在宅勤務を続けるUOMOの編集者たち。愛用する私物を自宅から紹介!
外出自粛要請のもと何の時間が増えたかといえば、圧倒的にマンガを読む時間だ。安達 哲は、自分と同じ名前の漢字が入っていることもあり贔屓にしている。40歳男子の世代では『さくらの唄』が有名かもしれない。自分も好きだ。だけどそれ以上に『バカ姉弟』(講談社)はずっと好きだ。舞台は豊島区巣鴨。ご存じ「おばあちゃんの原宿」。巣鴨は自分にとっても思い出の場所。学生時代に好きだった本上まなみに会えるかもしれない(彼女のエッセイで、時々遊びに行っていると知った)という淡い期待もあり、入社後2年間住んでいた。本作はバカ姉弟こと地主御寧莞(おねい)&純一郎の双子(推定3歳)をめぐる人情物語。多忙で不在がちの両親にかわって、街の人々のあたたかな愛情に囲まれてふたりは育っていく…のだが、その愛情に必ずしも愛情で返してくれない。大人が思うように、心を許してくれず、容易にかわいがらせてくれない。気ままで自由。野生動物のようだ。そこがいい。作家の安達 哲は相当な寡作で知られる。『総天然色バカ姉弟』にタイトルを改めた新刊が2016年に発売されたが、帯にあるとおり、前巻(『バカ姉弟』5巻)発売時から10年近くがたっている。「遅筆作家」の代名詞で冨樫義弘がいるがまだかわいい方だ。長い。10年は長すぎるよ……。でも待てる。好きだから。何年かかってもどんな形でもいいから、ずっと描き続けてほしい(なお『総天然色バカ姉弟2巻』は1巻から2年の間隔をおいて発売されている)。巣鴨地蔵通り商店街は4のつく日は縁日が開かれ、「普段はどこで何を?」と思えるほどの老人が大挙して押し寄せ、巣鴨の街全体も大賑わいをみせる。そんな思い出の商店街も今はコロナ禍で閑散としてるかと思うと胸が痛む。一刻も早い終息が待たれる。本上まなみにも会えてないし。
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