凍てつくように寒い日は、身も心もおでんが恋しくなる。今日は40歳男子が青春を捧げたミューズ、広末涼子さんと一緒におでん屋さんをハシゴながらじっくり語り合う。前編は広末さんと一緒にめぐった3軒の名店をご紹介。
家で作ることが多いから、 外で食べるおでんは新鮮!
――そもそもおでんは好きですか?
広末 もちろん! 餃子、お好み焼き…わが家は何かにつけてパーティをします(笑)。おでんはその代表で、あごだしがよくしみ込むよう、午前中から準備してゲストをもてなします。
――自宅で料理するんですか?
広末 はい、してます。高校時代は料理上手な叔母のところに下宿していて、叔父も料理人なので、わからないことはその都度聞いて覚えました。早くに仕事を始めたから、自宅にいる時間が本当に少なかった。なので、限られた時間で料理を作り、高校や大学時代の友人に振る舞うのがとても貴重で幸せな瞬間でした。今も食事の時間やそこで感じる温かい雰囲気が大好き。おいしいものが食べられ、人も呼べて、二度も三度も楽しい…単なる食いしん坊なのかもしれませんが(笑)。
――となると、外食のおでんは久々?
広末 そうなんです、東京ではほとんど経験がないかも。家では関西風のだしなので東京のおでんを食べてみたいし、最近は「一人で食事を味わう時間も欲しいな」と思うように(笑)。だから今日はとっても楽しみです!
まずは老舗のおでん屋へ じんわりしみ入る優しい味
一軒目:銀座 おぐ羅
これぞ洗練の極み。塩味の関東風おでん
銀座で30年以上営む老舗のおでん屋。極上の昆布とかつおの一番だしを使い、アクや油分を完全に取り除いた塩味の関東風おでんは、キラキラ輝く黄金色のだしが特徴。「鴨ごぼう」や「つみれ」などの定番のほか、季節限定のおでん種を加えると約25種。「『キャベツ』にはあっさりした鶏肉が、『餅きんちゃく』には三つ葉などの具が…仕事が丁寧だし、だしがすっと身体にしみ込むほど優しい。『おでんになりたい』とさえ思いました(笑)」。
住所:東京都中央区銀座6-3-6 本多ビル地下1階
TEL:03-3574-8156
営業時間:16時~22時30分、土曜16時~21時
日曜、祝日、年末年始休
次は持ち帰り専門店の前でパクリ!
二軒目:人形町 美奈福
街のみんなに愛される こだわり満載の持ち帰り専門店
名店が軒を連ねる人形町、甘酒横丁から一本入った角にある、小窓から注文して受け取る持ち帰り専門店。現在は創業者の田村つねおばあちゃんの味を、二人の娘が受け継ぐ。トンカチで砕いたカツオの本枯節、大ぶりの煮干しなどこだわりの詰まった高級食材を使用しながら、一つ70円から買えてしまうのは驚き。「濃口醬油で味つけした関東おでんはほぼ初体験でしたが、想像以上にまろやか。たこもぷりっぷりでおいしいです!」。
住所:東京都中央区日本橋人形町2-11-12
TEL:03-3666-3729
営業時間:12時30分~18時 日曜、祝日休
最後は「海おでん」と日本酒でほろ酔い
三軒目:恵比寿 日本酒はなたれ
漁港直送の魚介の魅力を 生かして作る、新感覚おでん
はんぺんやつみれなど加工した魚でおでん種を作るものだが、この店が提案するのは珍しい「海おでん」。きんきに白子、ぶりしゃぶ、ひじき…神奈川の佐島漁港などから直送した新鮮な魚介を用い、それぞれ最適な調理法で注文後に仕上げる。羅臼昆布や干したしらす、あわびなどでとっただしは繊細で深い味わい。「牡蠣はミルキーでとろとろ。きんきも脂がのっていて、口の中でとろけていきます。おでんが特別なものに感じられますね」。
広末涼子 Ryoko Hirosue
1980年7月18日高知県生まれ。1995年のデビュー後、空前の「ヒロスエブーム」を巻き起こし、以降、ドラマ、映画で活躍。2020年1 月には『太陽の家』『嘘八百 京町ロワイヤル』、4月には『ステップ』など出演映画の公開が続く。Photos:Osamu Yokonami
Hair&Make-up:Keiko Yamashita
Stylist:Ami Michihata
Text:Yukino Hirosawa
Videographer:Takayuki Fujieda
Movie Editor:Yohei Suzuki