健康志向の高まりとともにランニングライフを再開したり、そろそろ走らなければと危機感を抱く大人が増えた。またアウトドアやキャンプブームの流れでトレイルラン人気も高まるばかり。そう、今やランニングムーブメントは次のフェーズに突入。大人がもう一度楽しく走る方法を、識者たちの語りとともに考える!
道なき道を走るトレイルランには、心を満たす喜びが詰まっている
それまで運動歴のなかった僕が山を走り始めたのは2010年。UTMBというモンブランで開催されるトレイルランニング大会のドキュメンタリー番組をたまたま見て、身体に電気が走ったと言いますか、普通の仕事をしている市民ランナーたちがボロボロになりながらも諦めずに前に進み続ける姿にすごく心を打たれまして、これは僕もやらなくてはと思い、いきなり奥多摩の17㎞レースに出てみたんです。走り終えた瞬間、正直これはもう二度と無理だと(笑)。なのに、不思議と翌日になると登りきった先にある景色の美しさやフィニッシュした喜びなんかがじわじわ心の中に湧いてきて、3日後には次のレースを探していましたね。またそれから2年後にはモンブランにも行きました。都会で暮らす僕にとって山を走る行為は手軽とは言えません。だからこそ、そこで味わえる非日常感に心を洗われます。自然の中を走る気持ちよさやワクワクから、走りきったときの達成感、現地に向かうまでの旅気分まで、トレイルランには僕らが求める喜びの要素が凝縮されているんですよ。そしてけっして飽きることがありません。なぜなら同じ山は二つとしてないから。僕は一生付き合っていくでしょう。走れない年齢になったら形を登山に変えて。
渋井勇一(RASSLIN,&CO.代表)
アートディレクター・グラフィックデザイナー。自身のトレイル人生とリンクさせたブランドMOUNTAIN MARTIAL ARTSを運営。
走るための準備からワクワクできる
新しいギアで気分を上げる
カラフルなウェアが多い中、あえてシックなトーンで大人なムードを演出!?
Photos:Shunya Arai[YARD] Yuichi Sugita
Hair:AMANO
Stylist:Shuhei Yoshida
Models:Eddie Kou Nils Philipp
Composition&Text:Kai Tokuhara