2024.06.02
最終更新日:2024.06.02

聖蹟桜ヶ丘・銀龍のチャーハン。【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけで、いつもの。|第28回 】

写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今回は鰤岡力也さんが中学生の頃から親しんでいたお店。

第28回 聖蹟桜ヶ丘|銀龍のチャーハン。

聖蹟桜ヶ丘  銀龍のチャーハン。
中学生くらいのときから、多摩川に釣りに行く際にいつも気になっていたお店です
今月のあの人|MOBLEY WORKS代表
鰤岡力也さん

ウッドワークを中心とした工房・MOBLEY WORKSの代表。「王道の町中華で間違いがなさそうなお店の佇まい。2~3カ月に一度は銀龍のチャーハンが頭をよぎります」。

桜咲く町中華

 街道沿いの町中華。この響きだけでぐっときてしまうのは僕が中年男性だからだろうか? 友人の鰤岡くんからおすすめされたメニューがシンプルに「チャーハン」だけなのもまたいい。労働者階級の僕たちに余計な装飾物は必要ないのだ。

 店の大きさよりも広い駐車場に車を停めてお店に入ると、元気に迎えてくれたのが店主の静恵さん。年季の入った店構えとのギャップが素敵。お父様からお店を引き継いで二代目となって15年たった。お店ができた当時から数えて四代目となるかわいいお客さんも来るという。チャーハンを作ってくれたのはお父様の代から働いている髪をポマードできっちりまとめているおじさまだ。何度も何度も布巾で拭かれ、もはやピンク色に変化している町中華特有の赤いカウンターテーブル。そこにコトンと置かれる八角形の皿にこんもりと盛られたチャーハンとスープ。とてもいい意味でなんでもない風景。もしこれが食べられない人生になってしまったら、そのときはこのなんでもない風景を慈しむんだろうな。そんなことを考えながらレンゲを口に運ぶ。

 店を出るとお客さんの行列ができていた。古きよき町中華を守りながらも静恵さんがどう変えていくんだろうか、そんなことを考えながら桜咲く春の多摩川を散歩しながら帰った。

銀龍

聖蹟桜ヶ丘駅と京王永山駅の中間に位置するお店。今回紹介した「チャーハン」¥850をはじめ、昔から愛され続ける味を楽しめる。
東京都多摩市関戸5-9-11
TEL:042-338-3386
営業時間:11時30分~15時、土・日曜・祝日~16時、17時~22時
定休日:月曜

撮影・文・食
平野太呂

カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。

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