
ユニクロダウン“暖かさ順”、完全版!
師走に突入し、ダウンジャケット市場は最終局面に突入。グローバルブランドの「UNIQLO(ユニクロ)」においてもダウンの入荷が整ったタイミングだが、2024年の今年は新機軸となる中綿アウターを絡めた二本柱での提案で、今までとラインナップが異なる。そこで先月末、ダウンと中綿を含むメンズ10型を暖かさ10段階の☆付きで判別し、毎年恒例の「ユニクロダウン試着ルポ(暖かさ順ベスト10)」で総まとめしてみた。
だが、公開後の情報解禁も多々あり、型数が増え順位変動もあった。そこで改めて暖かさ順を再集計。“完全版”として記事化する。

まずは今冬の大前提から。
昨年度の2023年冬と比較すると、2022年冬から2年連続で暖かさ順のトップだった「ウルトラウォームハイブリッドダウンコート」と昨年の新作だった「パウダーソフトダウン」が欠番するなど、ダウンとウルトラライトダウンの名を冠したアウターが激減。その穴を、東レと共同開発した高機能中綿アウターである「PUFFTECH(パフテック)」が、同じ防寒アウターのカテゴリー内で絶妙に棲み分けるかたちで埋めている状況だ。
2024年冬のメインラインの「ダウン」と「パフテック」のメンズはたったの8型。それを、4型の「コラボ特別コレクション」と1型の「スペシャル限定コレクション」がカバー。そう、暖かさを「全型調査」できてしまう型数なのだ。



暖かさ順の調査場所は「ユニクロ」のプレスルーム。なお、試着担当は昨年度(2023年冬版)に引き続き若林拓也がメインだが、過去記事も加わるため、他のモデルや編集部員も登場する。
既報の「暖かさ順ベスト10」記事も参考になるが、新情報に基づいた3型を加えたメンズ全13型を網羅したアップデート版は、それ以上の価値がある。ラインナップを把握して、選び抜いた「ユニクロ」ダウン(メンズ)で年越しして欲しい。
《暖かさ第13位》パフテックコンパクトベスト ¥3,990
暖かさ:★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆

暖かさ「第13位」は2024年冬の新商品「パフテックコンパクトベスト」。2023年まで発売されていた「ウルトラライトダウンコンパクトベスト」が、東レと共同開発した機能中綿素材で刷新された。パフテックのメカニズムは、暖かさを閉じ込める髪の毛の約1/5の細さの中空糸が肝となる。
この中空糸で構成される中綿は「ポリエステル100%」であり、昨年までの「ダウン90%・フェザー10%」のウルトラライトダウンと比較すると暖かさ減は否めない。だが、「羽毛抜けしない・手入れが簡単・日本の不安定な気候変化に対応・室内外の寒暖差に対応」などの利点もある。


襟を折り込むと深いVネックとしても着用可能で、スーツのインナーに差し込んでもパフテック部分は見えない。昨年度のウルトラライトダウンと比べて薄さに秀でており、着膨れもしづらい。パッカブル仕様なので通勤バッグに入れておきたい。
「ユニクロ」が推す新しい機能素材「パフテック」のエントリーアイテムとして、優れた機能面をまずはこのベストから体験してみては。
《暖かさ第12位》ウルトラライトダウンベスト ¥4,990
暖かさ:★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆

750フィルパワー以上の高品質なプレミアムダウンを使用。昨年度の「ウルトラライトダウンベスト(ワイドキルト)」を引き継ぐ「ウルトラライトダウンベスト」が暖かさ「第12位」だ。テック感を控えめに変更したマットなカラーパレットや、幅を狭めたダウンステッチのピッチなど、細かくマイナーチェンジ。より都会的な見た目になった。


今冬の「ユニクロ」の「ダウン&パフテック」素材のベストは以上の2モデル。ビジネス用途ではパフテック、カジュアル用途ではウルトラライトダウンが適当だ。繰り返すが、昨年まで販売されていた、スナップボタンで深めVゾーンに変更可能なウルトラライトダウンのベストは2024年の冬は存在しない。店頭で迷わぬよう注意しよう。
《暖かさ第11位》ウルトラライトダウンジャケット/NANODESIGN ¥6,990
暖かさ:★★★☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆

昨年まで、ダウンパックを採用しない「薄いほう」の「ウルトラライトダウンジャケット」と、ダウンパックを採用するボリュームのある「ウルトラライトダウンジャケット(3Dカット)」の2モデルが同価格(今冬と同じ)で存在し、名称も似ており、店頭では購入間違いが多発していた。
今冬から1型のみ、「ウルトラライトダウンジャケット/NANODESIGN」に統一。メインラインのダウンとパフテックは8モデルに縮小したが、消費者からは選びやすいと好評でもあるのだ。


今一度、2014年12月に初登場した「Ultra Light Down(ウルトラライトダウン)」についておさらい。当時、画期的なダウン革命として注目された要因が、「羽毛を入れるダウンパックを排除した圧倒的な軽量化」だ。「パフテック」と両軸で、これからも「ユニクロ」の冬を支えていく。
パッカブル仕様はこの「ウルトラライトダウンジャケット/NANODESIGN」まで。これ以降は完全なる防寒アウターの範疇になる。
《暖かさ第10位》パフテックシャツジャケット/※UNIQLO x ANYA HINDMARCH ¥8,990
暖かさ(※モデルの体感):★★★★☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆

コラボ特別コレクションの「UNIQLO x ANYA HINDMARCH(ユニクロ × アニヤ・ハインドマーチ)」はウィメンズだが、ユニセックスで着用可能。昨年同様の大ヒットが期待され、中でも注目が初のアウターとなる「パフテックシャツジャケット」だ。11月22日(金)発売。大人男子は最大サイズの3XLをオンラインで狙おう。


編集部員の薬師神(165cm・65kg)が試着したサンプルは「ウィメンズ・Mサイズ」。ラグランスリーブなので思ったよりもタイトな着心地ではない。前出の「ウルトラライトダウンジャケット/NANODESIGN」よりも重量感があり、着丈も長めで、僅差で暖かさが上回った。
なお、メインライン以外はユニクロ公式指標「外」のため、順位はモデルの体感ベース。
《暖かさ第9位》パフテックパーカ ¥6,990
暖かさ:★★★★★ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆

暖かさ「第6位」は、アウトドアダウンのルックスで見た目はヘビーだが、そこまで過暖でもない、絶妙な立ち位置の「パフテックパーカ」。
デザインは違えど、重さが同等である「ウルトラライトダウンジャケット/NANODESIGN」と店頭で一緒に試着・検討されるケースが最も多い。ボリューム感まで似ているが、「馴染みのダウンor新作のパフテック」で潔く選んでしまおう。


馬踏み目地(馬目地)のようなテック柄は新規。2枚の生地を織り合わせた特殊な構造で針穴(ステッチ)がなく、雨や風が侵入しにくい。
ダウンやフェザーを使用しない高機能素材「パフテック」の推しポイントとして、公共交通機関での通勤ラッシュ時の超過湿度や飲食・サービス店舗における超過暖房など、日本ならではの不安定な環境下における対応力が挙げられる。まさに「かゆいところに手が届く」新素材なのだ。
《暖かさ第8位》パフテックキルティングジャケット ¥6,990
暖かさ:★★★★★ ★☆☆☆☆ ☆☆☆

もう1型のパフテック新作、コーチジャケットのようなデザインで早くも人気の「パフテックキルティングジャケット」が暖かさ第8位だ。袖のリブ使いと着丈の長さで前出の「パフテックパーカ」を暖かさで上回ってはいるものの、価格は同一。パフテック好きは悩みどころだろう。


“もはや春と秋が存在しない”と言われる東京(首都圏)の冬に対応する防寒アウターは、国内ファッション企業にとって永遠の難題だ。その点、ダウンやフェザーを使用しない「パフテック」は、不安定な気候変化や寒暖差にも柔軟に対応。
しかも、ダウンパックに影響されないデザイン性でファッションの観点でも相性よし。おしゃれ意識も高く、大人男子にうってつけなのだ。
《暖かさ第7位》パフテックボリュームパーカ/※Uniqlo U ¥12,900
暖かさ(※モデルの体感):★★★★★ ★★☆☆☆ ☆☆☆

調査品目を増やした「ユニクロ」ダウン(メンズ)暖かさ順“完全版”では、「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」を新たに追加。軽くて暖かい高機能中綿である「パフテック」を使用したアウターは、包み込まれるような「パフテックボリュームパーカ」の1型のみ。ワンランク上の大人の“LifeWear”を求める大人男子から支持を得ている。
発売が9月27日と早く、オンラインではほぼ完売で実店舗に残るのみ。今ならば、2024年冬の「ユニクロ」の防寒アウター全13型をしっかり吟味できる。暖かさは中央値の「第7位」。


表地は小雨程度ならしのげる撥水加工を施したコットンブレンド。ポケットの袋布には保温性のある起毛素材を採用、袖口は隠しゴム仕様で風をシャットアウトするなど防寒面も抜かりなし。
アウトドアやミリタリーに着想を得たゆったりシルエットのシンプルなデザインに、太番手のステッチがカジュアルに走る。裾のアジャスターでシルエットの調整も可能だ。「ユニクロ ユー」ならではのボリュームの妙味を堪能したい。
《暖かさ第6位》リサイクルハイブリッドダウンジャケット/※UNIQLO and White Mountaineering ¥7,990
暖かさ(※モデルの体感):★★★★★ ★★★☆☆ ☆☆☆

やはり、ダウンだけあってパフテックよりは暖かさで上回る。「第6位」もコラボ特別コレクションからのピックアップで、10月11日(金)に発売された「UNIQLO and White Mountaineering(ユニクロ アンド ホワイトマウンテニアリング)」から10月11日に発売された「リサイクルハイブリッドダウンジャケット」がランクイン。


身頃にリサイクルダウン、両袖にリサイクルシート中綿を注入したハイブリッド仕様。
循環型社会を目指す取り組みとして、「ユニクロ」が世界規模で推し進めている「RE.UNIQLO」は2020年9月に始動。古着のダウンから羽毛のみを取り出す画期的な回収技術=「リサイクルダウン」が素材メーカーの東レとのコラボで生み出され、2017年末に商品化へと本格着手した。このコラボにもその技術が応用されている。
《暖かさ第5位》シームレスダウンパーカ ¥14,900
暖かさ:★★★★★ ★★★★☆ ☆☆☆

ここからは「ユニクロ」が誇るプレミアムダウンから、「シームレスダウンパーカ」が暖かさ「第5位」。ダウン90%・フェザー10%の黄金比率を採用し、フィルパワーは「750+」という高品質。タウンユースとしてほぼ完ぺきな暖かさで、人気の衰えが見られないベストセラーなのだ。


フードは取り外し不可。首元はクッション襟で風が吹き込みにくい構造になっている。
ステッチを使わない熱圧着によって羽毛を収納する部屋を形成し、ダウンの羽抜けや冷気の侵入の原因となる縫い目を身頃から完全に排除した「シームレスダウン」は2016年10月に初登場。屈強なアウトドアマン向けの印象だったそれまでのダウンジャケットが、スタイリッシュな都会人に受け入れられた試金石のようなダウンだった。
《暖かさ第4位》ハイブリッドダウンパーカ ¥12,900
暖かさ:★★★★★ ★★★★★ ☆☆☆

既報の「暖かさ順ベスト10」では暖かさ第2位だった「ハイブリッドダウンパーカ」が、全13型アップデート“完全版”ではまさかの「第4位」に。前出の「シームレスダウンパーカ」よりも2,000円(税込)安い12,900円(税込)であり、12月初旬まで売れ筋ナンバーワンだった商品だ。
腰までしっかり隠れるぶん、若干だがシームレスダウンパーカよりも暖かさは上。ポケット裏もフリースで暖かく、昨年まで左胸だけだった縦型ポケットが左右に施されるようになった。


混合・混成を意味する“ハイブリッド”とは、フェザーダウン(前身頃・後身頃・ウエスト上部分)と機能中綿(アーム全体・ウエスト下部分)で棲み分けた保温スペックを指す。ダウンのみの単純構造と違い、超過保温を回避する利点がある。
4色展開は同じだが、アウトドア色が強いブラウンとネイビーの代わりに黒系統のダークグレーとグレイッシュなカーキが仲間入りし、まるで日本人のスーツのようなカラバリになった。
《暖かさ第3位》ハイブリッドダウンオーバーサイズパーカ/※+J ¥17,900
暖かさ(※モデルの体感):★★★★★ ★★★★★ ★☆☆

「UNIQLO(ユニクロ)」のアニバーサリーイヤーだった2024年を締めくくる「40周年記念復刻コラボ」として、辣腕デザイナーであるジル・サンダー(Jil Sander)女史のDNAを受け継ぐ最上級ライン、「+J(プラス ジェイ)」が来年2025年1月1日(水祝)に日本限定で復刻発売される。
メンズの復刻「+J」は3型あり、うち1つが2020年秋冬の発売時に爆発的人気を博した「ハイブリッドダウンオーバーサイズパーカ」だ。


前出のハイブリッドダウンパーカと着丈や保温スペックはほぼ同等だが、加湿を防ぐ胸元のベンチレーションや両ポケットの止水ジップ、暖かさを保つオーバーサイズのボリュームなど、僅かなディテールの差で「+J」の暖かさが上回った。
復刻のカラバリは「09Black」と「58Dark Green」の2色。オリジナル発売時の2020年秋冬は、この2色に「08DARK GRAY」と「18WINE」を加えた4色展開。価格も今回より2,000円安い15,900円(税込)だった。
《暖かさ第2位》ハイブリッドダウンコート ¥12,900
暖かさ:★★★★★ ★★★★★ ★★☆

2024年冬の「ユニクロ」ダウン(メンズ)暖かさ順ランキングもいよいよ佳境に突入。
最新解禁情報を追加した「ベスト10」から「“完全版”ベスト13」へのアップデートにおいて最大インパクトの順位入れ替えが、前記事で1位だった「ハイブリッドダウンコート」の「第2位」凋落だ。価格は第4位の「ハイブリッドダウンパーカ」と同じ12,900円(税込)。これはお得!


フラットファブリックのロング丈で、ビジネスマン御用達。スーツの上からも羽織ることが可能で、歩く様もスタイリッシュだ。
2021年冬と2022年冬の2年連続で暖かさナンバーワンだった「ウルトラウォームハイブリッドダウンコート」(ボアフード付き)が欠番となる今冬において、「ハイブリッドダウンコート」は日本の冬での必要十分条件を満たす防寒スペックだと言える。具体的には、「満員電車・直立姿勢・片手に鞄&片手に吊り革を持つとき」に程よい暖かさを実感。これがダウンだと滝汗をかくのだ。
《暖かさ第1位》シームレスダウンコート/※欧米限定 ¥19,900
暖かさ:★★★★★ ★★★★★ ★★★

2024年度の全13型を網羅した“完全版”の「ユニクロ」ダウン(メンズ)暖かさ順ランキング、栄えある「第1位」は欧米から!
昨年の2023年冬まで日本国内でも販売されていた「シームレスダウンコート」が“最暖”の称号を得た。なんと今年は欧米限定アイテムになっており、店頭でもオンラインでも見当たらず、寒冷地での店頭問い合わせが多いダウンだった。それが、10月25日に開業したユニクロ新宿本店オープン記念アイテムとして逆輸入されたのだ。


しかも、新宿本店限定アイテムから、12月には全国の大型店まで取扱店舗が増えている。ブラックとネイビーの潔い2色展開。まさかの風雪災害のために家族分を揃えておいてもよいだろう。
暖かさの理由は見た目に明らか。シームレスダウンをロング丈で形成し、膝下まで暖かい。ダウンパックを採用しており、第2位のハイブリッドダウンコートよりも野暮ったい印象だが、欧米極寒地域でも対応する暖かさには替えられない!

スタンダードなダウンを選ぶか、注目素材のパフテックにするか、ビジネス用途か、カジュアル使用か、こだわりのコラボ特別コレクションか…。「ダウン」と「パフテック」の名が付くメンズ全13型を今一度チェックして、自分のニーズにぴったりな防寒アウターを購入しよう。
北條:寒がりのパイセンは欧米限定。
薬師神:いかにも。
2024年度の「ユニクロ」ダウン(メンズ)暖かさ順ランキング“全13型完全版”は以上。
《オマケの1枚》

オマケの1枚。オリジナルが発売された2020年秋冬の「+J」試着ルポ記事から、「ハイブリッドダウンオーバーサイズパーカ」を紹介したメインカットを掘り起こしてみた。
このダウンが「ユニクロ」からの解禁情報のラストを飾る。2025年1月1日(水祝)はおいそれと休んではいられない。コラボ特別コレクション好きは、元日から争奪戦に出動だ!
UNIQLO ダウン&パフテック (Men's)