自宅を愛してやまない男たちの自宅を拝見。グラフィックデザイナーの髙橋英二郎さんは、丘の上に立つヴィンテージマンションに、夫婦の好みが共存する風通しとセンスのいい空間を作り上げていた。
夫婦の好みが共存する風通しとセンスのいい空間
丘の上に建ち、敷地内には植物が生い茂る瀟洒なヴィンテージマンション。外国人向けのような贅沢な設計、端正な造作など、竣工した約30年前の要素があるがまま残っていた4LDKのこの物件は、「僕らが好きな建築家が手がけた住宅に絞って探していたところ、友人が見つけてくれて。2年前に購入しました」。
広々とした空間には、髙橋さんと真理子さん、二人の趣味がそこかしこにあふれ、心地よく共存している。中でも髙橋さんは筋金入りの’90年代ストリートカルチャー好き。リビングには、パスヘッドのポスターやレコード、ジョン・ギブソンのスケートボードスツールを飾り、“倉庫”と呼ぶ仕事場には、古着のTシャツや海外で見つけたスニーカーなどを大量保管している。
「中学時代から好きなものが全然変わらないから、いつまでも捨てられなくて(笑)。妻は、『私は絶対買わないけれど、自分にはないセンスがあって、それがミックスされているのは面白いんじゃない!?』と言ってくれるので、感謝していますね」
髙橋さんが32歳のとき、突然、「サンフランシスコに住みたい」と思い立ち、二人で3年ほど暮らした。そこで得た精神は、今に生きていると言う。
「日本では、インテリアでもマニュアルどおりに整える風潮がある。だけど大事なのは型に沿って飾りたてることではなく“何が好きで、どこに心地よさを感じるか?”、自分なりのカルチャーを探ること。サンフランシスコではファッションも音楽もアートもインテリアもすべてが直結し、自分らしく生きることにつながっていたんですよね」
Composition&Text:Yukino Hirosawa