2020.08.10
最終更新日:2024.03.07

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもスパイスが会社員だったら」図鑑

スパイスの面白さとは何か。それは膨大な種類がある中から適材適所を見極め、輝く個性を組み合わせて、無限の可能性を引き出すことにほかならない。トップの采配に結果がゆだねられるのは組織マネジメントと同じ。15種のスパイスを会社員になぞらえて解説。

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_1

組織の顔ともいえるエース

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_2

クミン

セリ科の植物の種子を乾燥させたスパイス。インドカレーには欠かせない存在であり、彼が口火を切ることでプロジェクトは動きだす。エースと呼ぶにふさわしい強い印象を残すスパイスで、香り高く味わいはほろ苦く、エスニック料理の根幹となる。入れすぎてもバランスをそこまで崩さないので使い勝手もいい。


チームをピリッとさせ空気を引き締める精神的支柱

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_3

唐辛子

中南米原産で世界各地で栽培され種類も多い。辛さのもととなりカレーなどの料理になくてはならないキーマン。スパイスをまとめる顔役的存在で、ぼんやりとした料理も彼が加わると味が引き締まり、ほかのスパイスの香りも生きてくる。ただし凶暴性もあり、分量を間違えると収拾がつかなくなるので取り扱い注意。


先陣を切って方向性を決めるチームリーダー

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_4

シナモン

クスノキ科の常緑樹。セイロンシナモンと、それ以外で採れるカシアがシナモンの名で流通する。とにかく個性的でどこにいっても主役をはれる華やかな存在。押し出しが強く、香りも形も個性的で骨太なリーダー格と見なされている。ただし、アクも強く、使い方を間違えると、予想外の方向に突き進むことも。


クセがあっていい仕事をするベテラン

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_5

クローブ

フトモモ科の丁子のつぼみを乾燥させた独特の形状のスパイスで、肉の臭みを消す効果をもつ。独特の雰囲気を放っていて、彼の配分を間違えると料理の中でこれでもかと自分の存在を主張をし続ける。正露丸にも似た独特の風味はクセになり、使い方によってケミストリーが生まれるため、スパイス上級者から愛される。


すぐに結果を出して期待に応えるやり手

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_6

マスタードシード

アブラナ科の種子。辛みと油分をもち、すりつぶし練って料理に添えるお馴染みのスパイス。熱を加えるとポップコーンにも似た香ばしさが生まれ、彼を起用することで料理の風味に奥行きが出る。油に投入するとパチパチとはじけて、すぐに仕事を始める。最初に使うもよし、最後に油と合わせて風味づけに使っても。


物静かだが突飛な才能をもつ古参

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_7

ターメリック

ショウガ科の多年草の地下茎をゆでて乾燥させたものでウコンの名でもお馴染み。主に着色を目的として用いられ、カレーの黄色やとろみのもとになる。土っぽい香りとほのかな苦味が特徴。料理の中での存在感は基本的に薄いが、なぜか彼は野菜との相性がよく、ここ一番で起用されるといい仕事をするので欠かせない。


雰囲気が悪くなったときに丸く収める中堅社員

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_8

コリアンダー

セリ科のパクチーの種子を乾燥させたもの。古代から料理に使われていて、カレー作りに欠かせない爽やかで甘い香りをもつ。味の方向性がおかしくなったときに彼を投入すれば、味がもとに戻ることもある。トラブル時に問題を収めてくれる頼れるポジションだが、ホールは意外と入手しづらいという問題も。人材不足。


周囲を明るくするフレッシュマン

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_9

カルダモン

ショウガ科の多年草の実を乾燥させたもの。フレッシュで爽やかな香りをもち、彼を料理に入れると、一気に味が華やかになる。どんなに凡庸なカレーでも、投入された途端に味が活性化し、チームにやる気をもたらす。カレーに必須ではないが、いないと寂しい。レトルトカレーにちょい足しするのもオススメ。


周囲を引き立てるムードメーカー

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_10

ブラックペッパー

成熟したコショウの実を乾燥させた、料理に欠かせないスパイス界の人気者。仕上げに使うと素材を引き立てるが、調理中に使うと料理自体のアクセントになる。唐辛子とはちょっと違うタイプの刺激をもち、最後に彼が加わることで、さりげなく自己主張しながらも、完成したプロジェクトの格を確実に上げてくれる。


なんでもできる中途入社の剛腕

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_11

ガラムマサラ

インド産のミックススパイス。それぞれのいいところを寄せ集めたオールスター的選手。その才能を買われ入社した彼は、なんでもできるので頼られがちだが、彼の存在に甘えてしまうと、最終的にそのメーカーの味になってしまう。複雑なようである意味で無個性。本気でイチから作り上げる際には必要ないという声も。


見た目で採用されたイケメン社員

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_12

ローレル

ゲッケイジュの葉を乾燥させたもの。「カシアリーフ」の代用品にも。煮込み料理に多用されるが、必要性を疑問視する声もある。彼の姿があると料理が本格的に見えることから、使いたがる人は多い。


スター性を秘めた変わり者

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_13

スターアニス

中華料理でお馴染みのスパイスで、インフルエンザ特効薬の原料でもある。生まれながらのスター性と派手な見た目をしているのだが、クセが強いため、使い方次第で周囲の輪を乱してしまうことも。


進んで前に出ない控えめな裏方

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_14

カスリメティ

フェネグリークの葉。甘さとほろ苦さがあり、バターチキンカレーなどの仕上げによく使われる。彼がいると風味がよくなるのは間違いないのだが、基本的に存在感は希薄で自己主張も弱め。


育休を取得した社員のピンチヒッター

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_15

パプリカ

辛くない唐辛子の代用として使われてきた歴史をもつ。赤の色味づけだと思っている人もいるが、実は唐辛子らしい香りづけが主たる目的。唐辛子の代打ではあるが、刺激を抑えていい仕事をする。


変則的な働き方をするスペシャリスト

カレー研究家スパイシー丸山さんの「もしもの画像_16

ナツメグ

世界4大香辛料の一つともいわれる。鼻に抜ける甘い香りと少しの苦さをもち肉の臭み消しに昔から重宝されてきた。焼き菓子などに使われることもあるが、やはり肉相手の仕事を任されることが多い。


スパイス図鑑 監修プロフィール画像
スパイス図鑑 監修
スパイシー丸山/カレー研究家 お店情報からレシピまで精通する気鋭のカレー研究家&パフォーマー。365日カレーにまつわるさまざまなトピックを発信し続けている。 https://ameblo.jp/maruyamashu/

Photos:Hiroyuki Takenouchi
Illustration:Yutaka Nakane
Text:kinmasataka

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