2021.03.18

ぬか床に恋して…。実録! 「漬物」沼にハマった男たち

寝ても覚めても考えるのは漬物のことばかり。そんな「漬物」沼にどっぷりハマった男たち。彼らは何に魅せられたのか?

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ぬかパパ 会社員として働くかたわら、趣味で「ぬか床に恋して」というサイトを立ち上げて、いろいろなぬか漬けをアップしている。自分でつくったぬか漬けを肴に晩酌する時間が何よりも幸せ。

ぬか漬けが好きすぎて、サイトを立ち上げてしまった!



ぬか漬けづくりにハマったきっかけはスーパーで見つけた初心者用のキットだった。「試しにキュウリを漬けてみたら、簡単にできて想像以上においしかったんです。初めは家族が寝静まった深夜に一人で漬けていたのですが、せっかくならその魅力を広く伝えたいと思いブログを書き始めました」。そして、2018年にオリジナルサイト「ぬか床に恋して」を開設。アボカドやパプリカなどの野菜からバナナやリンゴといったフルーツまで、とにかくいろいろな食材を漬ける様子をアップしていたら話題に。中でも変わり種を漬けるシリーズが人気で、さけるチーズやさしみコンニャクなど、コンビニで買えるおつまみに特化して漬けていた時期もあった。「ぬか漬けって基本的に何を漬けてもいい。意外とおいしかったのは納豆です。スパゲッティのぬか漬けを使った“ぬかロンチーノ”はまずまず。ショウガとラッキョウは完全に失敗でした。実際にやってみないと何がおいしいかはわからない。その宝探しをするような感覚にワクワクするんです」。これからも新たなぬか漬けづくりの野望は尽きない。いま最も挑戦したいのはシャインマスカットだとか。「普通に食べたほうがおいしいのはわかっているのですがやってみたい…。家族に反対されているのでこっそり漬けるしかないですかね(笑)」。

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こちらはロマネスコ、リンゴ、アボカド、パプリカ、チンゲン菜、レタス、ゆで卵のぬか漬け。「たくさん漬けると冷蔵庫を占領してしまうため妻からは不評なのですが、やめられないですね!」。


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発酵デザイナー/小倉ヒラクさん 発酵に関する商品開発やワークショップを主宰。昨年4月、下北沢に「発酵デパートメント」という全国の珍しい発酵食品を揃えるお店をオープン。著書に『発酵文化人類学』など。

ぬか床と会話できる!? 発酵ロボット「NukaBot」で最高のぬか漬けをつくる!



発酵食品の魅力に取りつかれ東京農業大学で微生物の研究をし、発酵文化にまつわるさまざまな活動を行っている小倉さん。「もともとぬか漬けを食べるのが大好き。ただ、なぜぬか床に食材を漬けるだけでおいしくなるのか、そのメカニズムが解明されていないことにモヤモヤした思いを抱えていました」。そんなある日、情報学者のドミニク・チュンさんと出会い、ぬか床にいる微生物とコミュニケーションがとれたら面白いのではないかと盛り上がった。すぐにたくさんのセンサーを買い込み、それらをすべてぬか床の中に入れて手当たり次第にデータをとった。ぬか床の微生物の働きを数値化する作業の結果、実に多くの菌が複雑な働きをしていることが判明。さらに仕上がったぬか漬けをチームで試食し、おいしいと思ったものから点数をつけ、データと突き合わせ数値を分析。するとチームが高く評価したぬか漬けは、いくつかのパラメータの数値が高いことがわかった。そのデータをもとに生まれたのが、発酵ロボット「NukaBot」。ぬか床をモニタリングし、混ぜるべきタイミングや食べ頃を教えてくれるロボットだ。微生物とコミュニケーションをとりながら、一緒においしいぬか漬けをつくることを可能にした。「現在NukaBotは数台しかないのですが、一般の人も使えるように製品化を目指しています。そして、そこでもデータを収集しクラウド化して解析することで人類のぬか漬けの多様性をブーストするのが夢なんです」。

現在数台あるNukaBotからそれぞれのぬか床のデータが送られ、クラウド上で共有。「こうした日々のデータの蓄積によって、おいしいぬか漬けをつくる条件について分析を行います」。
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NukaBot
NukaBotに話しかけることでぬか床のコンディションを確認できる。一方でNukaBotはセンサーの数値をもとに人間にぬか床をかき混ぜるように催促する。



Photos:Hiroyuki Takenouchi
Text:kinmasataka

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