写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今回は田口悟さんが定期的に通っている、鰻屋を紹介。
第31回 銀座|うなぎ ひょうたん屋6丁目店の鰻重。
「アメリカン・ガレージ」をコンセプトとしたブランド、CHALLENGERのデザイナーを務める。「ひょうたん屋6丁目店の店内には僕の絵も飾っていただいています」。
僕らは銀座で鰻を食べられるのか
銀座で鰻というだけで若干の緊張を感じながらお店へと向かう。きらびやかなGINZA SIXの裏手に目指す「ひょうたん屋」はあった。お互い若い頃、夜な夜なストリートスケーティングに勤しんだ(僕は撮影ですが)田口くんの紹介である。その頃はお店が閉まった後、人のいなくなったオフィス街が主戦場だったはずなのに、今こうして銀座の鰻屋を紹介してもらえるとは感慨深いではないか。
店に入ると緊張が和らぐ。僕が想像していた研ぎ澄まされた銀座の鰻屋のイメージをいい意味で裏切ってくれる。親しみのある居酒屋のような雰囲気なのだ。これなら安心して鰻を食べられる。店内をよく見ると、田口くんが描いた絵に加えて、スタジオジブリのものがちりばめられている。どうやらジブリのプロデューサーである鈴木敏夫さんの行きつけのようだ。お店のロゴも鈴木さんによるものらしい。
関東では鰻をふっくらさせるために一度蒸すのだが、ここは蒸さずにそのまま焼く。端がパリッと香ばしいのがとてもおいしい。うん、ここなら「たまには銀座で鰻でもどう?」って僕にも言えるかもしれない。
うなぎ ひょうたん屋6丁目店
生から蒸さずに焼き上げる、表面はカリッ、中はふんわりとした独自のスタイルの鰻が楽しめるお店。写真の「鰻重 松」は¥4,800。
東京都中央区銀座6-12-15
TEL:03-3572-2511
営業時間:11時30分〜13時30分、17時30分〜20時30分(L.O.19時40分)、土曜17時〜20時(L.O.19時10分)
定休日:日曜・祝日
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。