40歳男子が青春を捧げたミューズ、広末涼子さんと一緒におでん屋さんをハシゴ。後編のこちらではおでんにぴったりの日本酒でほろ酔いの広末さんが、僕らの知らないヒロスエのことをしっぽりと語ってくれた。
広末 それぞれのおでんに独自の雰囲気や味があり、家では食べられないおでん種も多かったですね。楽しかったし、癒やされました! 途中で思い出したんですが、中学受験の頃、塾の帰りにお腹がすくと、自転車で迎えに来た母とおでんもある屋台のラーメン屋さんで、おでんを2つ3つ食べてから帰るのが楽しみで。15分くらいだったけれど、それがご褒美の時間だったんです。
――原点は屋台のおでんだったんですね。その直後に、空前の「ヒロスエブーム」で盛り上がりました。
広末 10代は本当に駆け抜けた感じ。14 歳で大きなチャンスをもらってからは、寝る時間どころか瞬きする間も惜しいほど現場が楽しくて、全部を吸収したかった。できる前提であれば失敗したらどうしよう!?とか思うけれど、できるとも思っていないから不安よりもやる気のほうが勝っていて、期待しかなかったです。私生活では名前がひとり歩きしている部分が多くて、どちらかというと「男の子は敵」でした(笑)。同性の友達に守ってもらっていましたね。
――悩んだ時期もありました?
広末 自然体が当たり前だったのに、成長するにつれて「私はどうあるべき?」「難しい役に挑んでハードルを超えたい」と気張ったり背伸びをして変な鎧をつけていた時期もありました。だけど、子どもが生まれて仕事をお休みしていたときに、何気ないコメディ番組とかを見るのが幸せだった。そもそもテレビや映画が大好きで、女優の仕事に憧れて始めたのに、考えすぎて背負いすぎて、見て楽しむ余裕も時間もなくなっていたな、と。今後の人生を考えたとき、家族と向き合い、ゆっくりと丁寧に暮らしたい。子育ての時間などそうしたところからも豊かさを身につけていきたいと思ったんです。
――広末さんってどんなお母さんなんですか?
広末 長男にはよく「ママって本当に有名なの?」って聞かれるから、ちょっとムキになって子どもたちの知らない昔の話をしたりすることもあるんです(笑)。家では母親としての一面しか見ていないから、ドラマや映画で見ると新鮮みたいですね。
――それはそうと、広末さんって意外とお酒強いんですね。
広末 飲むこと自体も大好きだし、お酒を飲む場って、こうやって会話だけに集中できる時間が生まれるから大切にしたいんです。そもそも、出身が高知県で、自分の周りがとにかく酒豪ばかりだったということが大きいんですが…。親戚や地元の友達との飲み会では、みんな何かにトライアルしているんじゃないかってぐらい、朝までひたすら飲み続ける。明日の心配とかはどうでもよくて、〝やり切り”たいんですよね(笑)。
広末涼子 Ryoko Hirosue
1980年7月18日高知県生まれ。1995年のデビュー後、空前の「ヒロスエブーム」を巻き起こし、以降、ドラマ、映画で活躍。2020年1 月には『太陽の家』『嘘八百 京町ロワイヤル』、4月には『ステップ』など出演映画の公開が続く。Photos:Osamu Yokonami
Hair&Make-up:Keiko Yamashita
Stylist:Ami Michihata
Text:Yukino Hirosawa
Videographer:Takayuki Fujieda
Movie Editor:Yohei Suzuki