写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今回はミヤギフトシさんが教えてくれた不思議な魅力を放つ店へ。
今月のあの人
ミステリアスな店名と佇まいですが、
店内は心地よくて。
そのギャップもまたいいんです
ミヤギフトシさん/現代美術作家
芸術家・作家として活動。アーティスト・ラン・スペース「XYZ collective」の共同ディレクターを務める。「辛いものが苦手ですが、マイルドなこの坦々麺は食べやすい」。
撮影・文・食/平野太呂
第22回桜新町 紅蜥蜴の坦々麺。
少しの勇気が世界を広げる
桜新町は小さいけれど必要なものが揃っていて緑も多く人気の町だ。そんな品のいい街に一見するとそぐわない雰囲気を道に放っているのが「紅蜥蜴」だ。車で通り過ぎるときにいつも気になってはいたのだが…行かないままになっていて、ミヤギフトシくんの推薦を受けてやっと門をくぐることになった。
約束の時間より早く着いたので外で観察していると、意外にも若い男女やきれいな格好をしたおねえさんたちが店に吸い込まれていく。これはそれほどハードルは高くないのかも。続いて中に入ってみると、店内が驚くほど狭い。というか細い。横に寝転がったら足と手が壁につきそうだ。1階はキッチンで半分ほど占められているが、2階は案外のんびりできそうな空間となっていた。ピンクの壁にアンディ・ウォーホル作の毛沢東。ウォーホルのシルクのプリンターをやっていた人から買ったそうだ。フトシくんがいたら似合いそうだな。僕の幻想かもしれないけど、そこにはキッチュでかわいい中国が表現されていた。
人気の坦々麺。見た目とは裏腹に辛さは控えめで滋味深い。時折現れる山椒の粒が頭をすっきりとさせる。女性に人気なのもうなずける。一歩踏み出せばこんな世界が待っていたんだなと思わせてくれるよい店であった。
餃子荘 紅蜥蜴
インパクトのある店名と外観が興味をそそる中華料理店。四川料理がメインのメニューの中でも特に人気なのは、ミヤギさんもおすすめの「坦々麺」¥1000
東京都世田谷区新町2の4の15
TEL:03-3425-2233
営業時間:11時~14時30分(L.O.14時)、17時30分~21時30分(L.O.21時)
月曜、第2・4火曜休み
※支払いは現金のみ
Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。