2024.11.22
最終更新日:2024.11.22

代沢・とんかつ太志のとんかつ定食。【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけで、いつもの。|第33回 】

写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今回はパン屋塩見の店主・塩見さんが教えてくれたとんかつ店。

第33回 代沢|とんかつ太志のとんかつ定食。

代沢 とんかつ太志のとんかつ定食。
カウンターで、マスターの仕事を見ながらいただくとんかつ定食が最高です
今月のあの人|パン屋塩見店主
塩見聡史さん

都会で薪窯のパンが楽しめると人気の「パン屋塩見」店主。「豚脂の甘味が好きなので、このロースかつ定食は最高。マスターがとんかつを揚げる姿がかっこいい」。

豚のスペシャリティ

 飲食店の人が通う飲食店。当然、気になりますよね。そこにはきっと同業者としての尊敬や探究心が詰まっているだろうから。代々木という新宿の近くにある住宅街でパンを焼く塩見くん。しかも薪で。旨味がギュッと入っているパンは人気でなかなか買えない。幸運にも僕は友人を通して知り合い、お互い釣り好きということで交流しているおかげで時折おこぼれにあずかっている。彼はうなぎ釣り、僕は鮒釣りがメインという変わり者具合も馬が合うのかもしれない。

 もともと寿司屋だった小さな店内に香ばしい油の匂いが漂っていて食欲を刺激する。秋葉原の老舗を経て独立した大将が、大きな塊から切り出した豚肉を手際よく揚げる。一緒に油につけて熱くした、見たこともない幅の広い包丁で一気にカツを切り揃えていく。口に運ぶと豚の甘さが一気に広がる。なのでソースは必要なく、塩でいただく。面白いのはそのときそのときで扱っている豚肉の産地が替わることだ。大将が産地まで出向き、肉の質はもちろん、餌や環境まで見て直接仕入れることもあるという。

 パンのスペシャリストが豚のスペシャリストの店で静かにうなっている様子を想像すると、思わずニヤリと口角が上がってしまう。

とんかつ太志

ランチはロースかつとひれかつの二種類。今回紹介したのはロースかつ定食¥1,250。ディナーでは時期ごとに産地の異なるプレミア豚を使った定食も楽しめる。最新情報は、ホームページ・Instagramで確認。
東京都世田谷区代沢4-34-12
TEL:03-6450-8635
営業時間:11時〜14時、17時30分〜21時(ともに仕込み分がなくなり次第終了、早じまいあり)
定休日:火曜、第3水曜、不定休あり
http://park17.wakwak.com/~tonkatsutaishi
Instagram:@tonkatsutaishi

撮影・文・食
平野太呂

カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。

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