2024.08.15

下北沢・SANZOU TOKYOのカレー。【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけで、いつもの。|第30回 】

写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今回は中津川吾郎さんが足しげく通う下北沢のカレーショップ。

第30回 下北沢|SANZOU TOKYOのカレー。

下北沢 SANZOU TOKYOのカレー
立ち食いスタイルのカレー店なので、並ばずに入れることが多いのも魅力です
今月のあの人|MIN-NANOオーナー
中津川吾郎さん

ストリートショップ「MIN-NANO」オーナー。「もともと好きだったメニュー『ウルル』のおすすめの食べ方を友人に聞き、この『ゆるめ&コールスロー』にハマっています」。

新しい定番

 昔から知っている街が変わっていく。「シモキタ、もう俺の街じゃないな」と心の中でつぶやいてみる。もともと俺の街じゃないとわかっているのにね。変化を嫌う気持ちもわかるけど、リロードなんて何年前から営業しているのだろう。もう定番として落ち着き払っているようにも感じる。下北沢の隣町でお店を構えるゴローちゃんから教えてもらったカレー屋もやはりリロードの中にあった。

 SANZOUはカウンターで立ち食いスタイルだ。横のスペースには小さなギャラリーも併設されている。立ち食いなのでお客さんの回転が速いために少し待てばすぐに店に入れるのがうれしい。

 ゴローちゃんに言われたとおり「ウルルゆるめコールスロートッピング」という呪文の言葉で注文してみた。なるほどしっかりとした辛みの中に一瞬の甘さを感じながらもコールスローが爽やかさを投げ込んでくる。めくるめく味の到達に夢中になっているうちにあっという間、一皿を食べきってしまう。

 帰り道、新しい映画館で映画を見て、新しいカフェでコーヒーを飲んだ。新しいシモキタも俺の街になってきた。

SANZOU TOKYO

柏の名店「ボンベイ」の二代目・磯野晃一氏が考案したスペシャルなカレーが楽しめる店。今回紹介した鶏肉のキーマカレーは食券で「ウルルカレー」¥1,200、「コールスローサラダ」¥150を購入し、「ゆるめ(通常より水分が多めの状態)で」と口頭で注文すると食べられる。
東京都世田谷区北沢3-19-20 reload1-7
Instagram:@sanzoutokyo
営業時間:11時~20時 無休

撮影・文・食
平野太呂

カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。

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