水炊き、しゃぶしゃぶ、すき焼き…。日本の鍋は最高だけど、実は今、世界の鍋がアツイんです。海外に行かなくても、日本で絶品鍋が食べられる。特にオススメが、アジアのユニークな鍋料理4選!
キッチン トムヤムクン鍋
ほんのり甘くて辛くて酸っぱい! めくるめく味の虜に
ベトナムをこよなく愛する店主の鈴木珠美さんが作る鍋は、隣国で深い結びつきのあるタイの食文化も詰め込んだ「トムヤムクン鍋」2人前¥7,600(税込み)。帽子を逆さにしたようなラウと呼ばれる鍋に、ぐるりと囲むように魚介や豚バラ肉、トマトや香菜、クレソン、きのこ類がどっさり。それらを自由に組み合わせ、レモングラス、生姜、唐辛子などを加えた酸っぱ辛いスープでしゃぶしゃぶ。巧みなハーブやスパイス使い、独特の酸味や辛味・マイルドな甘味や塩気が絡み合って変化する味、華やかな香り、すべてがハイレベル。五感を揺さぶるおいしさだ。
松記鶏飯(ソンキージーファン) 肉骨茶 潮州スタイル
ガッツリ肉と漢方スープでスタミナがほとばしる!
近年、注目を浴びているシンガポール料理。「都市部は目まぐるしく変わるけれど、路地裏に一歩入れば昔ながらの景色、味が残る」と店主の松本裕介さん。現地へシェフとともに頻繁に足を運び、完成したのが土鍋に入った「肉骨茶 潮州スタイル」2人前¥1,900。本来は港町の朝食だったという屋台飯は、がっつりと肉がまとわりついたジューシーなスペアリブを八角などの漢方食材とともに白胡椒をきかせたパンチのあるスープでぐつぐつ煮込む。甘味さえ感じるとろりとした皮付きにんにくも絶品で、揚げパンの「油条」¥380を浸して食べるのが本式。
馬記 蒙古肉餅(マーキーモウコローピン) 蒙古火鍋
泣けるほど優しく、深い。中国北部の伝統鍋
モンゴルに隣接する中国最北の自治区・内モンゴル。ラム肉のしゃぶしゃぶがデイリーな鍋だとしたら、「蒙古火鍋」¥3,800(税込み)はハレの日の鍋。銅製の鍋に切り昆布、春雨、白菜、鶏団子、凍り豆腐、きくらげ、牛肉(スネとバラ)を隙間なく重ね、牛肉の骨でとったスープで煮込む。何年もつぎ足して旨味を凝縮させたスープは濃い茶色だが、見た目に反してまろやかで奥行きある味。そこに最小限の調味料で素材本来の旨味を十二分に引き出す、“重ね煮”という調理法を掛け合わせる。迫力満点だが、思いのほか優しい味に心がホッとする。
李朝房(イジョバン) ホルモン鍋
ホルモンの多彩な味、食感にノックアウト!
白金高輪にある、知る人ぞ知る焼き肉の名店。七輪で焼くそれも最高だが、ぜひ食したいのが「ホルモン鍋(中)」¥3,900。白濁した牛骨スープに唐辛子や自家製のタテギなどを加えた赤々とした旨辛スープには、長ねぎやごぼう、白菜などの野菜とともに和牛ホルモンがゴロゴロ。毎朝、芝浦の食肉市場まで通って仕入れるというこだわりで、超新鮮なうえに下処理やカット法が実に緻密で丁寧。ゆえにぷりっぷり、シコシコ、とろん…小腸や大腸、ギアラ、ミノ、ハチノスなど個々のホルモンの個性がきらめく。ラストは「サリ」¥600と呼ばれる乾麺でシメて。