在宅勤務を続けるUOMOの編集者たち。愛用する私物を自宅から紹介!
ずいぶん俺も板についてきた…と悦に入っていたが、我が家にはすでにリモートワークの先達がいた。「Roomba e5」。ルンバだ。いやルンバ先輩だ。スマートフォンに専用アプリをダウンロードすれば、離れた位置から(ベッドに寝そべったままでも)起動できる。これは楽。家事では掃除機がけがトップクラスに嫌いで、コードレスタイプを初めて手にしたときも感動したものだけれど(むしろコードレス電話機に触れたときよりも)、手で持つどころかそばにいる必要すらないなんて。傘とはえらい違いだ。 「ルンバ」は、ご存じアイロボット社のロボット掃除機。発売当初から「ロボット」だった。ロボットには無機的で冷たい印象を抱く人もいるかもしれない。自分も長い間購入に踏み切れなかったのは、性能に懐疑的だったのもあるが、それ以上に(矛盾するようだが)家事を「手抜き(合理化)」することへの罪悪感があったから。またロボットを手放しで迎え入れられないのには潜在的な刷り込みもあると思う。「ロボット」の言葉を世に広めたとされるカレル・チャペックの著作『ロボット』では、ロボットが一斉に蜂起・反乱して人類抹殺を画策する。人類が支配されるパターンもある。アトムはよく知らないが、『火の鳥』では巨大コンピュータが日常生活の意思決定権を握り、核戦争への引き金を引くシーンがあった。アニメ『PSYCHO-PASS』の「シビュラシステム」も同様の設定。どちらのパターンも類型の枚挙に暇がない。
ルンバのホームページを見ると利点ばかり喧伝されるが、個人的にはむしろちょっとダメなところこそ打ち出すべきだと思う。自分の好きなロボットは、『キテレツ大百科』のコロ助や『21エモン』のゴンスケ、『丸出ダメ夫』のボロット…要は「ポンコツ」ばかり。だがそこが愛らしい。「ルンバ」はもちろんポンコツではない。でも愛すべき短所もある。部屋の広さや形状を自ら判断して学習するというが、うちのルンバ先輩(清掃歴28回)には、まだその兆しがない(学習効果に気づけていないだけかもしれない)。同じところをぐるぐる回っている。丸い体躯であることをいいことに壁や家具にはぶつかり放題。コンセントのコードや段差に引っかかるたび助けを求めてくる(文字通り、スマホのアプリ画面に「ルンバが助けを求めています」と表示される)。 写真は窓際を掃除中の先輩(一枚目)。どこか哀愁を帯びて見える。そうか先輩も外に出たいのか。コロナ禍への義憤も感じる。ソファの下など狭いところも自在に動き回る(二枚目)。静止画だと、実際以上に高速回転でドヤって見える先輩(三枚目)。が、直後あっさりケーブルに足を取られて動きを止める先輩(四枚目)。ひとしきりルームスリッパを弄んだ挙句、無情に置き去りする光景も(五枚目)。部屋の角を前に呆然と立ち尽くす先輩(六枚目)。ロボットも万能ではない。最後は、二時間にわたる任務を終え「ホーム」に帰還。「充電開始」を示す赤いランプが柔らかく明滅する。すう…すう…。寝息のようだ(すべて個人の実感に基づきます)。
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