銭湯は好きだけど、行くのはもっぱら自宅の近く。パリコレの準備で忙しいさなか、ちょっとした息抜きに、話題のデザイン銭湯「狛江湯」に出かけてもらいました。
仕事の後の「1時間」が貴重な時間です
岩井良太(AURALEE デザイナー)
近所だったら毎日通っていると思います(笑)
6年ほど前から銭湯通いを始め、現在は週に3~4回ほどのペースで通っている岩井さん。半ば強制的に仕事を切り上げるために銭湯に行くようになったのが始まりだという。
「集中しだすと一人で夜中の2時とか3時まで仕事をしてしまうこともあり、そうなるとやっぱりしんどくなってくるわけです。自宅の近所に25時半までやっている銭湯があるのですが、そこに寄って帰ろうと思ったら24時過ぎには事務所を出なくてはいけなくて、徐々に行く回数も増えていった結果、気づいたら銭湯に行くために仕事を終わらせるようになっていました。広い湯船に浸かってサウナに入ると寝つきはいいし、よく眠れるんです。仕事終わりの1時間の銭湯タイムは、オンオフの切り替えという意味でも大事な時間です」
そんな岩井さんが今回訪れたのは、2023年4月にリニューアルオープンしたばかりの「狛江湯」。デザイン銭湯として人気の錦糸町「黄金湯」を手がけたスキーマ建築計画の長坂常さんが設計し、カフェバーを併設した空間は単に銭湯としてだけではなく、地域のコミュニティの場としての役割も備え、連日多くの人がやってくる。
浴場内の緑色のタイルは、緑豊かな狛江の風景を取り込むことを意識してつくられたオリジナルで、湯や肌の色をきれいに見せる効果もある。また、タイルは3つの異なるサイズが用意され、貼り分けることで視覚的な効果を生み出している。タイルの目地幅で表現された特徴的なフォントはグラフィックデザイナーの長嶋りかこさんが手がけた。
「黄金湯も行ったことがありますが、ここも素晴らしいですね。オリジナルの緑色のタイルはとてもいい色ですし、サイズの違う3つのタイルを貼り分けているところとか、デザイン的なこだわりを知ってハッとしました。サウナ室と水風呂は気持ちよく、スポットクーラーのある内気浴スペースも最高。近所だったら毎日通っていると思います(笑)」
狛江湯 KOMAEYU
東京都狛江市東和泉1-12-6 長谷川ビル
TEL:043-3489-3881
営業時間:13時〜23時
定休日:火曜
狛江湯の創業は1954年。狛江市で最も古い歴史をもつ銭湯で、2023年4月にリニューアルオープン。お風呂はジェットバス、ミクロマット、白湯があるあつ湯と高濃度炭酸泉があり、オートロウリュのサウナ室、ミネラル豊富な狛江の天然水を冷やした14度の水風呂、スポットクーラーを設置した内気浴スペースもある。番台を兼ねたカウンターはカフェバーを併設し、地元のクラフトビールやソフトドリンク、軽食やつまみを提供している。外にはテーブルや椅子が置かれ、イベントなども開催可能。
RYOTA IWAI
1983年兵庫県生まれ。2015年春夏シーズンからAURALEEをスタート。’17年、南青山に初の直営店をオープン。’18年、「ファッション・プライズ・オブ・トーキョー」受賞。’19年秋冬よりパリコレクションに参加。
Interview&Text:Masayuki Sawada