規制緩和を「待っていました!」とばかりに海外へ。旅を愛するデザイナーの、道中のストーリーを本人の語りとともにお届け。
尾崎雄飛さん
自身のブランド「サンカッケー」が今年20周年を迎え10の記念品を製作中。現在「其の三」まで完成。
早朝のマーケットで朝日を浴びながら、
アンティークの布地を吟味しているところ。真剣です!
勉強のために通う東海岸のアンティークショー
デザイナーとして仕事をするうえで、僕は多様なカルチャーを理解することを大切にしています。全世界で地域色豊かな工芸品が作られているように、フォーククラフトへの造詣を深めることが、洋服をデザインするときのヒントになったりもします。
そんな僕が求めるものが集まっている、全米最大規模のブリムフィールドのアンティークショーには、8年ほど前から勉強を兼ねて通っています。毎年5月、7月、9月と年に3回開催され、コロナ禍以前は一年に2回行ったこともありました。6月に渡航規制が緩和されたので約3年ぶりに足を運び、初日はマーケットがオープンする日の出の4時から終了の16時まで、あとの2日も通い詰め、今までにないほどの収穫を得ました! 僕にはバイヤーやアンティークコレクターとしての側面もあるので、テーマを決めてデッドストックの洋服や雑貨を買い付けたり、個人的に収集しているシェーカーのオーバルボックスやカナダインディアンのトーテムポール、アンティークキルトなどの掘り出し物も多く、買い物三昧。
ニューヨークではギャラリーや美術館を巡り、街の散策を楽しみました。僕はドナルド・ジャッドの大ファンで、2019年の訪米時、閉鎖していて見られなかった自宅兼アトリエ「101スプリングストリート」が見学できたのも、今回の個人的トピック。やはり現地に行って、見て感じて、琴線に触れるものを買って持ち帰る。それがものづくりの「資源」となって生かされます。そういう意味で、これからも旅を続けたいですね。