アウター2型、どっちにする?
英国を拠点とするデザイナーのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)をゲストデザイナーに迎えたコラボ特別コレクション「UNIQLO and JW ANDERSON(ユニクロ アンド ジェイダブリュー アンダーソン)」の2024年秋冬最新作が、いよいよ10月18日(金)に発売される。
グローバルブランドの「UNIQLO(ユニクロ)」で2017年秋冬から続いている同コラボは、ブリティッシュトラッドを軸として、マリン、ワーク、プレッピー、アートなどシーズン毎の提案がしっかりしている。変幻自在のアンダーソンのクリエイションを吟味すべく、恒例の試着ルポに訪れた。
プレスルームにはアンダーソンの祖国である北アイルランドを彷彿とさせるシーズンヴィジュアルが掲出されていた。その隅に、「Elements of Land and Sea」とある。今秋冬のエッセンスは「海岸線の景色に溶け込む、現代のフィッシャーマンズウェア」、牧歌的な空気とともに少々のノスタルジーを喚起する「冬のマリン」で間違いない。
黒澤怜慈:ラックで強烈に目立っていたフィッシャーマンニットの試着は最後のお楽しみにしておきましょう。ニット帽もお揃いの柄ですね。
試着ルポ担当のモデルは、ミュージシャン・ビデオグラファーとしての顔も持つ黒澤怜慈(くろさわれいじ)。身長181cmで体重は70kg未満。試着するサンプルはすべてLサイズになる。
①ヒートテックダイヤステッチニットキャップ ¥1,500
シーズンヴィジュアルのモデルが着用している「ヒートテックダイヤステッチニットキャップ」を手に取った黒澤。無骨で物憂げなアイルランドのフィッシャーマンをイメージして、同じスタイリングで全身コーディネートを組む算段だ。
黒澤:映画『マン・オブ・スティール』の冒頭シーンと重なります。英国人初のスーパーマン、ヘンリー・カヴィルが訪れた漁村のような。
ニットキャップはアクリル80%・ナイロン10%・毛9%・ポリウレタン1%の混紡で、手持ちの「09 BLACK」と「01 OFF WHITE」の2色展開。吸湿発熱作用がある機能素材「ヒートテック」を盛り込んだ小物はもはや定番になった。
②フランネルシャツ長袖 ¥2,990
メンズ8型・ウィメンズ9型・アクセサリー3型が揃う今秋冬、なんと「フランネルシャツ長袖」がメンズ2型を占めるのだ。手持ちの「02 LIGHT GRAY」のほか、マネキンに着せた「09 BLACK」と「66 BLUE」の3色展開。綿100%。
黒澤:公式ヴィジュアルのインナーはぼんやりとしたグレーのチェックシャツ。素朴です。
そして、XSから4XLまで揃う「ユニクロ」メインラインでお馴染みのサイズレンジ(XSとXXL・3XL・4XLはオンラインストア限定)を踏襲するアイテムは、2型のネルシャツのみになる。最近のコラボ特別コレクションの最大サイズはほとんどがXXLなので、これは珍しいケース。古着屋で購入したかのようなアノニマスな空気を楽しもう。
③フランネルシャツ長袖(パッチワーク) ¥2,990
黒澤:やっぱりネルシャツはこっちにします。同じ価格でパッチワークデザインはお得です!
2,990円(税込)というリーズナブルな価格は、さすが「ユニクロ」。2型あるシャツの他方が、同系色のチェック柄を組み合わせたパッチワーク仕立ての「フランネルシャツ長袖(パッチワーク)」だ。アイルランドのフィッシャーマンたちは、どうやらチェック柄のネルシャツが大好物らしい。
④ワイドフィットジーンズ ¥4,990
当たり前の綿100%。パッと見で流してしまいそうになる「ワイドフィットジーンズ」に注目。これこそが「試着ルポの真価が問われる」アイテムであることを、このときの黒澤はまだ知らない。
黒澤:パンツはテラコッタっぽいカラーのこれ。ブルーデニムは脇割りシームの本格派でした。
太番手の配色ステッチが小気味よいジーンズ。4色展開で、手持ちの「28 DARK ORANGE」のほか「01 OFF WHITE」と「58 DARK GREEN」があり、「66 BLUE」はインディゴデニムになる。通常ならばインディゴデニムとカラーボトムは分けて展開されるが、今秋冬は同一品番・同一シルエット。サイズは28インチから35インチ(28・34・35サイズはオンラインストア限定)まで。
さっそく試着へ。
黒澤:インディゴは後編で着てみましょう。まずは、公式ヴィジュアルを真似てみます。
私服から着替えるシャツとパンツの基本コーディネートは、黒澤好みのブラウン系に落ち着いた。秋らしい落ち着いた上下になるかと思いきや…。
試着して判明したバックシャン。「ワイドフィットジーンズ」は、ワークウェアに着想を得た丸みのあるカーブシルエットだった。
黒澤:ワイドといえばワイドですが、名前をカーブジーンズにしたほうがよいような…。
腰ばきではなく、黒澤はO脚でもない。ワイドフィットの範疇を超え、太もも箇所をO型の楕円形で描いたカーブシルエットが、ウィメンズトレンドからメンズに上陸した。デニム生地のカッティングからそもそも違っており、ヒップはジャストサイズでもボリューミーな下半身を主張できるのだ。
コレクションの全体像を俯瞰してみよう。「英国の海岸部からインスピレーションを得た今回のコレクションは、フィッシャーマンのような、素朴で懐かしい雰囲気を取り入れました。レイヤリングしやすく暖かで着心地の良いアイテムの数々を、季節の移ろいとともに楽しんでいただけたら嬉しいです」と、アンダーソンは公式コメントを残している。
⑤スフレヤーンリブフルジップセーター ¥5,990
黒澤:ドライバーズニットがありました。ニット以上・アウター未満の上着として重宝しそう。
スフレヤーンにハズレなし。売れ筋のダークホースが「スフレヤーンリブフルジップセーター」だ。具材を詰め込んだ焼きメレンゲ料理のスフレにちなんで名付けられたスフレヤーン(Souffle yarn)製法のニットは、2020年秋冬の「ユニクロ アンド ジェイ ダブリュー アンダーソン」で初出。翌年から「ユニクロ」のメインラインで定番化した。
試着の「69 NAVY」と「07 GRAY」の2色展開。ダークトーンの裏地と配色になったリブ編みで、アクリル57%・ポリエステル32%・毛8%・ポリウレタン3%の特殊混紡の編地が空気を内包する。
黒澤:フルジップにすると、口元までスフレヤーンで覆われます。冬のドライブに最適。
見た目以上にネックの主張が強めのドライバーズニットと、緩やかな曲線を描くカーブシルエットのパンツとのコーディネート。大人のルーティンスタイルに、少々の冒険心がブレンドされた。
⑥ヒートテックニットキャップ ¥1,500
記事冒頭のダイヤ編みと「JWA」のロゴ入りの2タイプが揃うニットキャップ。ネイビー好きならば、「69 NAVY」がある「ヒートテックニットキャップ」をチョイスしよう。他色に「05 GRAY」と「17 RED」を含めた3色展開。
いよいよアウターの試着へ。
今秋冬ののアウターはヘビロテ必至の2型。コラボ特別コレクションを追いかけている大人男子ならば、「ユニクロ:シー」(9月6日発売)、「ユニクロ ユー」(9月27日発売)、「ユニクロ アンド ホワイトマウンテニアリング」(10月11日)ら、ミニマルデザイン&ソリッドカラー尽くしの3ラインと、「ユニクロ アンド ジェイダブリュー アンダーソン」との違いや特異性がわかるはず。
⑦パデッドキルティングブルゾン ¥7,990
その違いとは、英国トラッドに根差した「ブラック以外のカラーパレット」と、「意匠&柄」のデザイン性だ。レギュラーコラボでは常に後塵を拝しているが、その分、発売済みの他のコラボを含めて実売期にじっくりと吟味できる強みがある。
黒澤:手の甲が触れてわかりました。脇のポケットの内側には起毛トリコットが施されています。
アウターに関しても、深みのある「69 NAVY」がブラックに取って代わる。コスパに優れた中綿入りアウターの「パデッドキルティングブルゾン」は2色展開で、他色は「57 OLIVE」だ。
試着ルポの最初にチェックした「ヒートテックダイヤステッチニットキャップ」を被り、ダイヤ柄で統一感を出したトータルコーディネートが完成。
黒澤:ニットキャップ・ネルシャツ・カーブジーンズ・パデッドアウターの4点で17,470円(税込)というリーズナブルプライスは、さすが「ユニクロ」。10月18日(金)の発売日が楽しみです。
2型のアウターのうち、中綿入りのブルゾン丈をゴールに据えた、「ユニクロ アンド ジェイダブリュー アンダーソン」2024年秋冬試着ルポの「前編」は以上。つづく後編では、もう一方のロング丈アウターを中心に試着する。乞うご期待!
《オマケの1枚》
オマケの1枚。
モデルの黒澤を含め、現場の取材陣人気が最も高かったアイテムが、メンズシーンでは新鮮なOラインを形成するカーブデニム。黒澤のいち推しカラーは「58 DARK GREEN」だ。加えて中綿入りブルゾンもネイビーではなく「57 OLIVE」を選び、ワントーンコーディネートを完成させていた。
黒澤:いわば、公式ヴィジュアルのB面です。
UNIQLO and JW ANDERSON 2024年秋冬
発売日:2024年10月18日(金)
販売店舗:フルラインナップは国内75 店舗、オンラインストア(※一部商品を国内全店舗で販売)
商品ラインナップ:MEN(8)・WOMEN(9)・小物(3)