写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今回は、「不思議な縁がある」という森岡書店の森岡さん。
今月のあの人
ランチには3種類のお粥があり、
どれもおいしい。
店主の漫莉さんもすごく優しいです。
森岡督行さん/森岡書店 店主
一冊だけの本を扱う、書店でありギャラリーでもある「森岡書店」。銀座の中でも静かで落ち着いたエリアに佇む。開催情報はインスタグラム@moriokashotenでチェックを。
撮影・文・食/平野太呂
第21回銀座 ランチのお粥セット「ムール貝粥」。
斜め前の広東
自分の職場の近くにいい店があるかどうか。これって深刻な問題。僕は一カ所にとどまらない仕事だからいいけど、もし同じ場所に勤めるとなると冷や汗かいちゃう。だから森岡さんは幸せだ。だって森岡書店の斜め向かいにこんな中華料理屋さんができたのだから。
「漫莉キッチン」ではオーナーの漫莉さんとシェフが故郷の広東料理をアレンジして出してくれる。今回いただいたのはお粥。中華料理と聞くと味が濃くて、量が多いものを想像してしまうけど漫莉さんの料理は優しい。海鮮のだしがきいた滋味深いお粥で心底ホッとできる。聞けば、漫莉さんのお母さんの味なのだという。お母さんがじっくりとだしをとって作ってくれたお粥を、思い出しながら作っているのだそうだ。そんな味をこの銀座で味わえるなんてこれこそ贅沢じゃないか。
思えば森岡さんは不思議な縁を感じる友人である。森岡さんを紹介してくれたのは母である。あるカフェで母と隣の席になったのが森岡さんだったのだ。森岡さんのもつ豊かなオーラがこうして人をつなげるのだ。きっと漫莉さんも感じているのだろう。
漫莉キッチン
森岡書店から徒歩1分。森岡さんが「だしの深みがあって美味です」と推してくれたお粥ランチはムール貝でだしをとった「ムール貝粥」のほかに銀杏と湯葉だしの「銀杏粥」、干鱈と生落花生だしの「貴妃粥」があり、いずれも¥1,000。
東京都中央区銀座1-24-5
TEL:080-3242-9868
営業時間:11時30分~14時30分、17時30分~22時、日曜11時30分~21時
月曜休み
Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。