おじさんの旅の目的はウマい飯一択。地方を訪れ、48時間ただ、ただ食べまくるワンパクなメシ旅の第2弾で訪れたのは、食の宝庫=札幌!
札幌メシ…今もかすかに残るジンギスカンの匂い 編
1.13(fri.) 17:40@Haneda >>
そんな未来が待っているとは
つゆ知らず、
17時40分羽田発JAL525便に
ライドオン――。
エディター澤田
(右)普段は一日1食。旅先だとついつい食べすぎてしまう。餅とソフトクリームは通年気になる。パクチーは共演NG。
カメラマン剛
(左)よく食べ、よく飲み、よく撮る。三拍子揃った頼れる相棒。いつ寝てるんだろ? 次は盛岡に行きたいらしい。
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1.14(sat.) 8:34 IN たけ江鮨
朝サウナ、朝寿司、朝パフェ。 札幌は朝からパラダイス
翌朝なんとか起床。どうせサウナに行くから顔も洗わず、部屋を出る。札幌のサウナと言えば、ニコーリフレだ。さすが人気店、土曜の朝早くから酔狂なサウナーでにぎわっている。サウナはOne Shot One Killがここ最近の俺の流儀。じっくり蒸し上げ、水風呂できゅっと締め、ディープリラ~ックス。頭と身体はすっきりピンシャキ。おはよう、新しい俺。お腹もすいてきた。
朝サウナのあとは朝寿司だ。タクシーに乗って札幌市民の台所、二条市場へ。行き先は、二条市場の狭い路地の中にあるわずか5席の小さな寿司店、たけ江鮨。市場ならではの厳選ネタを使った握り寿司が楽しめるとあって、朝からお客がひっきりなしに訪れる。すっかり腹ペコな俺は、いちばん量が多いおまかせ12貫を注文。あっ、でも、シャリは少なめで。われながら完璧なオーダーだ。やがて寿司下駄に載って現れた12貫は、恥ずかしげもなく「海の宝石箱や~」と言ってしまうほど光り輝いていた。とにかくネタが新鮮でおいしい! 口の中で北海道が溶けていく…。一気に平らげ、大満足で店を出た。
1.14(sat.) 9:31 IN 東
二条市場でお土産を買ったりして、近くのさっぽろテレビ塔の時計を見ると、まだ9時11分。剛ちゃんや、ちょっとひと息つこうかね。この時間から開いている喫茶店を探して見つけたのが東。店先の看板とサンプルケースから伝わってくる、これぞ昭和の喫茶店感。落ち着くわ~。メニューを眺めていたら、パフェのところで目が留まる。札幌にはシメにパフェを食べるシメパフェ文化があるが、朝パフェもいいかも。甘いものは嫌いじゃないし。っていうか、かなり好き! クリーミーな甘さに、おじさんはすっかり癒やされました。
1.14(sat.) 11:38 IN 遊木民
木彫りの熊と恋に落ち、 ネバネバのスープカレーにハマる
喫茶店の後は、剛のリクエストで、北海道立近代美術館で開催中の「砂澤ビッキ展」(現在は終了)を鑑賞。今は亡き異色の造形家のエネルギーが脈動し、至るところで噴出しているかのような素晴らしい展示に静かに興奮。すっかりアーティな気分になった俺たちは、その流れで遊木民を訪ねることに。ここは木彫りの民芸品を扱う雑貨店で、木彫り熊を愛してやまない剛が札幌に来たときは必ず立ち寄る一軒。「かわいい子いますよ」とすすきののキャッチばりに誘う剛。「ほんとに?」なんて言いながらついていくと…えっ、なにこのザックリカットの木彫り熊、超かわいいんですけど! どや顔の剛が佐藤憲治さんの作品だと教えてくれる。「どうです? ファースト熊にいいですよ」。ほ、ほ、欲しいかも。でも…お高いんでしょお…? 剛がちらりと値札を見せてくる。1万5000円。買います!
1.14(sat.) 12:18 IN 村上カレー店・プルプル
木彫り熊をゲットして店を出たら、ちょうどお昼どき。お腹もけっこうすいてきた。昼はスープカレーだねと意見が一致した剛と俺は、村上カレー店・プルプルへ向かう。ここは本誌で連載している掟ポルシェさんが「札幌のスープカレーはここ一択」と絶賛する人気店。名物は、鶏のひき肉とひきわり納豆にオクラ、なめたけが入った「ナット・挽き肉ベジタブル」。それに、冬季限定の「かきの青汁カレー」と、土曜スペシャルの「手羽先コルマとししゃもマサラ」の計3種をワンパクにオーダー。どれも冗談みたいなメニューだけど、どれも冗談抜きにうまい。特に「ナット・挽き肉ベジタブル」は、そのネバネバ感を含め、ほんと唯一無二の味わいで一度食べたらクセになる。これ、合法だよね?
1.14(sat.) 13:08 IN South2 West8
服を買ったり、 クラフトビールを飲んだり
店を出ると、「そういえば、この近くにSouth2 West8の本店がありますよ」と剛が言う。おっ、行こう、行こう。実はこの日着ていたフリースジャケットはSouth2 West8のもの。なんかいいのがあったら買ってもいいな。店内をうろうろ見ていたら、剛が試着室から登場。セットアップを着ている。いいじゃん! 超wavy! 負けじと俺も、もこもこのフリースパンツを試着。木彫りの熊にすっかりやられたのか、なんだか熊っぽいものに惹かれてしまう。うん、これ、いい! はき心地も最高。熊に抱かれているみたい。抱かれたことないけど。結果、二人ともお買い上げ。
1.14(sat.) 14:28 IN Tap Room BEER KOTAN
「そろそろ飲みに行きません?」。時計を見ると、14時過ぎ。この辺で今から飲めるところはないかなと調べたら、Tap Room BEER KOTANがヒット。北海道で唯一、ホップを商用栽培している上富良野町にブルワリーを構える「忽布古丹醸造」の直営店だという。ビルの3階にありながら開放的な店内は昼飲みに最高。まずはスタッフにおすすめを聞き、上富良野産ホップを100%使用した定番ビール3種と、自家製ビールソーセージ、季節野菜のピクルスを頼む。個人的に気に入ったのは、ピルスナータイプの「ウポポ」。飲み口は軽やかで、苦みも心地よく、クイクイいける。ソーセージとの組み合わせは文句なしのゴールデンコンビ。
はい、大丈夫です! 30分だけでもお願いします!
帰り際、階段を下りていると、「あのお店、なんですかね?」と剛。こういうときの剛の嗅覚は信頼していい。開店準備で忙しいお店の人に「すいません」と声をかける。聞けば、ここは家庭料理とナチュラルワインのお店で、今日は17時からオープンだけど、すでに予約でいっぱい。でも、17時半まででよければ入れるとのこと。大丈夫です! お願いします!
1.14(sat.) 15:40 IN asa
1.14(sat.) 16:13 IN Bossa
とはいえ、まだ2時間もある。もちろん、ムダにするわけにはいかない。気になっていた雑貨店asaとジャズ喫茶Bossaが近くにあることがわかり、行ってみることに。asaでは主に道内の作家によるうつわと手仕事の作品に触れ、BossaではJBLの巨大なスピーカーから流れるジャズをBGMにコーヒーブレイク。
1.14(sat.) 17:00 IN ミノタケ
そんなこんなでもうすぐ17時。さっき飛び込みで予約したあのお店、ミノタケに急ぐ。無茶なお願いにもかかわらず、快く迎え入れてくれる店主夫妻。30分と限られているため、早速おすすめのワインをオーダー。フードは、ネギダレがたっぷりかかったゆで鶏、カブと大根の海鮮キムチ、ゴボウのコンフィ、人参と春菊の白和えの4種が皿に盛られた惣菜プレートを。見た瞬間、もうわかる。これ、ゼッタイおいしいやつ。さらに、自家製だという燻製ピスタチオも注文。アーニャはピーナッツが好きだけど、おじさんは燻製ピスタチオが好き。ああ、ワインが止まらない。1杯目はオレンジ、2杯目は軽めの赤、最後は白でフィニッシュ。楽しい時間はあっという間。いいお店だったなあ。札幌に住んでたら、ゼッタイに通うだろうなあ。後ろ髪を引かれながら店をあとにする。
1.14(sat.) 17:36 IN マシッタ
時刻はまだ17時30分。さあ、夜はここからだ。実は昨夜、剛とひそかに決めていたことがある。必ず一日一回はジンギスカンを食べようって。だから、行くよ。今夜のジンギスカンは…しろくまだァーーーーー!(あれ、また熊!?)
歩いて向かっている途中、狸小路のメガドンキと吉野家の間に、パチンコ屋の景品交換所みたいな一風変わったお店を発見。ぽつんと置かれた券売機を見ると、どうやらマシッタという店名の韓国チキンのテイクアウト専門店らしい。どういうシステムかわからず見ていると、いきなり小窓が開き、ピンク色した猫の手のぬいぐるみが商品を手渡している! にゃんだ、これ? やってみたい! ってなわけで、韓国おでんをポチッとな。ピンクの猫の手、出てきたー! 近くのコンビニで缶ビールを購入し、ビール片手に歩きおでん。気づくと、店の前に到着していた。
1.14(sat.) 18:03 IN しろくま
うんめぇ~。 推しは北海道産羊肉
しろくまに来たいちばんの目的は、なんと言っても北海道産羊肉。国内流通量1%未満という稀少な国産羊肉が食べられるのだ。早速、白糠町産の生ラムと生マトンを頼む。最初の1枚は見本で店員さんが焼いてくれる。肉の表面に水滴が浮かんできたら裏返して、10秒ほど焼いたら食べ頃らしい。肉本来の味を楽しむために、まずはモンゴル産の岩塩で。うんめえ~。生ラムはあっさりやわらかな肉質でまったくクセがなく、生マトンはコクがあって旨味が濃い。続いて、食べ比べとばかりに、オーストラリア産の生ラムと生マトンもオーダー。ああ、こっちもうんめえ~。こうなったらもはや好みの問題だろうけど、俺は国産推し。ジンギスカンのイメージがちょっと変わったかも。
1.14(sat.) 19:38 IN たかさごや
腹具合はいい感じ。次はおいしい肴をつまみながら、ゆっくりと飲めるところがいい。向かったのは、たかさごや。お昼に立ち寄ったSouth2 West8で、ディレクターの三浦さんに「ウチのお店のすぐ前に名居酒屋がありますよ」と教えてもらっていたのだ。大きなL字形のカウンターとテーブル席がある店内は、実にゆったりとして落ち着いた雰囲気。席に案内され、熱燗と芋焼酎を注文。メニューを見ると、ほっけの一夜干し焼き、銀だら、焼きたらこ、鮭ルイベ、身欠きニシンなど、これぞ北海道の居酒屋という品揃え。奇をてらわず、玄人好み。こういうお店に来たかった。炭火で焼き上げた銀だら、ほんとにおいしかった。
1.14(sat.) 22:38 IN 蜂屋
けっこう飲んだと思ったけど、外に出ると寒さのせいか、不思議と酔いがさめる。これって北国あるあるだよね? まだまだ行きたい俺たちは、すすきのの深夜食堂として知られる蜂屋へ移動。カウンターだけの店内は7人も入ればもう満席。基本お酒の提供はしないけれど、缶ビールならあるというので、1本だけ。腹いっぱいのはずが、いつの間にかテーブルには煮卵おにぎり、焼き鮭、マカロニサラダ、卵焼き、豚汁が並んでいる。「やっぱり食べたくなっちゃいますよね」と剛。ほんとだね。これも北国あるあるだね。なわけないか。
40オーバーの胃袋には 伸びしろがない
さすがにもう腹いっぱいだし、眠い。俺の活動限界は近づいている。ウルトラマンならそろそろ帰らないとやばいレベル。それなのに、剛が「シメのラーメン、行きましょうよ」と誘ってくる。うーん…そりゃ、俺だって新しい景色は見たいけど、残念ながら40オーバーの胃袋には伸びしろがない。でも、諦めたらそこで試合終了だよ。ハッ! そういえば、人は歩みを止めたときに年老いていくと猪木さんも言ってたっけ。危ぶめば道はない。行くぞー! いざ、満腹の向こう側へ。
だがしかし狙っていた、いそのかづおは超長蛇の列。これはちょっとやめておこう。とはいえ、復活した俺はなんかでシメたい。リストアップしていたお店を何軒か訪ねるも、もうすぐ閉店だったり、満席だったりで入れない。ガールズバーの前を通ると、ミーガン・ザ・スタリオンに似た女の子が手を振ってくる。ごめんね、今はそんな気分じゃないんだ。
1.14(sat.) 23:40 IN サンドリア
こうなったらサンドリアだ。サンドリアは24時間営業のサンドイッチ店。NHKの「ドキュメント72時間」で取り上げられたのを観て以来、いつか行きたいと思っていた。予定より少し早いけど、明日の朝メシを調達しにいこう。頭の中で松崎ナオの「川べりの家」が流れる。ショーケースにずらっと並んだサンドイッチを見て、テンションが上がる。常時40種類以上の手作りサンドイッチを販売しているという。どれにしよう? 迷ったときはお店の人に聞くのがいちばん。ダブルエッグ、てりたまサンド、フルーツサンドが人気ベスト3だと教えてもらい、そのまんま購入。おいしそ~。でも、今はムリなんだ。明日の朝にまた会おうね。それまでお預けNot yet!
いまだちゃんとシメられない俺たち。すでに深夜0時を過ぎている。シンデレラは帰らないといけないけど、おじさんは帰りたくない。あっ、そうだ、昨夜訪れたこぶ志があるじゃん! ガラガラガラ。「また来ちゃった」。昨日と同じで熱燗とおでん。ヒレステーキのバター醬油も頼んじゃおう。勝手知ったるわが家みたいにすっかりゆるんでしまった俺。いよいよ眠くなってきたので、剛を残してホテルに帰る。その後、剛からLINEが届く。シメのラーメンを諦めきれず、再びいそのかづおに行ったけど、まだ長蛇の列だったから断念したという。すごいな、いそのかづお。しかし、剛は元気だなあ…。
ーーーDAY 3へ続く
住所:北海道札幌市中央区南3条東1丁目8 二条市場内
東
住所:北海道札幌市中央区大通西1丁目 桂和大通ビル50 地下2階
遊木民
住所:北海道札幌市中央区北7条西19丁目1
村上カレー店・プルプル
住所:北海道札幌市中央区南2条西9丁目 ケンタクビル29 地下1階
South2 West8
住所:北海道札幌市中央区南2条西8丁目2-1
Tap Room BEER KOTAN
住所:北海道札幌市中央区南2条西3丁目13-2 パレードビル3階
asa
住所:北海道札幌市中央区大通西8丁目2-39 北大通ビル11階
Bossa
住所:北海道札幌市中央区南3条西4丁目 シルバービル2階
ミノタケ
住所:北海道札幌市中央区南2条西3丁目13-2 パレードビルM3階
マシッタ
住所:北海道札幌市中央区南3条西4丁目 アルシュビル 1階
しろくま
住所:北海道札幌市中央区南6条西3丁目 ジョイフル酒肴小路1階
たかさごや
住所:北海道札幌市中央区南2条西8丁目
蜂屋
住所:北海道札幌市中央区南4条西3丁目 第1グリーンビル1階
サンドリア
住所:北海道札幌市中央区南8条西9丁目758-14
40歳からのメシ旅 爆食ウィークエンド48hours! 名古屋編
Text:Masayuki Sawada
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