ラヲタな店主と考える、中年の正しい「ラ活」とは？【掟ポルシェの特濃！ 中年ラーメン道】

ラーメンは好きだけど、昔ほどは食べられないし、食べすぎると如実に身体に変化が現れてしまう今日この頃。はたして中年はどうラーメンと付き合えばいいのか。掟さんがリスペクトするラーメン界のパイセン二人に話を聞きました。

最近は温泉とセットで地方のラーメン屋を巡っています―大曽根

ラーメン界の一大潮流となりつつある「ちゃん系ラーメン」の人気店「ニューともちん」の店主であり、ラヲタ名「バンタム」としても知られる大曽根悠二郎さん。掟さんがラーメンにハマるきっかけをつくった大曽根さんのラ活スタイルとは？

掟　バンタムさんが歌舞伎町の「ラーメン凪」にいたときに出会って、そこでバンタムさんが作るラーメンを食べて、初めてラーメンという食べ物をおいしいなと思ったんですよ。

大曽根　うれしいですね、それは。

掟　バンタムさんは中学生の頃からラーメンの食べ歩きを始めて、今も現役バリバリのラヲタですけど、年間何杯食べてます？

大曽根　めんどくさくなって、もうカウントするのはやめたんですよ。昔は年間900杯とかいってましたね。

掟　一日3食ラーメンだ。

大曽根　そうですね。ラーメンしか食べない。食事というものが、もうラーメンになっちゃうんです。僕の場合、立場上、勉強というのもあるんですけど、楽しいんですよ、ラーメンって。同じラーメンは二つとないですからね。その日の天候によっても変わるし、同じ人が作っても日によってぶれちゃうこともある。僕の大好きな岡山の「天神そば」の初代大将が「手作りのものだから違っていい。同じもん食べたければインスタントラーメン食べてればいいんだ」と言っていて、本当にそうだなって。

掟　俺、最近ラーメン食べるようになって、若干ですけどわかるようになったことがあって。もうシュッとしたものに興味なくなってくるんですよ。東京の今風のやつにだんだん興味なくなってきて、地方特性のあるちょっと野暮ったいぐらいのやつがいい。

大曽根　それ、すごいわかります。東京って新店がたくさんできるから、僕も以前は追っかけて食べてましたけど、今はそこにあまり魅力を感じなくて。それよりも地方へ行ってばーっと食べるほうが楽しい。地方の老舗のラーメン屋は面白いですよ。何でここが続いているんだろうとか。味じゃない部分もあったりしますし。

掟　老舗にはちゃんと理由があると。

大曽根　東京のラーメンは、ちょっと一口目がうますぎるんですよ。でも、長く食べられている老舗のラーメンは、最初はちょっともの足りなさを感じたりするんですが、尻上がりにおいしくなって、終わったときに、「ああ、うまかった」となる。そういうラーメンが個人的にいいなって思うんですよね。

掟　地方ではどういうスタイルで食べ歩いているんですか？

大曽根　最近は温泉とセットで回ってます。ラーメン、温泉、ラーメン、温泉って感じで、食べ歩きの合間に入るんです。地方はいい温泉がありますし、お風呂に入ると腹が減るんですよ。大人の余裕を感じますよね（笑）。

ラヲタが最先端を走り、その3年後に世間がついてくる―渡辺

早稲田の「渡なべ」をはじめ、都内で4軒のラーメン店を経営するほか、ラーメンコンサルタントとして数多くの人気店を手がけている渡辺樹庵さん。今までに食べ歩いたラーメン店は1万軒以上という生粋のラヲタであり、掟さんも樹庵さんのSNSなどをチェックして、ラーメン情報を仕入れているという。そんな渡辺さんが教えてくれたラーメン最前線とは？

掟　樹庵さんは今どれくらいのペースでラーメンを食べているんですか？

渡辺　最低月30杯、できたら40杯は食べたいので、そのペースをキープするようにしています。

掟　仕事に関係しているとはいえ、そんなに食べ続けられるラーメンの魅力って何なんですか？

渡辺　何ですかね。高校生の頃から食べていますけど、本当に飽きないんですよ。いろいろな種類がありますし、全国にはまだまだ知らないラーメンがありますからね。

掟　そうですよね。ちなみに、ラーメンの新しいトレンドってあったりするんですか？

渡辺　細かい流れはわからないですけど、やっぱり業界的には大きな流れというのがあって、10年周期ぐらいで変わっているイメージですかね。しばらくずっと「意識高い系」と呼ばれる、きれいな清湯スープを使ったラーメンがきていましたが、去年あたりから流れがちょっと変わってきているなという気がします。

掟　それは自分も感じてました。

渡辺　俗に「ネオノス系」と呼ばれるラーメンが人気になっていますね。昭和30年、40年代のラーメンを“昔ながらのノスタルジックなラーメン”という意味で「ノス系」と呼ぶんですけど、ノス系をイメージしながら現代風に再構築したラーメンがトレンドになってきています。

掟　ネオノス系という言葉を目にする機会も増えましたもんね。

渡辺　そうですね。やっぱりラヲタの人たちが最先端を走るんですよ。そこから3年ぐらい経って世間がついてくるイメージです。

掟　3年も！　ラヲタの皆さん結構先行ってるんですね！

渡辺　はい。それぐらい差はありますね。で、去年から明らかにラヲタの人たちは意識高い系に飽き始めている感じがありますね。

掟　樹庵さんがこのあいだYouTube（「渡辺樹庵のここだけの話」）で言ってましたけど、ラヲタと名乗っていいのは「年間何杯」でしたっけ？

渡辺　年間365杯。

掟　一日一杯は食べてないとラヲタは名乗れないってことですか。

渡辺　最低でもその程度は食べてないとラヲタ同士の会話についていけないですからね。

掟　いやあ、俺は絶対ラヲタにはなれないです（笑）。

掟ポルシェ的 中央線ラ活 各駅停車

もはやホームグラウンド。掟さんが足しげく通う、愛してやまない中央線沿線の名店たち。

新宿｜すごい煮干ラーメン凪 新宿ゴールデン街店本館

すごい煮干ラーメン（＋味玉2個）

「俺がラーメンという食品にどハマるきっかけになった店。一杯に煮干し50gブチ込み旨味塩分トゥーマッチな青森風ラーメンの極北」

高円寺｜ともちんラーメン

中華そば

「ちゃん系ラーメンの最重要店。豚清湯に昆布野菜、旨味調味料でビシッとシメた激ウマスープが最高。もり中華がビールに合う」

荻窪｜人と羊

特製ひつじそば（＋愛媛産メンマ）

「羊コンソメの上品な味わいが唯一無二。今年3月惜しくも閉店、5月末までの期間営業lamb meets ramenとして羊ラーメン継続中」

三鷹｜中華そば みたか

チャーシューワンタンメン

「三鷹『江ぐち』の味を受け継ぐ名店。野菜の甘味、淡くとろけるスープに蕎麦のようなボソッと食感の麺がノスタルジック＆オリジナル」

武蔵境｜珍々亭

油そば

「油そば発祥の店。ツルツル食感のゆでた太麺に汁ではなく醬油とラードのうまいタレを絡めて食べるのはもうすでに発明の領域」

武蔵小金井｜燕三条 豊潤亭

岩のり中華そば（＋味玉〈中油〉）

「東京で燕三条系ならここ。背脂どっさりで麺の上には雪国。煮干しリードに乾物＆豚骨が脇を固め縮れ太麺で旨味濃厚迫力ある味」

国分寺｜麺尊RAGE RAMEN WANTO

腕刀そば

「西荻窪麺尊RAGEの3号店。本店にはない青唐辛子にんにく醬油の腕刀そばがキリッと辛くてほかにない味。夏の冷やし腕刀そばも絶品」

西国分寺｜むたひろ食堂

中華そば

「店名の『食堂』でピンとくる新潟長岡生姜醬油ラーメンをより旨味ふくよかに丁寧に作っている。吊るし焼叉焼が味わい深い」

国立｜白河中華そば 孫市

玉子入りワンタンメン

「福島とら食堂の孫弟子の店。スッキリとした醬油に鶏豚香味野菜旨味の無化調スープに手もみ縮れ平打ち麺で白河ラーメンの王道」

八王子｜ほっこり中華そば もつけ

特製中華そば

「煮干し、節系を香味野菜、鶏が絶妙なバランスでやさしく包み込むラーメンはまさにほっこり。具材も含め完成度高い人気店」

西八王子｜中華そば 吾衛門

中華そば

「刻み玉ねぎが特徴の八王子ラーメンの名店。澄んだ豚骨＋魚介スープは甘味深味あり揃えた麺線ホロホロ叉焼にKOラーメン完全試合」