在宅勤務を続けるUOMOの編集者たち。愛用する私物を自宅から紹介!
前回のキグナス氷河の話をあまり引っ張るのもどうかと思うが、彼を好きになれない大きな理由は甘えん坊だから。いい年して母を「マーマ(MAMA)」と呼ぶ。前回も触れたが、亡き母に会うために氷点下の深海にダイブする。自ら運命に縛られにいっている節がある。あんなに凄い力を持ってるのにちょっと世界が狭すぎないかと思い、改めて確認したらなんと公式設定で14歳。ハイティーンだと思ってた。この年で世界を危機から救う重責を担わされているのだから「マーマ」と甘えたいのも無理はない。っていうか、考えたらそもそもハーフだし「マーマ」でいいのか。世界が狭かったのは自分のほうだ。 で、一方「マ・マー」だ(写真1・2枚目)。ご存じ日清製粉グループが誇るロングセラースパゲティブランド。在宅時間が増えたことで、自炊しない自分もあまりの暇さに料理を始めた。著しくスキルが低くかつ魚介大好きな自分が作るメニューとは? ペスカトーレしかない。ハッタリのききそうなネーミングもいい。なぜパスタか? ピーターアイビーの「パスタジャー」を使いたいから。ピーター・アイビーは、アメリカはテキサス州出身のガラス作家。現在は富山県にて古民家を改装したガラス工房「流動研究所」を構えている。人気のためなかなか買えないらしい。運よくコーヒージャーも持っているが、厚みのある柔らかなガラスに、細かな気泡、薄くグリーンがかった色合い…眺めるだけでうっとりする。
自分は典型的な「何に使うかピンとこなくても気になったら躊躇なく買う」タイプ。逆に用途が極度に限定的で、生活に本来不必要なものでもそう。以前に紹介したエリックホグランのキャンドルホルダーも今回のパスタジャーも然り。でもどう使うかなんて買った後に考えればいいし(スタイリストの祐真さんも以前に買い物企画でご一緒したとき同じようなことを話してた)、むしろ買ったものに自分の生活をアジャストすればいい。気は長い方だ。 で、ペスカトーレだ。レシピを見ると、「パッケージ記載の茹で時間の目安より1分短く」とある。アルデンテだ。俺のマ・マー(早茹でタイプ)は4分。つまり今回の茹で時間は3分だ。さて気になる仕上がりは……イメージしていた麺のシェイプ感とは若干ズレがある。太い。そして柔らかい。柔らかすぎる。アルデンテ特有の、かすかに芯の残るシャキッとした歯ごたえがまるでない。気の長い自分でもきっちり3分であげたのに。湯切りでもたついた? マ・マーはやはり日本式ミートソースやナポリタン向き? わからない。
わからないと言えば「ジャー」。ジャーってガラス瓶だったのか。『ドラゴンボール』の天津飯とピッコロ大魔王との対決の回を思い出す。大魔王封じの札が貼られただけの(どう見ても)ただの炊飯器を前に、ピッコロ大魔王が「でっ 電子ジャー!!!」と呼んでいるのを見て「なんてオシャレなんだ」と思った。それ以来「ジャー」とは「炊飯器」だった。ピーターアイビーは、料理の習慣(パスタ限定)を身に着けさせてくれただけじゃなく、自分の小さな世界も上書きしてくれた。今日も「ジャー」を眺めてはうっとりしている。今夜ももちろんペスカトーレだ。
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