NEO CLASSIC CARS 30

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スバル・ドミンゴ GX(1992年式)
2022.06.02
最終更新日:2024.03.22

スバル・ドミンゴ GX(1992年式)

小林文弥さん(Green Grocery Store オーナー)

ダサさが愛おしい。斬新設計の7人乗りワゴン

スバル・ドミンゴ GX(1992年式)

軽自動車よりは大きいけれど、体感的には今のトール軽より小さく感じる。それでいて7人乗りを実現したクルマがあった。1983年にデビューしたスバル・ドミンゴは、同社の軽商用車、サンバーをベースに1ℓのエンジンをリアに積んだワンボックスカー。当時から唯一無二の存在感が人気を呼び、4WD仕様の走破性の高さも相まってよく売れた(初代は94年に生産終了)。

スバル・ドミンゴ GX(1992年式)
高めに設定されたルーフの側面に「サンサンウィンドウ」と呼ばれる採光用の窓がつく。サンバーと比べてフロントのオーバーハングが非常に長い。

埼玉県深谷市で古着店「Green Grocery Store」を営む小林文弥さんは、1年半前にドミンゴを購入。家族との外出から長距離の買い付けまで、これ1台でこなす生粋のネオクラオーナーだ。小林さんにとって「クルマ選びは、古着を選ぶ目線にとても近い」という。

「古着の魅力のひとつに『人と被らない』というのがあります。私はもともと天邪鬼なところもあって、クルマを選ぶときも随分と迷いました。この角目4灯、全体に漂う古くさい雰囲気、軽バンより大きくて乗用車より小さいという違和感。ダサいように見えて……そのままダサいのがかわいいんです(笑)。あと、人に思わずアピールしたくなる仕掛けや仕様があることもポイントですね」

スバル・ドミンゴ GX(1992年式)
スバル・ドミンゴ GX(1992年式)
2列目のシートのヘッドレストを取り外し、フルフラットにした状態。3列目に座って足を投げ出すこともできる。

小林さんのいう「仕掛け」の代表例が、豊富なシートアレンジだろう。軽バンがベースのドミンゴが7人乗りを実現しているだけでも驚きなのに、2〜3列目をフルフラットにもできて、さらには運転席と助手席、2列目のシートがくるりと回転し、対面対座シートとしても使える。まるで新幹線じゃないか!

「一番の決め手は、シートアレンジの多さでした。2列目をフラットにして、運転席と助手席を回転させれば2列目をテーブルとして使うこともできます。フルフラットにすると、子供たちも喜んでくれるんです(笑)」

スバル・ドミンゴ GX(1992年式)
全長は3425mmと、現行のホンダ・N-BOX(3395mm)と大差ない。ハイルーフ仕様は頭上のクリアランスも十分にあり、狭さを感じさせない(全高は1900mm)。

サンルーフと側面のサンサンウィンドウが備わるため、雨漏りはお約束。車内にバケツを置くことで対処してきた。機関系に大きなトラブルは起きておらず、基本的にはタフだ。

「納車してから一度だけ路上で止まった経験がありますが、今は順調に動いています。ただ、キャブ車であるため寒い日の始動は少しコツがいりますね。できるだけ暖気をするなどしてクルマをいたわる必要があります」

スバル・ドミンゴ GX(1992年式)
ステアリングはサンバーと同様に寝ている。「クーラーが効かないので夏は汗だくに(笑)。ヒーターの効きは少々。それでも不自由に思ったことはありません」。

最近ではポップアップストアを開催することもあるが、ドミンゴに洋服がすべて乗りきらず、レンタカーに乗ることも。だが、小林さんはこの1台を大切に乗り続ける姿勢を貫いている。

「個性のある自分のクルマでポップアップができたらいいですが、今はドミンゴが大好きです。当時にしては斬新な設計とシートアレンジ、ルーフ側面のサンサンウィンドウもそうですが、当時の設計者も良い意味で変態だったんだと思います。パワステはない、エアコンも効かない、窓は手動……といったデメリットもありますが、それすら愛せてしまう私も、同じく変態なんでしょうね(笑)」

小林文弥プロフィール画像
GREEN GROCERY STORE オーナー
小林文弥

1985年生まれ。生地の卸業や縫製業、販売業などの勤務経験を経て、2019年、埼玉県深谷に古着店「Green Grocery Store」をオープン。

Photos:Yoichi Owashi


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