写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけを訪問。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる連載。今回は久保勝也さんが愛する博多ラーメン店へ。
今月のあの人
シンプルで美味。サクッと食べられます。
うちの博多出身のスタッフも太鼓判です。
久保勝也さん/Guru’s Cut & Standオーナー
美容室と、スケートボードやキャップなどを売るスタンドを融合させた祐天寺の「Guru’s Cut & Stand」を2009年よりスタート。「ラーメンは替え玉もアリ」。
撮影・文・食/平野太呂
第16回祐天寺 博多ラーメン。
背水の豚骨ラーメン
あれはいつ頃だったか、豚骨ラーメンを食べると翌日にお腹を下すようになったのは。焼き肉屋ではカルビから徐々にロースに切り替わったのもあの時期。考えてみればその頃から胃袋的に大人になったのだろうか。自分に限ってそんなことはないと思っていたけど、確実にやってくるのだな。人生の折り返し地点を胃袋がそっと教えてくれる。
“グルズ”の久保くんが勧めてくれたランチは「博多ダイナー 琉」の豚骨ラーメン。おっと、どうなることやらと思いながら店内に入ると豚骨ラーメンを出すお店の匂いがまったくしない。店内もなんだか居酒屋的な雰囲気で、壁に貼られたポスターから店主の音楽好きがあふれている。つまり、豚骨ラーメン食って替え玉したら出て行けー!って雰囲気がないのだ。店主の森田さんは九州男児。居酒屋をやっていたが、豚骨ラーメンが評判になり、昨年からは専門店に変えてしまったそうだ。「豚骨ラーメンは最終手段、今まで敬遠してたんですけどね」と話す。音楽の話や古い車の話をうれしそうに話す森田さん。森田さんの「好き」を真っすぐに受けて、お店ってのはこうしてお客さんとのキャッチボールでつくっていくものなんだなと思う。
それで、お腹のほうは大丈夫だったのかって? なんと全然、大丈夫でした!
博多ダイナー 琉
博多出身の店主が切り盛りするラーメン店。濃厚な豚骨スープとコシのある麺、シンプルながらもすでにファンの多い「博多ラーメン」は¥800。
東京都目黒区祐天寺2の4の3
TEL:03(6303)4723
営業時間:12時~14時30分、18時~23時
定休日:木・日曜
Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。