写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今月はYO-KINGさんが教えてくれた、パワフルな定番メシ。
今月のあの人
店主の“かつおちゃん”がいつも元気で、
人柄とごはんと、ダブルでパワーをもらえます
YO-KINGさん（真心ブラザーズ）／ミュージシャン
12月15日より、全国11カ所を巡るライブツアー「グレート CK Jr.」を開催。「このごはんはまさに“猫まんま”のハイエンド。定食のみそ汁も、全部うまい！」。
撮影・文・食／平野太呂
第23回渋谷 かつお食堂のかつお食堂ごはん。
ぜんぶカツオ
渋谷と代官山の間には不思議なエリアがまだ残っている。渋谷とも代官山とも言えないような余白のある場所。面白い店ってだいたいこんな所から生まれる気がする。取材先の住所を編集者から知らされて、これは何かありそうだと期待をもって取材に出かけた。
「かつお食堂」は小さいビルの地下にあるが、店に続く階段の壁にカツオ漁の写真が貼りつけてあるので店が地上まであふれているようだ。扉を開くとコの字カウンターが迎えてくれる。店内に飾ってある写真や一本釣り用の竿やカウンターに積まれた鰹節に目が泳いでしまう。「ＫＡＴＳＵＯ100％」と堂々と書いてあるTシャツを着た店主の永松真依さんが大きな目をもうひとまわり大きくして説明してくれる。ここはとにかく鰹節の手削りをご飯にのせて食べるというとてもシンプルな食堂なのだ。何かに取り憑かれた人は強い。一つを深めることで世界を広げてしまう。いつもそんな人に憧れている。
手削りのふわふわと、カリカリを玄米の上で堪能して、思えば子どもの頃に母から削っといてと削り器を渡されたことを思い出した。薄暗くなってきた夕刻にカシャンカシャンと音がするいい時間だったな。あの削り器はどこに行ったかな。今度実家に帰ったら探してみよう。
かつお食堂
「かつお食堂ごはん」（天然だしのみそ汁、だしガラの一品、追い鰹節付き）￥1,650はこの店唯一かつ看板のメニュー。鰹節を追加する際は、削り器を使って自分で削る体験ができる。
東京都渋谷区鶯谷町7の12 GranDuo渋谷地下１階
TEL:03（6877）5324
営業日・営業時間の詳細は@katsuoshokudoを確認。
Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』（リトルモア）、『ボクと先輩』（晶文社）など。
