こんなにも散歩にハマる理由は何なのか? そこから得られるものは何なのか? すっかり「散歩沼」へと引きずり込まれた3人の男たちに密着。
見知った道でも歩いてわかることがある。 日常の光景からいろんなアイデアが湧いてくる。
柿の木坂 → 八雲 →
深沢 → 用賀 →
二子玉川
TOTAL 4時間 15000歩
1 気になる場所は片っ端から撮る(ていうかロケハン)
2 散歩に大事なのは知的好奇心と適度な休憩
3 アジサイにはうるさかった!
4 家庭菜園にハマっているもので寄り道
5 今日の散歩でいちばんの収穫は…葉っぱ!
身近な生活圏に本当のリアリティは転がっている。
その尋常じゃない多忙さゆえ、散歩は突発的。友人で仕事仲間のブランドPRの御船さんが相棒だ。歩く以上にまあよくしゃべる。「この大使館の国旗ってどこのだっけ。スーダンか。いいね」「こないだ庭にルッコラ植えたんだよ。あと益子でもらったミントも二つ」「最近ポール・ホーケンの本読んだんだけどよかった。レイチェル・カーソン知ってる? オススメ」「これクワズイモね。クワズイモをナメちゃいけないよ…コルビュジエが愛したのはモンステラだったけど」「おっ、この器、クライヴ・ボウエンのスリップウェアみたいでクール」「待って。ドクダミ生えてるぞここ。虫よけスプレーに使えるんだよね」。4時間に及ぶ散歩中、常に何かに反応してしゃべり続ける。
「スティーブ・ジョブズは歩きながら打ち合わせしてたっていうけどね。自分は健康のためというのが大前提だけど、近所でも見逃しがちな場所や四季で変わる景色を眺めるのが好き。今やっているアニッシュ・カプーアやリヒターみたいな美術館の展示を観るのも好きだけど、そればかりだとね。今は身近な日常から多くのヒントをもらってる。歩きながら景色を、人を見て、汗をかいて…って気軽でいい。ファッションもそう。海外のコレクションのような最先端のファッションを追うことも必要だけど、市井の行動やスタイルを観るほうが今は面白い。今日もいたよね。いい感じのおじさん。あのペインターパンツかっこよかったな。ファッションでも地球環境でも、当たり前の価値観をもう一度疑って見つめ直さないと本当のリアリティって見えてこないと思う。ちなみに今やりたい撮影はベビーカーが登場するファッションページ」
後日話を聞いたら、もう「実行」していた。散歩もおしゃべりも撮影も思い立ったら即動く。それが二村さんなのだ。
二村 毅さん/スタイリスト
歩く以上にしゃべる! 撮る! 「路上観察」スタイリスト。散歩の相棒はパタゴニアとNB996。
散歩沼にハマった男たち!