芸術の秋、「UT」の秋!
ポップアート界の巨匠であるアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の出生地、米国・ペンシルベニア州ピッツバーグにて1994年に設立されたアンディ・ウォーホル美術館は、文化系男子ならば一度は訪れてみたい美術館のひとつ。5月18日(土)から来年の1月20日(月)までの期間中、同美術館では現代アーティストのKAWS(カウズ)と協業して、それぞれの作品をコンテクスト内で共鳴させる「KAWS + Warhol」展が開催中だ。
加えてこの展覧会には、グローバルブランドの「UNIQLO(ユニクロ)」がプレゼンティングスポンサーとして協賛。ピッツバーグを皮切りに世界を巡回する本展示会の開催を記念して、トリプルコラボの「KAWS + Warhol UT(カウズ + ウォーホル UT)コレクション」が誕生した。
①Tシャツ(4柄) (各)¥1,500
「ユニクロ」とのコラボ実績があるアンディ・ウォーホル財団の協力で実現した「KAWS + ウォーホル UTコレクション」は、今回のトリプルコラボが異色であり、基本スキームは2016年4月に初コラボが発売された「KAWS UT」の一環。KAWSと「ユニクロ」とのコラボは都合9度目だ。
そこで、8月23日(金)の発売日の前に全商品を紹介。さあ、注目アイテムはどれだ?
白と黒をベースカラーに採用したメンズの商品ラインナップは、Tシャツ4柄・コーチジャケット2柄・スウェット2柄・スウェットパンツ2柄・ソックス2柄・トートバッグ2柄。「KAWS」を象徴するオリジナルキャラクターの「COMPANION(コンパニオン)」らに、ウォーホルの著名なアートモチーフを組み合わせたデザインになっている。
ウェアのサイズはXSから4XLまで。過去8度の「KAWS UT」の傾向では、オンライン限定サイズであるXXL・3XL・4XLから先に完売している。「Tシャツ」のデザインを比較すると、今回は前面よりもバックプリントのインパクトが強い。
“髪が逆立ったかつら”で知られる自画像(Self portrait)は1986年の作品。もちろん、アンディ・ウォーホル美術館の所蔵作品だ。
②コーチジャケット ¥5,990
ストリートで映える初の本格的アウターはマストバイ。今回の「KAWS + ウォーホル UTコレクション」の下馬評で最も注目を集めているアイテムが、Tシャツやスウェットが中心の「KAWS UT」では初登場となる「コーチジャケット」だ。KAWSファンにとっては垂涎の的となること必至。
ちなみに、昨年9月発売の「KAWS UT」第8弾で初登場したスウェットシャツは前評判通りに即完売している。過去最大級の商品展開を誇る「KAWS + ウォーホル」のコーチジャケットも、昨年のスウェット同様の売行きと推測されるのだ。
カラーはネイビーとブラックの2色展開。
ネイビーのバックプリントでは、KAWSの「コンパニオン」にウォーホルの「Moon Explorer Robot(ムーン エクスプローラー ロボット)」(1983年)が仲睦まじく横並びしている。アートに造詣の深い文化系男子ならば、背筋にクールな緊張が走るほどの衝撃であるに違いない。
ブラックにはあまりにも有名なバナナがあった。米国のロックバンドであるザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)から1964年3月にリリースされたデビューアルバム。『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』(The Velvet Underground and Nico)のジャケ写に使用されたウォーホル作品だ。
ウォーホル財団の協力はあれど、利害関係者の間で一体どれほどの調整が行なわれたのか知るすべもない。少なくとも5,990円(税込)というリーズナブルプライスで世界展開されるという事実が、「ユニクロ」のブランドパワーを物語っている。
そして、ジャケットの背面下でうつ伏せ状態のコンパニオンに注目。これぞ、ウォーホル美術館で開催中の「KAWS + Warhol」に展示された47作品において最もアイコニックなベターハーフである。
実際の館内で撮影された公式ヴィジュアルを見てみよう。両者のアートを共鳴させる趣旨で、他方のウォーホル作品が存在していることがわかる。そう、うつ伏せになったコンパニオンの背景には、ウォーホル作品のうちいわゆる「Death and Disaster(死と惨事)」シリーズの代表作である『Ambulance Disaster』(1963年)のシルクスクリーンプリントが掲げられているのだ。
「KAWS + Warhol」とは?
米・ウォーホル美術館で開催中の「KAWS + Warhol」は、ウォーホルが死と向き合った時代に絞ってキュレーションされている。人生の暗部に没入したウォーホルのモチベーションは、一説にはマリリン・モンロー(1926年6月1日~1962年8月5日)の死が影響を与えたとされる。
ポップアート界の両雄を果敢にマッシュアップするだけでは飽き足らず、存命中のKAWSにウォーホルとのアートなシナジー効果を背負わせるというカーネギー財団とアンディ・ウォーホル美術財団の野心的なキュレーションこそ、「KAWS + Warhol」が高く評価されている理由なのだ。
③スウェットシャツ ¥2,990
袖リブ&裾リブから繋がる身頃にフィット感のある「ユニクロ」レギュラーラインのスウェットと、膨らみのある身頃との差が顕著な「UT」のスウェット、双方の違いはフォルムバランスにある。90年代調のオーセンティックなボックスシルエットが「UT」スウェットの特徴だ。裏起毛ではなく、裏毛の編地でオールシーズン対応。綿100%。
杢グレーとブラックの2色展開の「スウェットシャツ」。ネックの後ろに施された“Andy Warhol”のサインとKAWS作品のトレードマークである「XX」の目は刺繍仕上げ。杢グレーにはTシャツと同じコンパニオン&バナナ柄がプリントされた。
なお、ブラックは前面プリントされたKAWSのイラストにしか目がいかないかもしれない。実は、ウォーホル作品のモチーフは背面の隅にある。
KAWSとウォーホル、2人の作品が交わらずに共存。ミニサイズでわかりにくいが、これは縦置きした連続作品の「Self Portrait」(1963~1964年)になる。大量生産のための私設スタジオの「The Factory」をニューヨークに構え、60本を超える映画を製作していたウォーホルは当時36歳。
ラグラン仕立ての野暮ったいステンカラーコートとボストン型サングラスを交えたアイコンスタイルは今すぐ真似してみたい。そしてシャツの代わりに、このスウェットを差し込むのだ。
④スウェットパンツ ¥2,990
昨年9月発売の「KAWS UT」第8弾で初登場したスウェットシャツは単品のみだったが、今回の「カウズ + ウォーホル UTコレクション」ではスウェットパンツとのセットアップ提案。アーティスト然としたリラックススタイルから、ドレススタイルの外しまで着こなしはアイデア次第だ。
スウェットシャツと同じ2色展開だが、ブラックはトップスを裾出しすると意匠は目立たなくなる。ちなみに、ヒップ右後ろに施された「Stamped Lips」(1959年)は、もとは22種の唇を羅列した作品。うち3つがTシャツにも使用されている。
⑤ソックス (各)¥390
KAWSとウォーホル、それぞれの作品モチーフを刺繍のワンポイントで取り入れた「ソックス」はまとめ買い推奨。通常の「ユニクロ」ソックスと同様に、単品では390円(税込)だが3点で990円に、4点目以降は1点につき330円になるのだ。
カラーはホワイトとブラックで、それぞれ2柄。同色でワンポイントの組み合わせを替えて着用しても面白い。素材は綿76%・ポリエステル20%・ポリウレタン3%・ナイロン1%(刺繍含む)。
店頭販売は25-27サイズのみで、23-25サイズと27-29サイズはオンラインストア限定。「1色柄につき2点まで」の購入制限にも注意しよう。
⑥2WAYトートバッグ ¥1,990
サイズ調節可能なショルダーが付き、内ポケットまで施された「2WAYトートバッグ」もヘビロテ必至。今回のトリプルコラボの記念として購入しておきたい。綿100%で、柄指定の2色展開。
ホワイトは「コンパニオン」と「ムーン エクスプローラー ロボット」が手描きタッチで描かれたシンプルなデザインだ。KAWSアイコンの「XX」とウォーホルの「自画像(髪が逆立ったかつら)」が両面に描かれたブラックは、外側になるメイン面をその日の気分でチェンジしてもよいだろう。
以上、コーチジャケット・スウェットシャツ・スウェットパンツ・Tシャツ・ソックス・トートバッグのユニセックス6点を網羅。意外にも、「KAWS + ウォーホル UTコレクション」はトータルコーディネートまで楽しめてしまうのだった。
白ベースか、黒ベースか。発売日の8月23日(金)までに購入イメージを膨らませておこう。なお、公式オンラインストアでの商品販売“時刻”は8月23日(金)の“午前中”を予定。争奪戦必至だ!
アートブックの付録トートは別物!
また、昨年9月のコラボ第8弾に引き続き、最近の「KAWS UT」の傾向であるアートブックの先行発売も実施。アート界のプロがKAWSとウォーホルの共通項を分析する「KAWS + Warhol」公式アートブック「KAWS ARTBOOK」(Phaidon社・刊)が、世界の一般書店に先駆けて、ユニクロ店舗とオンラインストアで先行発売される。
発売日はコラボと同一の8月23日(金)。
読書の秋に最適な「KAWS ARTBOOK」の中面をチラ見せ。「FALSE SIMPLICITY: KAWS'S AND WARHOL'S MEDITATIONS ON DEATH」とある表題は、「偽りの単純さ:KAWSとウォーホルそれぞれの死への瞑想」といったところか。ウィーン・ルートヴィヒ財団近代美術館でキュレーターを務めるマリアンヌ・ドプナー(Marianne Dobner)からの寄稿である。
⑦KAWS ARTBOOK ¥9,990
ちなみに、購入特典のトートバッグ“単品”は、実店舗でもオンラインでも販売されず、後のPhaidon社からの「KAWS ARTBOOK」発刊時にも付録はつかない。アートブック込みで9,990円(税込)の価格は「KAWS + ウォーホル UTコレクション」で最高値だが、あくまでも特典付録である。
トートへの物欲は胸の奥にしまっておくべしと釘を刺すべきだが、「KAWS + Warhol」を鑑賞すると、また違う感想を抱くだろう。いわば、物欲で味わえる大量生産・大量消費の醍醐味。
これも、「大人のユニクロ」だ。
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KAWS + Warhol UTコレクション
発売日:2024年8月23日(金)
KAWS + Warhol
期間:2024年5月18日~2025年1月20日
(※2026年に日本巡回開催予定)
場所:The Andy Warhol Museum
117 Sandusky Street Pittsburgh, PA 15212