おじさんの旅の目的はうまいメシ一択。地方都市・街を訪れ、48時間ただただ食べまくるワンパクなメシ旅の不定期連載第3弾は…「こじゃんとうまいき」高知県。
高知メシ…エデンの園は高知にあったんだね 編
7.28(fri.)16:00@Haneda >>
気分はもう夏休み。
仕事を早々に片づけて、
16時羽田発
ANA567便に乗り込んだ――。
今回のメンバー
7.28(fri.) 19:10 IN 竹内酒店
ミラクルな出会いにピンピンしっぱなし
空港アナウンスが高知行きの搭乗開始を告げている。いつもだったら慌ただしく高知のお店をリサーチしているところだが、今日の俺はちょっと違って余裕がある。札幌編に続いて、2度目となる爆食旅の参加。勝手はわかるし、何と言ってもメンバーが心強い。札幌でも一緒だったカメラマンの剛、第1回の爆食旅を担当した副編集長の吉﨑、そしてスペシャルゲストとしてクリエイティブディレクターの南貴之さんが参加するのだ。
実は、南さんの高知好きはかなり有名。スタジオジブリの隠れた名作『海がきこえる』のロケ地巡りをきっかけに高知に魅せられ、以来、隙を見ては通っているという。なので、行き先が高知に決まった時点で誘ってみたところ、たまたま調整がついて、二つ返事でOKとなった次第。出発日の午前中、爆食旅の始まりを宣言するかのように、グループLINEには南さんから高知のおいしいお店情報が次々と投下される。いやあ、すごい! もう鬼に金棒、大谷翔平に金属バット状態ですな。
羽田空港から1時間20分のフライトを経て、高知龍馬空港にランディング。時刻は17時30分。そのままホテルへ向かい、部屋で荷物を整理していると、ひと足早く高知入りしていた剛から連絡が入る。当初の予定では、高知グルメが大集合するひろめ市場で合流するはずだったが、ひろめ市場が超満員のため、場所を竹内酒店に変更するとのこと。程なくして一番乗りした南さんから「いい感じ」「ピンピンきてる」との現地リポートが届く。はやる気持ちをウコンの力で流し込み、夕暮れどきの住宅街を歩いて向かう。川から吹く風が心地よい。やがて青いテント看板に竹内酒店と書かれたお店が現れた。うん、いい感じ!
ガラガラと扉を開けて中に入ると、剛と南さんが隣客の男性と何やら楽しそうに話をしている。聞けば、このお店の常連で、たまたま隣り合わせになったのだそう。「ここの卵焼きはうまいき」「せっかくやき、麻婆豆腐も食べていきや」。朝からほぼ何も食べてない俺はめっちゃ腹ペコ。おすすめに従って、どんどん注文する。出てくる料理はわかりやすい派手さはないけれど、どれもしみじみうまい。ダシの染みたカボチャの茎、好きだわ~。冷えた土佐鶴の涼しい味わいとよく合う。
酒が進み、常連さんとはすっかりマイメンの仲。いつの間にか“まこぴい”と呼ぶようになっていた。こういう出会いが酒場の楽しみの一つだよね。でもって、このまこぴい、やたらと高知の飲食事情に詳しい。それもそのはず。高知で飲食やウエディング事業を幅広く手がけるやり手だった。しかも、驚いたのは、俺たちが「ここ気になるよね」と言っていたお店のオーナーだったこと。こんなことってあるんだね。もう新海誠の映画じゃん。RADWIMPSが鳴り響くところじゃん。「明日うちの店に来たら、こんなでっかい伊勢海老食わせちゃおう」。リアリー? マジで? 広末じゃなくてもMajiでKoiする5秒前。絶対行く!
7.28(fri.) 20:48 IN 御畳瀬
初日1軒目からのミラクルな出会いにぶち上がる俺たち。次は何を食べようか。高知と言えば、やっぱりカツオ。今回の爆食旅でもいちばん楽しみにしていた。でも、明日がカツオ三昧デーなんだよなあ。そんなことを話していたら、「このへんでいちばんうまいカツオを出す店を教えちゃおう」とまこぴい。連れて行ってくれたのが、帯屋町にある御畳瀬。舌の肥えた高知の人たちが通う地元の名店だという。早速、カツオの刺身を注文。厚く切られた身は色鮮やかでくすみがなく、見るからにおいしそう。最初にニンニクを奥歯で嚙んでから、醬油とわさびをつけて食べるのがおすすめだと教えてもらい、そのとおりにしていざ実食。んっ、何これ、うんまあ~! 弾力のある身からはカツオの旨味があふれ、そこにニンニクとわさびの風味が加わり、めっちゃうまい。
本場のカツオ!
高知のカツオのレベチなおいしさに軽く慄いていると、まこぴいが「新子はある?」と尋ねる。新子とは、高知では「メジカ」と呼ばれるソウダガツオの幼魚(生まれて1年未満)のこと。とにかく鮮度が落ちるのが早く、とれてから半日以内しか刺身で食べることができず、さらに8月~9月下旬の短い期間しか水揚げされないため、高知市内でも食べられるところは限られている。その新子があるというので、迷わず注文。女将さんが「18時までに来たら食べ頃だったのに。今は60点くらい」と言うけれど、目の前に出てきた新子の刺身は、まあ、きれい。ぶしゅかん(酢みかん)の果汁をたっぷりとかけ、醬油をつけて食べたらこれまたうんまあ~。身はもちもちとした食感で、旬の旨味が口の中を爽やかに駆け抜けてく。これで60点なら、100点はどうなっちゃうんだろ? そうこうしているうちに遅れて吉﨑も合流。駆けつけ一杯ならぬ駆けつけカツオ。すすめられるがままカツオを食べる吉﨑。あんた、幸せ者だよ。フレッシュな胃袋が加わって、さらに調子が上がった俺たちはうなぎの白焼きや若鶏のから揚げも頼み、高知のうまいものをたらふく食べて大満足。
激レア! 新子
ここでも食べました!
九石大敷組合のマルソウダガツオの新子
仕事絡みで須崎市の漁業組合「九石大敷組合」を訪ねる南さんに俺たちもちゃっかり同行。九石大敷組合は環境に優しいとされる定置網漁にこだわり、水揚げされた魚はすぐに一匹一匹手作業で神経締めを行うため、バツグンの鮮度が自慢。「ぜひ食べてみてください」と出してくれたのが、マルソウダガツオの新子の刺身。新子は鮮度落ちの早さが欠点とされているが、今朝とれたものを素早く処理し、最高の状態をキープしているため、新鮮で旨味も濃く、もっちもちの歯応え。九石大敷組合の魚はオンラインで購入できるので、気になる人はぜひチェックしてみてほしい。バリうまいき。
7.28(fri.) 22:58 IN ぎょうぶ
3軒目もまこぴいの案内でぎょうぶへ。「このお店、来たかったんだよね」と南さん。スナックが入居するビルの3階、店名が書かれた看板には「田舎めし」の文字が見える。ここは日替わりのおばんざいがおすすめの高知の深夜食堂。入ってすぐわかっちゃった。めっちゃ居心地いい! 腹はとっくにいっぱいだけど、席に着いてメニューを見たら、頼まずにはいられない。それが爆食旅。細切り筍のキンピラに花ニラのおひたしでしょ。この半田そうめんって何だろう? お隣の徳島の名産? うん、頼んじゃおう。お茶漬けも食べたいなあ。あっ、ちくきゅうもください。お酒は土佐鶴の冷やでお願いしまーす。
ちょこちょこつまみながら、ちびちびとやるこの時間が何とも言えず心地よい。酔った頭でみんなの会話を聞いていたら、なぜか酒場詩人・吉田類の顔が浮かんできた。そういえば、あの人って高知出身だったっけ。ふいに俺のポエジーが夏の入道雲のようにむくむくと湧き上がってきた。では、一句。「土佐の夜 腹はパンパン 酒 is うまい」。もう眠い。今宵はここまで。
ーーーDAY 2へ続く
住所:高知県高知市南はりまや町2-13-1
御畳瀬
住所:高知県高知市帯屋町1-10-20
ぎょうぶ
高知県高知市帯屋町1-2-1 アスター121ビル3階
在原みゆきが認定! 新東京スーベニア!
Text:Masayuki Sawada
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