写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今回は江川芳文さんがおすすめするダイナーを紹介。
第34回 祐天寺|ALLAY CATSのスマッシュアレイキャッツバーガー
「たまに食べたくなるハンバーガー。年をとるにつれ頻度は減ったけど、そのぶんサラダも合わせてガッツリ食べてます」
斜めくらいがちょうどいい
’80年代後半に定着したストリートカルチャーといえばスケートボード。その道の真ん中で輝いていたのが江川くん。その後、みんなが憧れるアメリカのチームに所属したり、アパレルのブランドを始めたり。ピストバイクの始まりだって江川くん。なんでもみんなより早くて、そして深めてしまう。つまり誰もが憧れる“すごい”人なんだけど、本人はいたってラフで普通で優しい。そんな江川くんに紹介してもらう店、とても楽しみである。
店に入ると客だか従業員だかわからない、かっこいい若者たちが店をうろうろしている。オーナーシェフの園田さんの「もう作っちゃっていいですか?」のひと声ですぐに撮影が始まる。祐天寺の商店街から一本入ったところにあった100円ショップの建物をリノベーションした店舗。所々、古い部材を残したままにしている。メニューの紙はペラペラのコピー用紙。このラフさ、とても心地がよいのだ。そう、僕がアメリカに感じているある種の気楽さも、江川くんから感じる自由さも、これに似ているんだ。軽めのバンズもスマッシュされたパティもサクサクのフレンチフライもその気分を増長してくれる。
外に出ると、あれ? なんだかこの店斜めじゃない? 「そうなんですよー、ほら正面から見てくださいよ」となぜだかうれしそうな園田さん。そうだよね、何でもキッチリしてても仕方がないよ。これくらいでちょうどいいよ。
ALLAY CATS
「朝ごはんの店をつくりたかった」という店主の園田さん。今回のバーガー(¥1,350+ポテト¥300、サラダ¥800)も見た目のボリューム感に反して想像以上にサクッと食べられる。オープンサンドなどのメニューも豊富。
東京都目黒区祐天寺1-23-19
営業時間:8時~15時
定休日:木曜
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。