2023.10.14

【大人のユニクロ】10月22日まで開催。回収古着のリメイク販売「オールド・ユニクロ」を買ってみた!

SDGsに根差した「RE.UNIQLO」の一環として「UNIQLO 古着プロジェクト」が始動。10月11日(水)から22日(日)まで、回収したユニクロの古着を販売(一部リメイク)するポップアップを原宿店で開催中。編集部員の薬師神と北條も購入してみた!

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「オールド・ユニクロ」を青田買い!

ここはユニクロ原宿店の地下1階で開催されているユニクロ古着の物販イベント。持続可能な開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)を掲げ、循環型社会を目指すプロジェクトとして2020年9月に始動した「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」の取材に編集部員の薬師神と北條が訪れた。


薬師神:近ごろヴィンテージ収集家からよく耳にするワードが「OLD GAP」よね。90年代の「GAP(ギャップ)」には“ザ・アメリカ”な魅力が詰まっていた。


北條:ラルフローレン、リーバイス、チャンピオンらの年代鑑定および収集は古着ツウのイロハです。今や黎明期の「ユニクロ」コレクターまでいるとか。


薬師神:いやはや。



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そもそもが匿名性の高いアノニマスな廃棄衣料を回収・再販売する古物商許可事業が、ファッション・アパレル流通システムにおいてアウターリムな一端を担う古着屋の定番スタイルだ。だが審美眼を駆使したファッション感度の高い古着屋の台頭は当然の帰結であろう。日本では80年代から規模を拡大しつつあったデザイナーズ古着屋や稀少価値の高いユーズド品を取り扱うヴィンテージ古着屋など、マニアやコレクターを顧客として枝分かれしつつ独自の発展を遂げてきた。

北條:どアップで失礼をば。実は過去イチ期待している「ユニクロ」取材。「ブルックス ブラザーズ」でも自社の古着を旗艦店で販売するなど、最近はアパレル物販と古物商許可事業との併設業態が増えています。



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北條:時期的にもタイムリー極まる。いざ、「オールド・ユニクロ」を買うべし!

薬師神:ちょいとお待ち。まずは、回収したユニクロ衣料に手を加えてユニクロで再販売するという循環型プロジェクトの趣旨を理解してからかと。これぞ、物欲に支配されぬ「大人のユニクロ」の流儀。


北條:お恥ずかしい…。


サステナブル意識の高いグローバル企業の「ユニクロ」では、国内店舗でのウルトラライトダウンの古着回収を2019年9月にスタートし、翌2020年3月までに計62万点を回収。戦略パートナーである東レと協業したダウンとフェザーの自動分別技術の成果物として、同年11月にリサイクルダウンジャケットを生産・販売している。このスキームを世界規模に発展させ、2020年9月には世界に2,000店以上あるユニクロ店舗での古着回収を軸とした「リ・ユニクロ」が立ち上がった。


薬師神:まったくのチャリティ活動ですと、2006年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とタッグを組んで、ユニクロの回収古着をアフリカの難民キャンプに寄贈しているんですって。すばらしい。



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ウルトラライトダウンの分解再生産を別とすると、これまでの事業としての「リ・ユニクロ」は購買客から生産サイドへの逆流一方通行だった。あと半周、生産サイドから購買客へと回収衣料を完全に循環させる初のトライアル企画第一弾として、世界中で回収した3年分の衣料に手を加えて販売する物販イベント「RE.UNIQLO古着プロジェクト」が待望の始動。ユニクロ原宿店(WITH HARAJUKU 地下1階 スペース・ストリート)にて10月11日(水)から22日(日)まで開催中。

薬師神:タグに「オーバーダイ」と書いてあるね。価格も1,990円からだから新品とほぼ変わらない。このラック全部、製品染めってことかしら?


北條:これが、「回収したユニクロ衣料に手を加えてユニクロで再販売する」という循環型プロジェクトの具体的な施策です。四半世紀以上に渡る年代とシーズンを網羅する雑多な「ユニクロ」古着を後加工で製品染めすることで、一定基準のルックスを保つという。


薬師神:ナイスアイデア。


北條:加工前の商品カラーは白に限定せず、グレーやブルーや薄い他色までごった煮でしょう。その混沌が製品染めで均一に整えられ、まったく新しい“LifeWear”として付加価値が再生産されている。









オーバーダイTシャツ(回収古着)


¥1,990



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北條:あと、このブランドネームに注目!

薬師神:なんと、「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」ではありませんか。製品染めなんてあったっけ?


北條:ブランド始動は2016年秋冬からですけど初めて見ました。例外とはいえ、オフィシャルに「ユニクロ ユー」の後加工商品が買えるとは驚きです。ただ、メタルスライム並みに探すのに一苦労。


薬師神:「+J(プラス ジェイ)」の古着は?


北條:今のところ見つかりません。


薬師神:陳列は色別、アイテム別くらい?


北條:はい。サイズ分けはされていません。ネック箇所を毎回チェックしないとなので大変です。



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北條:とりあえず、私はブルーに製品染めされた「ユニクロ ユー」のTシャツを買います。そもそものベースがブラウンだったのか、生地はブルーに製品染めされてもブラウンステッチは染色されずにピンク色っぽく見えます。こんな「ユニクロ ユー」、見たことない。

薬師神:いかにも。ボクも同じく製品染めされたネイビーのTシャツとパーカを試着してみる。



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ヴィンテージライクな製品染め加工である「ガメダイ®」は、石川県能美市に本社を構える小松マテーレ社が手掛けた。高圧染色機を用いた染色技術は製品染めの本場であるイタリアに匹敵するクオリティ。イタリア在住の同業者とアライアンス契約を結び、約20年に渡る技術連携によって磨かれている巧みの技だ。

北條:古着は一期一会。買いますか?


薬師神:うーん。風合い的に古着のパンツには合いそうだけど、あんまり持ってないからやめときます。代わりにこっちのTシャツを買っておこうかと。


北條:こ、これは…!?









オーバーダイTシャツ(回収古着)


¥1,990



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北條:タグに「U」が12個配置された初期型「ユニクロ ユー」ですね。2016年秋冬スタートですが半袖の商品展開はありませんでしたから、翌2017年春夏か2018年春夏の古着であると推測。ちなみにもっと昔、2015年5月リリースの2015年秋冬には「U」になる前のコラボラインとして「UNIQLO AND LEMAIRE(ユニクロ アンド ルメール)」なんてのもありました。

薬師神:Sサイズだしボクはぜったい着れない。でも、観賞用のレアもの買いもありかと。


北條:「オールド・ユニクロ」ゲットだぜ!



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薬師神:あと、「ユニクロ」のレギュラーラインで妙なタグを発見したんだけど、北條さんわかる?

北條:あっ(察し)。


薬師神:ん? 丸の中にXLのサイズのみ。


北條:英字の「UNIQLO」を排除したサイズタグは「ファッションのユニクロ」として羽ばたく前のレギュラーラインでよく見かけました。いわゆるユニバレを防ぐ目的だと当時から噂されていましたが。


薬師神:今では考えられない意識だね。もとのチェック柄がわからないほどに濃色でオーバーダイされているけども、いつ頃のシャツなんでしょう?


北條:消耗品のカテゴリーから脱却して「ファッションのユニクロ」として市民権を得たタイミングは、その後のコラボフィーバーの先駆けとなった「+J」が爆誕した2009年10月あたり。ゆえに、このシャツはそれ以前のモノであると推測します。


薬師神:背景を推測すると面白い。









オーバーダイシャツ(回収古着)


¥2,990



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北條:今回の「RE.UNIQLO古着プロジェクト」で再生産された古着にはリサイクルマークがプリント。現時点では「オールド・ユニクロ」に関する二次流通市場もそこまで熱くないですけども、混乱が起きぬよう後加工前の当時モノと明確に区別されているようです。

薬師神:おっと。フリースにもユニバレ防止のサイズタグを発見。Lサイズだけど。


北條:一律1,000円とは破格すぎる。あと、ユニバレ防止はあくまでも噂ですので念のため。









フリース(回収古着リユース)


¥1,000



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薬師神:Lサイズ。そこまで小さくないから最近の古着かも。この前に発売された「UNIQLO : C(ユニクロ:シー)」のベージュと合わせてみたい。

北條:そのフリースと「ユニクロ:シー」ですと、干支がひと回りするコーディネートでは?


薬師神:年代の判別方法を知りたい…。


グローバル企業である「ユニクロ」のマイルストーン的商品、フリースジャケットの登場は1994年。前身である小郡商事時代の1984年6月2日、ユニクロ1号店が広島市中区に開店。同年9月に柳井等の息子である柳井正が代表取締役社長に就任し、1991年9月に小郡商事からファーストリテイリングに社名変更。1994年に登場したフリースは、1998年には売上目標200万枚、翌1999年には同850万枚でいずれも完売し、フリース50色キャンペーンを打ち出した2000年秋冬は2,600万枚という驚異的セールスを記録した。


北條:10年の誤差はあるかもしれませんが、信頼の置ける筋からの情報で、「ユニクロ」の洗濯タグで製造年を判別する方法をゲットしました!


薬師神:信頼の置ける筋!



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まず、首の後ろにあるネックタグでの年代判別方法。ネイビーの生地に白抜き文字で「UNIQLO」と書かれた通称“紺タグ”は、1990年代後半から2004年頃まで使われていたヴィンテージになる。

北條:残念ながらこの紺タグは取材時間内には発見できず。次の判別方法は以下。


さらに細かい「製造年」は腰裏の洗濯タグに記載された管理番号のカッコ内数字が示している。ハイフン(-)の前2つの数字が製造年(下1ケタ)とシーズン(1=冬、2=春、3=夏、4=秋)を表し、ハイフンの後ろの数字は意味を成さない。ただ、製造年の1のケタは判別できるが、2000年代なのか2010年代なのか10年の開きはサイズ感や着古し具合で確かめる必要がある。なお、この判別方法は90年代の商品には該当しない。


薬師神:ベージュのカッコ内数字は(84-04)だから2008年秋か2018年秋ってこと?


北條:はい。ユニバレ防止の丸サイズということは「+J」爆誕イヤーの2009年以前の可能性が高く、2008年秋シーズンの古着だと思われます。



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薬師神:珍しいボーダー柄のフリースは「UNIQLO」の代わりに「MICRO FLEECE」とネックタグに書かれた変わり種。洗濯タグのカッコ内数字が(04-01)だから、製造年は2000年秋か2010年秋ってこと?

北條:ユニバレ防止したいところですが、丸サイズ表記ではないので製造年は2010年秋かと。


薬師神:ボーナスあげます。


北條:お金で買えない価値が欲しい。たとえば今は現存しないユニクロ一号店、ユニーク・クロージング・ウエアハウスの1984年のオープン時に広島市中区袋町で配布されたチラシなど。


薬師神:いつの間にか北條さんもオンブレチェックの赤いネルシャツに着替えとる。









オーバーダイシャツ(回収古着)


¥2,990



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北條:レッドの製品染めシリーズで、運よくXLのオンブレチェックシャツを発掘しました。カッコ内数字の最初の2文字は24なので2002年秋か2012年秋。黒タグは最近のものなので製造年は2012年秋が適当でしょう。2022年のXLサイズはもっと大きいはず。

薬師神:野球解説者みたいだよ。赤は着ないけど、色合いがラフな製品染めならばアリかも。



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連綿と続く「ユニクロ」の歴史を「ユニクロ」の古着で着る「RE.UNIQLO古着プロジェクト」。

ゼロ年代を振り返ると、ファーストリテイリングの2001年8月期は売上・経常利益ともピークに達し、イギリスに進出。2002年9月には中国上海市、2005年9月には中国、香港、韓国に出店した。2002年と2003年は利益に落ち込みが見られたが、2004年度には業績が向上。そして2006年11月、米・ニューヨークのソーホーに待望のグローバル旗艦店を出店し、上海にもアジア旗艦店を出店。これらを踏まえて「RE.UNIQLO古着プロジェクト」を楽しむと、違った着心地が得られそうだ。



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薬師神:いつもの媒体プレス担当ではなく、企業広報さんが対応していたのも印象的。今回のユニクロ古着、北條さん的にどうだった?

北條:回収した古着に後加工で製品染めが施されていますし、完全にリメイク古着の域ですね。小松セーレンの製品染めは業界でも定評があるので今後もピンクとか紫とか桃色とか増やして欲しいです。「ユニクロ」の新規商品と考えると価格帯は安いかと。



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薬師神:今回は短期間限定のトライアル開催でした。第二弾や継続出店もありそう?

北條:文字通り、ようやく回り出した「RE.UNIQLO」は柳井康治=ファーストリテイリング グループ上席執行役員の肝入りプロジェクトです。次は90年代ヴィンテージ、ゼロ年代、10年代の年代別デニムパンツに特化など、第二弾も必ずや企画されるでしょう。古着屋の常識であるサイズ別の陳列はマストで!


薬師神:棚もぐちゃぐちゃになるもんね。状態の良い古着のリユース販売も一部あったけど、これも「ユニクロ」マイスターみたいな、年代や製造年を調べてくれるコンシェルジュがそばにいてくれると嬉しい。


北條:人手不足ならば私たちをバイトで雇ってもらってもいいですけども。


薬師神:やります!



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ガチ買いして取材終了。今回の期間限定ポップアップで得た売上げの一部は社会福祉法人「渋谷区社会福祉協議会」に寄付される。果たして、「オールド・ユニクロ」ブームの火付け役となるか!?

薬師神:ていうか、ユニクロ側にとっては循環型社会に向けたSDGsな取り組みだよね。念のため。


北條:御意。



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オマケの1枚。編集部に戻るや否や、薬師神が購入したメンズSサイズのヴィンテージ「ユニクロ ユー」は穂上がゲット。さっそく着用して仕事中。

穂上:ユニクロが手掛けるユニクロの古着は、お香のようなあの独特の古着臭がしませんね。


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UNIQLO古着プロジェクト ポップアップストア
期間:2023年10月11日(水)~10月22日(日)
開催場所:ユニクロ原宿店
/WITH HARAJUKU 地下1階 スペース・ストリート
販売商品:製品染め古着(後加工)、洗浄済みリユース古着
UNIQLO古着プロジェクト特設サイト

アイテム(価格) ※一部:
Tシャツ(¥1,990)、カジュアルシャツ(¥2,990)、
スウェット(¥2,990)、チノパンツ(¥3,990)ほか

Text: Takafumi Hojoh

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