釣りにハマると、自分に合った好みのスタイルができてくる。川か海か、近郊か遠方か…。心底釣りに魅せられてしまった男たちがごく私的な視点で楽しさを語る。まずはYogee New Wavesのドラマー・粕谷さんから。
寝る間も惜しんで早朝の海でシーバスを狙う
粕谷哲司さん
(30歳/Yogee New Waves ドラムス)
釣り歴
シーバス釣り4年
スポット
葛西、東京湾など
幼い頃に釣りを経験するも、本格的に始めたのは3年前から。主に深夜から早朝にかけて楽しむ。釣ったシーバスを自ら調理することも。
釣りのライブ感とバンドのライブは似ている
釣りは僕にとって必要なもの。単なる気分転換ではなく、頭をフレッシュに、感覚をピュアに引き戻してくれる大切な時間です。
水面に集まる鳥や変化する潮目を眺め、海の中で起きていることを想像しながら自然と真剣勝負。話し合える人間とは違い、向こうは絶対的な存在です。自分の力では制御できないし、期待しても裏切られるし…何かを求めちゃいけない。ただ自分をどうアジャストしていくかという作業なんです。今、水中がザワついてそうとか、今日は絶対ダメだとか、生存本能に近い感受性が研ぎ澄まされて…この能力が自然とリンクしたときに、釣れる。釣りのライブ感はバンドでのライブにも似ています。ドラムをたたきながらオーディエンスやメンバーの気持ちよさをキャッチして、どう応えていくかという動物的な感覚が磨かれるんです。
ヒラメやブリなどを目当てに釣ることもありますが、のんびり釣りを楽しむならシーバスがベスト。家から車を30分も走らせれば、季節を問わずに楽しめるのがいい。
忙しくても家で休むより、海に来たいです。身体が疲れたとしても精神的にはいいことが多い。最悪、釣れなくてもいいんですよ。一日中レコーディングをしていると頭が音であふれ正常ではなくなるし、街でも音楽が流れているし、家にいれば機材を触ってしまう。海では強制的にスイッチをオフにできます。すごく集中しないと釣れないから、ほかのことを考える隙間がない。この時間があるから、またフレッシュな耳で日常に戻れるんです。
手に持つのは、シーバスが好んで食べるボラの独特な泳ぎを再現してくれるルアー。「今日の海は釣れなそうな気配を感じていて…さまざまなタイプのルアーで試行錯誤中です。どれを試そうか作戦を練る時間も楽しいです」。
4月に釣ったスズキは約75㎝の大物。出会ったことのないサイズが釣れると雄叫びを上げたくなるくらいうれしい。「そんなことは年に一回くらいですが(笑)」。
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Text:Takako Nagai