2022.04.30
最終更新日:2024.03.07

【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけで、いつもの。】第7回・片貝俊さん(スタイリスト)/ゴールドラッシュ 渋谷本店のゴールドラッシュハンバーグ

写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。片貝俊さんの胃袋をつかんだのはボリューム満点なハンバーグ。

【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけの画像_1

今月のあの人

ハンバーグ自体が濃い味で
ソースをかけなくてもうまい。

ソースはライスにかけるのも
オススメ

片貝 俊さん/スタイリスト
本誌ファッションテーマのスタイリングから私服ルポまで幅広く活躍。「昼から1ポンドのハンバーグが食べられるのが魅力。しかも安い! ライスは小が定番です」。


撮影・文・食/平野太呂

第7回渋谷 ゴールドラッシュ 渋谷本店のゴールドラッシュハンバーグ(1ポンド)に目玉焼きをトッピングして。

ゴールドラッシュ 渋谷本店のゴールドラッシュハンバーグ(1ポンド)

渋谷に金塊を探しに行く

 渋谷は怖い。’80年代の話である。僕は中学生だった。学校の先輩(高校生)たちがはいているジーパン(あえてジーパンね)が格好よくて真似したいのだけど、どこに売っているのかわからなかった。少なくとも自分の住んでいる街では見たこともない。友人からの情報で、それは渋谷にある古着屋というところで売っているらしいとわかり、僕は意を決して渋谷に向かった。長閑な住宅街から猥雑とした渋谷へ。なるべく人と目が合わないように移動する。目当ての店にたどり着くと、そこはまるでアメリカだった。革のベストを着てターコイズがついたゴムで長髪を縛り、首からは鳥の羽根でできた飾り物をぶら下げた店員にジーパンの売り場を教えてもらった。ドキドキしながら目的のものをさっと買い、逃げるように家に帰った。



 高校生になって渋谷に慣れてくると、街を徘徊した後に、ゴールドラッシュに寄ってハンバーグを食べるのが何より特別だった。ほとんどネイティブアメリカンのような格好をしている店員さんたちから古着を買い、ゴールドラッシュで肉汁と煙に包まれる。今にして思えば、まるで西部劇のような渋谷ライフが確かにあった。片貝くんの入り口とは違うと思うが、ゴールドラッシュにはそんな男たちの魂を鎮める何かがある。きっと片貝くんも彼なりの何かを鎮めているのだと思う。


ゴールドラッシュ 渋谷本店
1980年創業の老舗ハンバーグ店。ゴールドラッシュハンバーグ(1ポンド)¥1,770に、「見た目がかわいくなるから」という片貝さんらしい理由で目玉焼き¥100をトッピング。

東京都渋谷区宇田川町4の7 トウセン宇田川ビル4階
TEL:03(3496)5971 
営業時間:11時30分~23時(L.O.22時)
無休


Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。



Title Design:Yu Miyama

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