肉汁がほとばしるほどアツアツで、肉の旨味がジュワッと弾ける…。バレンタインのお返しに、そんなステーキの名店に誘ってみるのはどうだろう。素敵なあの人を誘ったら、あとはステーキも会話もおいしいタイミングを見逃さないように。
都立大学カンティーナ カーリカ・リ
ステーキ×ポテトのとめどないスパイラル
アツアツの油にくぐらせ、オーブンでじんわり火入れした赤身肉にポテトを添えたヨーロッパではお馴染みの、ステーキフリット。その本場の味を追求し、独自に昇華したのが「黒毛和牛ステーキフリット」(200g)¥3,200だ。ここでは知る人ぞ知る名店が厳選する黒毛和牛のジューシーな内ももを用い、味つけは塩・こしょうのみ。仕上げに炭火で炙って水分を飛ばすから、カリッとクリスピーで女性でもパクパクいける。北海道・村上農場直送のじゃがいもを使ったフライドポテトとのペアリングときたら…ライブ感たっぷり、にぎやかなオープンキッチンの開放的なムードに、二人の距離もぐっと縮まるはずだ。
外苑前ウルフギャング・ステーキハウス シグニチャー
美食家も愛する、名門ステーキハウスの最上級店
カレーを寝かせるとおいしくなるように、牛肉も寝かせるとタンパク質が旨味成分のアミノ酸に変化し味わいが増す。熟成肉ステーキといえばアメリカ発の「ウルフギャング・ステーキハウス」抜きには語れない。青山に昨年誕生したクラシックな雰囲気のここは、アメリカ産の稀少なプライムグレード赤身肉に加え、熟成に適した銘柄を厳選した和牛のメニューも。すましバターを加え、900度の専用オーブンで皿ごと火入れした「熊本あか牛サーロインステーキ」(約600g)¥20,000は、芳醇な香気が勢いよく立ち、やわらかさも旨味も十分。
巣鴨ダ ペピ
素材も調理法も極めてシンプルその先にある奥深い旨味とは
食通がこぞって訪れる「ダ ペピ」。イタリア各地を渡り歩き、郷土料理に目覚めた野中一平シェフが営む小さなイタリアンだ。「牛グリル」¥3,600は表記はいたって簡素だが、かなり奥深い一皿。用いるのは栄養豊富な牧草を食べてのびのび育った、脂身が少なく栄養価も高いアイスランド産の牧草牛、一択。これをアツアツに熱したステーキパンで、芯部はレア感を保ちながら表面を強火で一気に焼ききる。きめ細かで肉汁が濃く、清涼感にあふれたピュアな味を生かすため、塩は仕上げにだけひとふりし、青々とした風味のオリーブ油をたっぷりと。プミラが生い茂る外観もデート向き。
千駄ケ谷CHACO あめみや
エンターテインメント性も十分丁寧かつ骨太なステーキ専門店
1979年創業のステーキ専門店。レトロシックな店内で目をひくのが高さ2m超えの巨大な炭焼き窯。ダイナミックなブロックステーキからサーロインまで好みの部位と量を選んだら、職人がつきっきりで炭の炎で炙り、余分な脂をどんどん落としながら焼成する。写真の厚さ4cmもの「ヒレステーキ」(約220g)¥4,300はサーブ後、好みの大きさに切り分け、アツアツの鋳物皿で自分好みの焼き加減にもできる。遠赤外線効果で旨味もやわらかさも十分で、胃にすっと溶け込む健やかな味。丁寧に使い込まれた食器類、親切な接客、誰かの家に招かれたような温かな雰囲気も素敵だ。
御成門WAKANUI GRILL・DINING・BAR・TOKYO
女性にもいいことずくめ、注目の骨付きラム
ラグビー選手をはじめ一流のアスリートも足しげく通う名店で、緑豊かなニュージーランドの肉を扱う専門店。必食すべきは牧草を食べて育った生後6カ月未満の羊肉で、非常にやわらかく、臭みがないのが特徴。また羊肉はほかの肉に比べて体内に脂肪が吸収されにくく脂肪を燃焼させやすいので、女性にもいいことずくめ。魅力をダイレクトに味わえるのが、炭火とオーブンを駆使し塊肉のまま焼く「WAKANUI スプリングラム」(フルラック)¥4,600。骨付きならではの深い旨味と肉汁が口いっぱいに広がる。きらめく東京タワーが目の前というロケーションにも心躍る。
溜池山王ザ シティ ベーカリー ブラッスリー ルービン 赤坂アークヒルズ
NYの今を反映したステーキは絶品のパンとともに
今、最も勢いのあるベーカリーカフェ。溜池山王にあるここは、ラグジュアリーかつ“ニューヨークの今”を反映した多国籍メニューが揃うスペシャルな空間。「えこめ牛サーロイングリル ラクレットチーズ」(250g)¥3,900は地元でとれた米をはみ育った熊本産の牛肉が主役。炭火のあとに500度まで上昇する石窯で30秒ほど焼成したそれは、肉の味は非常に濃いがすっきりとした後味。とろとろに溶かしたミルキーなチーズが食欲をかきたてる。フォカッチャやバゲットなど焼きたての自家製パンは食べ放題なので、男性もパン好きな女性もうれしい限り。
銀座マルディ・グラ
食べ合わせで無限のおいしさ。マーベラスな一皿
「肉焼きの名人」の異名をもつ和知徹シェフが営むフレンチ。シェフの遊び心がのぞく肉メニューが揃う中、シグネチャーはブラジル・イパネマ海岸から着想を得た「USビーフ サガリのイパネマステーキ」¥3,560。アンガス牛の味わい深いサガリを軽く塩漬けにし、余分な水分を飛ばして炭火で焼くため、迫力ある旨味が脳をガツンと刺激する。とろとろの黒豆と肉の煮込み・フェジョアーダ、シャキシャキのサルサ風の野菜、カリッカリの芋パウダー・マンジョーカ。食感の異なる食材との食べ合わせや緻密さが見え隠れする肉焼きの技は、圧巻のひと言。
代々木八幡関口亭
上等ながら心癒やす、知る人ぞ知るシャリアピンステーキ
代々木八幡駅すぐ、みんなに愛される街の洋食店。昨年から代官山小川軒などで研鑽を積んだ関口真太郎さんが二代目として加わり、親子二代で店を切り盛り。満を持して復活したのが「黒毛和牛のシャリアピンステーキ」¥3,000。これは昭和初期にオペラ歌手の来日の際に帝国ホテルの料理長により考案された日本独自のメニューで、「関口亭」では大量の玉ねぎとバター、本式の赤ワインの代わりに少量のしょうゆを加えてご飯に寄り添う味つけに。玉ねぎの甘味が加わったソースと上等なA5ランクのサーロインをからめながら焼き上げた一皿は、リッチで上品ながらほっとする味。
渋谷渋谷焼肉 KINTAN
焼き肉の名店のレアメニューを堪能する
大人のためのワンダーランド、リニューアルした渋谷PARCOレストランゾーン。店内までの長めのアプローチでワクワク感を誘うのがここ。基本は焼き肉店だが稀少ゆえにここでしか食べられない「ミスジのLボーンステーキ」¥1,980がある。スタッフがガスコンロを使って丁寧に焼き上げるミスジはL字形の骨付きなので肉の繊維が縮まらずにやわらかいまま。食感もよく骨が近いため旨味も凝縮。はさみでカットしたら鬼おろしで削った大根たっぷりのおろしポン酢でさっぱりと味わう。空間全体がエンターテインメント性たっぷりで雰囲気の異なる個室も6つあり。
目黒セラフェ
フランス帰りの肉愛シェフによる旨味はじけるステーキ
パリで最もおいしいステーキ店と評判の「ル・セヴェロ・パリ」で肉の仕入れから熟成、肉焼きまで、肉にまつわるすべてを熟知した肉愛シェフの齊田武さんが腕を振るう。名物の一皿は本場フランスから直輸入した「仏式熟成サーロイン」(250g)¥6,000。到着後、店内の専用庫でなんと7カ月もかけて熟成するため脂がゆっくり赤身に溶け込み旨味へと変化。鉄のフライパンでダイナミックに焼成したそれは圧倒的な旨味と深い余韻で、すごみさえ感じる。揚げ野菜も格別で舌の肥えた女性に「ステーキ自体の先にあるおいしさ」を伝えられる。
Hair&Make-up:Rumi Hirose
Stylist:Junichi Nishimata
Model:Marika Kai
Text:Yukino Hirosawa