3月3日(金)に発売される「ジーユー アンド ビューティフルピープル」の初コラボで40歳男子は何を買うべきか? 先んじて取材した記者会見で、デザイナーの熊切秀典(1974年生)に直接聞いてみた。ライダースは小さいかも…って本当ですか?
ここは「GU マロニエゲート銀座店」。いよいよ3月3日(金)に発売されるスマッシュコラボ「GU and beautiful people(ジーユー アンド ビューティフルピープル)」のプレス内覧会が2月21日(火)に開催され、本コラボのキーマンである「ビューティフルピープル」デザイナーの熊切秀典が登壇。
カラフルかつポップな商品構成でほとんどがユニセックス。しかも、いつもの「GU」とは違う今回のコレクションオリジナルのサイズ感なので、大人にとってはチョイスが難しいという声もチラホラ…。
熊切のお勧め、その筆頭が柄物ニット。前編の試着ルポではピックアップしなかったアイテムだ。
熊切秀典:「どこの風景?」とよく聞かれるんですけども、アロハシャツの柄をニットに起こしています。通常ならば半袖のレーヨン素材であるところを、長袖ニットでシックに着こなしていただけたら。アロハと考えると、明るいスカイブルーも受け入れやすくなるはず。
男性と女性、大人と子供などの相反する要素を掛け合わせ、既成概念や常識を打ち破る服づくりは「ビューティフルピープル」のお家芸。本コラボのアロハニットにもユニークなアプローチが垣間見える。
プレス内覧会での私服の通り、熊切本人は黒好き。昨今では珍しいスキニーシルエットのブラックデニムと標準サイズのパーカーに共感する40歳男子も多いはずだ。長年慣れ親しんだリアルスタイルをベースに、気負わずに本コラボを上手に消化しよう。
熊切:コラボで掲げたテーマは「青春」です。若い子には新鮮で、私たち大人にとっては80年代や90年代の懐かしいスクールデイズを思い出すはず。これはブルゾンと言うよりもアノラックと呼んで欲しい。学ランのパンツに合わせるイメージで着てください。
熊切:ペイズリーっぽく見える波柄の切り替えは着物の柄にインスピレーションを得ました。確かに私は神奈川出身ですが、葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」を思い出すならば、それも自由だと思います。
熊切:パリコレに持っていくならば、手前の黒Tシャツと奥のグリーンのジャージですかね。
プレス内覧会の数日後にパリ出張を控えていた熊切。コンセプチュアルな洋服だけでなく、いわば「GU」と「ビューティフルピープル」ファンへのサービス精神で加えた即完売アイテムもあるという。
これで1,490円(税込)はさすが「GU」コラボ。最大サイズのXXLとXLは初日完売必至。
翔陽高校好きなのか、熊切はグリーン推し。ネイビーを紹介した前編も参考に、上下セットアップで揃えて大人の休日カジュアルを完成させたい。
熊切:スラムダンク世代に響くかはわかりません。バスケ部のジャージにインスピレーションを得たアイテムであることは確かです。自分たちの強みであるパターンテクニックによって実現した着心地の良さとシルエットの美しさを、今回のコラボレーションを通じて多くの人に体感してもらいたいと思います。
素材は部活ジャージとは一線を画す。コットン82%・ポリエステル18%の混紡で、着心地は意外にもコットンパーカーに近い。ジップを上げるとアゴ下まで隠れ、バラクラバのような着こなしも可能。
ラインナップの一部に「ビューティフルピープル」のロングセラー商品も加えてあり、その代表例が3足1セットの靴下「Sock A Trois(ソック ア トロワ)」だ。通常ならば3,000円台から4,000円台の贅沢小物が、一気に大人買いできるリーズナブルプライスになった。「23~25cm」と「25~27cm」の2サイズ展開。
熊切:色違いで複数セットの購入がお勧め。左右で色や文字の組み合わせを変えるなど、自由にコーディネートを楽しんでもらえたら嬉しいです。
熊切:私は普遍的でオーセンティックなデザインやプロダクトに絶対的な信頼を寄せながらも、同時に究極の退屈を感じてしまうというかなり天邪鬼な、言い換えればデザイナーっぽい気質を持っています。 自分が手掛けるプロダクトやデザインにおいても、退屈と新鮮、信頼と裏切りなど相反する感情を同時に想起させるような「今までにない、ありふれたもの」をつくることを目指し、日々ものづくりに挑んでいます。
最後に要注意。争奪戦覚悟のライダースジャケットは他のアウターと比較して小さめ。
熊切:私もXXLでギリギリかも…。
これは、大人と子供が同じサイズの服を着用できる「大人のための子供服」をコンセプトに作り続けているライダースのカテゴリーが「キッズシリーズ」に属するという、独自のブランド哲学に拠るもの。「GU」としては新しいサイジングに帰結しており、ライダースに関してはサイズがタイトめな作りになっているのだ。
熊切:身長マイナス10cmのサイズ感を提案しています。今回のコラボレーションアイテムでは、「ビューティフルピープル」のことを知らない人にこそ、あえて普段よりも1~2サイズ小さなライダースを提案することで、新しい発見をしてもらいたいですね。
ただ、90年代フェミ男ブームやエディ・スリマンのタイト&リーンを経た40歳男子ならば、懐かしさとともに余裕で着こなせるフィット感ではある。
全ラインナップを買えてしまうほどのリーズナブルな価格帯であるにせよ、ジェンダーレスかつユニセックスで、着用ハードルは通常の「ユニクロ」コラボの上を行く。これぞ、「大人のGU」だ!
2023年の衝撃コラボをもっと知りたい!