在宅勤務を続けるUOMOの編集者たち。愛用する私物を自宅から紹介!
UOMO本誌で「美女標本箱」なる連載を毎号担当しております。読者のみなさんならもちろんご存じだと思いますが、毎回、旬な美女を写真家・篠山紀信が切り取る連載ページ。篠山さんといえば、もちろん「女性」を被写体にした数々の写真が有名ですが、その被写体は女性に限らず、さらに人に限らず、森羅万象あらゆるものをおさめた名作写真集も数多く手がけています。
これは「写真家としての転機になった」と、自身でも常々語っている『オレレ・オララ』(集英社/1971年)。若き日の篠山さんが地球の裏側のブラジルに行きリオのカーニバルの熱狂を撮影した写真集。踊り狂うカーニバルの人々、ビーチで戯れる水着の女性、空撮でとらえたリオの街並みと、それらの生々しい姿をこれでもかとレンズにおさめた熱量の高い一冊。当時、予算がなかった(?)関係で、ページがいわゆる“ザラ紙”になったという話ですが、その印刷の粒子感やページをめくるごとのラフな手触りも、灼熱のリオをよりエネルギッシュに伝えくれるような気がします。その最終頁(写真2枚め)。ページはしのコピーには「篠山紀信。30歳。極めて健康!!」の一文が。 『家』(潮出版社/1975年・写真3枚め)も初期の代表作で、日本全国80軒にのぼる民家(廃墟も含む)を、静かに、それでいて力強く写したもの。当時の軍艦島や郷ひろみ邸、有形文化財に登録されている上野の銭湯「燕湯」などがおさめられているのも、とても興味深い。しかも価格はなんと30,000円!? ダイナミックな装丁、ズッシリとした重みからも、溢れんばかりのパワーを感じます。
3冊めは、ルイ・ヴィトンが毎年発行しているフォトブック『ファッション・アイ』シリーズで、初の日本人として出版した『シルクロード by 篠山紀信』(2018年・写真4枚め)。1980年代に中国、パキスタン、アフガニスタン、シリアなどを巡った写真集の膨大なアーカイブから再編纂。戦禍の犠牲となり今ではもう存在しない建造物、場所もたくさんあるという、歴史的記録写真としても価値のある一冊です。 …と、過去の名作アーカイブを数えだしたらキリがないですが、何より篠山さんのすごいところは、1960年代から今日も変わらず、時代の「今」を自らのカメラで切り取り続けているところ。発売中のUOMO6・7月合併号でも、連載でまた一人新たな美女の魅力をページに焼き付けているので、ぜひ注目を(写真5枚め)。ファインダーをのぞくその姿は、令和になった今でも「極めて健康」そのものです。
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