが誕生したのは2016年。日本の食文化に特化した形で洋包丁、和包丁合わせて6種を厳選してラインナップする、国内限定販売モデルだ。「GLOBAL」シリーズ同様に、ハンドル部分まで同じ鋼材を使用したオールステンレス包丁だが、ハンドルの形状は伝統的な和包丁の形状に近いオーセンティックなものになっており、ドットパターンには黒い塗装が施されていない。また「GLOBAL」シリーズと比較してよりエッジのたった鋭い刃付けによる、切れ味の鋭さを体感できるのも「GLOBAL-IST」シリーズの特徴で、新たな定番として人気が高まっている。
基本の1丁で比較する「GLOBAL」と「GLOBAL-IST」
定番|GLOBAL GS-3 ペティーナイフ 13cm
[右]1983年の「GLOBAL」デビュー当時からロングセラーを続けている、シリーズを代表するモデルがこの「GS-3 ペティーナイフ 13cm」。個性的で美しいハンドルのフォルムに目を奪われるが、実際に握ってみると驚くほど手に馴染み、見た目だけを優先したデザインではないことが実感できるはず。コンパクトなサイズは、小回りが効いて扱いやすいのはもちろん、キャンプなどに持っていくのにも重宝するから文化系アウトドア男子にもおすすめの一丁だ。
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新定番|GLOBAL-IST IST-01 万能19cm
[左]「GLOBAL-IST」シリーズの軸となるモデル「IST-01 万能19cm」。万能包丁である三徳の形状をベースに牛刀の先端の鋭さを加味することで、さまざまな食材、切り方のバリエーションに対応。オーセンティックな和包丁の形状に近いハンドルは、自然と手に馴染む「GLOBAL」シリーズに対して、よりしっかりグリップ感がある。握った感触が両シリーズで明確に異なるので、店頭で実際に試してみるのをおすすめしたい。「GLOBAL-IST」シリーズのドット柄には黒い塗装が施されていないのも「GLOBAL」シリーズとの違いだ。
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両シリーズの「パン切り」、それぞれの得意分野を比べてみた!
定番|GLOBAL G-9 パン切り 22cm
世界中で人気を博している「GLOBAL」ブランド標準のパン切りが「G-9 パン切り22cm」。バゲットやカンパーニュなど、表皮の硬いハード系のパンを、大きな波刃を活かしてザクザク切るのを得意としている。なお「GLOBAL」ブランドにはもう一本、やや小ぶりな刃渡り16cmの「ベーグル/サンドイッチナイフ」もラインナップされており、食卓での切り分けに最適。小さめなので、女性や子供でも扱いやすく、家族で使うならこちらもおすすめだ。
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新定番|GLOBAL-IST IST-04 パン切り 20cm
ヨーロッパにはあまりない、日本ならではのふわふわの食パン。トレンドの高級生食パンを含めたソフトタイプのパンも切りやすいように開発されたのが、「GLOBAL-IST」シリーズの「IST-04 パン切り20cm」。「GLOBAL」シリーズのパン切りに比べて緩やかな波刃により、ソフトタイプのパンを優しくカットできるのが特徴。もちろんハード系のパンが苦手ということはなく、裏面からも軽く刃をつけて、鋭い切れ味と切った断面の美しさを実現している。
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プラスもう一本を選ぶなら?
定番|GLOBAL GS-10 チーズナイフ 14cm
チーズを切ること、中でもソフトタイプのチーズ専用に設計されたこだわりの一丁が「GS-10 チーズナイフ 14cm」。刀身に空いた大きな窓は、切った際にチーズがべったりと刀身についてしまうのを防ぐため。そして切っ先の形状はフォークの代用になるように考えられたもの。ワインとチーズにこだわったら、チーズを切り分けるナイフにもこだわる。ホームパーティやグループキャンプでさりげなく登場させれば、注目を集めること間違いなしだ。
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新定番|GLOBAL-IST IST-05 小出刃 12cm
日本の食文化と「魚」は切っても切り離せない。最近は釣りも大人のレクリエーションとして人気上昇中だが、せっかくなら釣った魚を自分で捌けるようになりたいもの。そんな人におすすめなのが「GLOBAL-IST」シリーズの「IST-05 小出刃 12cm」だ。世界標準の「GLOBAL」シリーズは両刃の包丁だが、こちらの小出刃は魚の捌きや身下ろしに使用する片刃の本格的な和包丁。片刃の場合は利き手によって異なる刃付けの包丁を使用することになるが、左利き用は見つかりづらかったり、右利き用より価格が高くなったりすることが多いが「GLOBAL-IST」シリーズでは同価格でラインナップされているのもうれしいポイントだ。
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全15種類と豊富なラインナップから選べる「GLOBAL」。精鋭6丁の「GLOBAL-IST」
ここまで定番の「GLOBAL」、新定番の「GLOBAL-IST」各シリーズでそれぞれおすすめの3丁を紹介してきたが、他にも豊富なラインナップが揃っている。とくに「GLOBAL」シリーズはなんと全15種類! 国外で圧倒的な人気を誇る欧米の万能包丁「G-2 牛刀 20cm」、野菜専用包丁の「G-5 菜切り 18cm」、極薄でしなる刀身で、超薄切りのスライスも簡単にできる「GS-11 フレキシブルナイフ 15cm」、ペティーナイフと並ぶ1983年当時からのベストセラー「G-4 文化 18cm」はその中でも是非試してみたい4丁だ。
精鋭6丁で日本の食生活全てに対応する「GLOBAL-IST」。先に紹介した3丁以外には、皮むき、野菜の面取り、フルーツの飾り切りなどを正確かつ快適に行える「IST-03 皮むき 8cm」、スリムで伸びやかな刀身が男性から人気の刺し身を引くための「IST-06 柳刃 24cm」、「IST-01 万能 19cm」と食材の大きさに合わせセットで使い分けたい「IST-02 小型 15cm」をラインナップしている。
もちろん「GLOBAL」シリーズと「GLOBAL-IST」シリーズを、用途に合わせて組み合わせて使ってもいい。これまで以上にツールにこだわることで、料理の楽しみもさらに広がるはずだ。
Stylist:Fumiko Sakuhara