釣りにハマると、自分に合った好みのスタイルができてくる。川か海か、近郊か遠方か…。心底釣りに魅せられてしまった男たちがごく私的な視点で楽しさを語る。
釣りの楽しさを言葉で伝えていきたい
平野太呂さん
(48歳/写真家)
釣り歴
ヘラブナ釣り38年
スポット
川や湖など
小学生でヘラブナ釣りを始めて約40年。船釣りやフライフィッシングなどもするが、軸には今でもヘラブナ釣りがある。
釣り好きを発信したくて、釣りの同人誌まで作ってしまった
写真家の平野太呂さんは、実はスケートボードを始める前から、釣りに熱中していたそうだ。最初にハマったのは、ヘラブナ釣り。
「周りでヘラブナ釣りをする人が高齢のおじさんばかりなので、昔から少し肩身の狭い思いをしていました。でも最近、長野県茅野市にあるスケートボードショップの店主がヘラブナ釣りをしているとの噂を聞きつけ現地で話を聞いたら、若いスケーターも巻き込み、今では10人程度のヘラブナ釣りのコミュニティで活動しているとのこと。30年以上たって、やっとスケートボードとヘラブナがクロスオーバーしました(笑)」
そして現在、平野さん自身が仲間と立ち上げた、釣りの同人誌「off the hook」がファッション業界でも話題を呼んでいる。
「きっかけは、ネペンテスの青柳徳郎さんを取材したことでした。実は青柳さんもヘラブナ釣りの経験があり、話を聞いているうちに“あ~釣りの楽しさってそういうことだよな”と共感。釣りの感覚的な話をもっと釣り人に聞いてみたい…と強く感じたんです。自分はカメラマンですが、釣り、ましてやヘラブナ釣りを発信するには写真ではなく、言語化するのが最適だと思ったんですよね。こういった形なら自分が“釣り好き”を発信しても大丈夫だな…と。同人誌では釣り関連で有名な方や、世間に釣り好きと知られていない方にも寄稿してもらっています。釣りの楽しさはもちろん、魚に感情を揺さぶられる体験が共有できるような同人誌に仕上がったと思います」
釣り座を確保し、ヘラブナ釣りに興じる平野さん。ヘラブナは繊細で捕食動作も独特であるため、釣るのが難しい魚種。練り餌の配合や柔らかさ、その日の棚(魚が泳ぐ水深)なども釣果に影響する。
こちらは発売中の「off the hook」の2冊目。ともに立ち上げたデザイナーの中村圭介さん、ライターの村岡俊也さん、そして平野さんのほか、ゲスト3名の釣り好きが寄稿して構成。全5冊を刊行予定で、ウェブショップ(https://offthehookstore.stores.jp/)で購入可能。
Text: Yasuyuki Ushijima