写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。イチオシのメニューを食べて、本音をつづる連載。今回はスタイリストという枠を超えて活躍する梶さんのおすすめへ。
今月のあの人
知人に教えていただいたお店。
とんかつ屋さんですが、
ランチのカツカレーがイチオシです。
梶 雄太さん/スタイリスト
1998年からスタイリストとして活動を始め、現在はファッションブランド「SANSE SANSE」のディレクションなども行う。「駐車場があるのも便利です」。
撮影・文・食/平野太呂
第15回奥沢 ランチのロースカツカレー。
城南のカツカレー
梶雄太は旨そうに飯を喰う男だ。20代の頃に知り合って、仕事も遊びもたくさんともにしてきた。天然で日焼けした肌とつぶらな瞳。豪快に笑うけれど、どこか恥ずかしそうで。そして何かを喰う姿が印象的なのだ。ロケバスの中で頰張る納豆巻き、ファミレスでかきこむジャンバラヤ、思えば食事をともにすることも多かったな。これからもそうあることを願うよ。
僕にとって梶くんは城南の男。東京は江戸城を中心にしてエリアを東西南北に分けることがあるが、僕は城西の住人、梶くんは城南の人。城南は閑静な住宅街にプラスして少し海の香りのする風通しのいい場所。紹介してくれたのはやはり城南地区の住宅街に佇む「とんかつ ミカド」だった。お薦めメニューはカツカレー。なんとも梶くんらしい選択でうれしくなってしまう。
1939年創業の老舗でありながらまだ二代目のご主人だという。なので間違いなく味が引き継がれているのだ。偉ぶった感じがまったくしない店内、おばさまたちの給仕も自然でかわいらしい。店に入ればここがいかに地域の皆さんに愛されているかすぐにわかる。手作りカレールーの上にのるとんかつはほのかに甘く、カツカレーのカツはけっして脇役ではないことを教えてくれる。そして手作りマヨネーズのサラダが優しい。誰かを思い浮かべながらの食事っていいもんだなという気分で店を出た。
とんかつ ミカド
1939年創業の奥沢の名店。歴史を感じつつも清潔感のある店内は落ち着ける空気に満ちている。「ランチのロースカツカレー」は¥1,200。
東京都世田谷区奥沢3の5の9
TEL:03(3727)4156
営業時間:水〜土曜11時~14時、17時30分~19時30分L.O.、日・祝日17時30分~19時30分L.O.
定休日:月・火曜
Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。