デニムにうるさい4人が、最近注目のブランドの「正統派」モデルをはき比べ。それぞれの個性を彼らはどう評価したのか?
デニムにうるさい4人がはき比べた

圧倒的にリーバイス派。敬意を表してNEATでは5ポケデニムは作らない主義。

リーバイス501ZXXや505Eなど十数本を所有する。前開きはジップフライ派。

カジュアル、ドレスともに知見が深い。デニムはジャストレングスでクリーンに。

ヴィンテージショップを営んだ経験があり、デニムも新旧問わず確かな知識あり。
BLACKBIRD

埼玉・大宮の隠れ家的ショップ、ホワイトアルバムが始めたブラックバード。デニムは染色や後加工を施していない生機の生地を使い、セルビッジデニムの耳をミリ単位でつまみながら丸みのある形を作るなど、オーナー赤羽氏の本気度が伝わる渾身作だ。


西野:加工のうまさが際立っています。きれいな縦落ちで、そのうえにオイル加工まで。生機を使っているからか、ジッパーテープのヘリンボーン生地も移染していい色になってるなあ。
坂田:斜行する感じとか、毛羽立った生地の凸凹感など、ヴィンテージを手本にしているのが伝わります。ステッチが丁寧で美しく、きれいな感じとラギッドな部分のバランスがいい。
平沢:徹底した作り込みでヴィンテージ好きを納得させる力がある。背面のベルトループを通常より増やして腰まわりのフィット感を高めたり、現代的にアップデートしているのも高評価。数十万円のヴィンテージに匹敵する雰囲気があります。
安武:気になるのは、フロントのアルミボタン。ヴィンテージと見まがうほどなのにここだけつるっとして、ちょっと浮いて見えるかな。シルエットは細身ストレートで美しい!
hnst

アントワープ発のデニムブランドが、この春日本に本格上陸。ユーズドのデニム生地をリサイクルし、水の使用量も大幅に削減するなど環境への配慮がコンセプト。

安武:品質表示がスレーキにプリントされていたり、容易に取り外せるチェンジボタン仕様なのは、リサイクルを妨げない配慮なんですね。それをうまくデザインにしているのは面白い。
西野:見た目もコンセプトもヘルシーで遊び心もひそんでいる。ファッション的なアプローチですよね。複数の形があるみたいだけど、中でもこのモデルはかなり細身です。やや丈が長いので、長身の人がはいたらよりカッコいいと思います。
平沢:ライトで平板な色味は好みが分かれるかもしれません。前開きのボタンは厚みが結構あって、目立ってしまうかなと。ブランドの考え方に共感できる人には特によいと思います。
坂田:縫製など細部にもう少しこだわっていたらなと。サステナビリティをデザインするというコンセプトありきなので、正統なデニムとして見るとやや大味かもしれないですね。
Oblada

ウィメンズブランドのオブラダにkeylime Tokyoがメンズラインを別注。こちらのデニムはよこ糸にヘンプを使い、綿100%にはないネップ感があって柔らかい。打ち抜きのリベットやいびつなステッチワークなど、ヴィンテージ風のディテールも見どころ。


西野:2000年代初頭に流行った、あの立体裁断のジーンズを思い起こすヘンプ混デニム! 当時欲しくても高くて買えなかったあの生地のデニムを新たに買えるなんて。紙パッチがとれた跡に三角形のレザータグをつけているのも面白い。
坂田:往年の名作を彷彿とさせるヘンプ混が懐かしい。僕もこの生地を見て思わずニヤリ。懐かしいですね。きれいに落ちるから、裾にくしゅっとたまる感じがあります。
安武:飛び道具的なヘンプ混の生地を、オーセンティックなデザインで表現されているという、足し引きのバランスがちょうどいい。今回フェイバリットな一本を選ぶならコレです。
平沢:自分は逆にこの生地なら5ポケットのデニムでなくてもよかった。肉感がやわらかいから快適さを求めるのであれば一つの解になるけど、デニムとしては選ばないかな…。
vowels

今年5月にデビューした新進気鋭のバウルズ。日本製の生地とメイドインジャパンにこだわり、ジーンズも例外ではない。1966年から’71年頃に発売されたリーバイス501、通称“66前期”モデルを研究して作られた一本は、縦落ちが出るムラ感を当時のままに再現している。

坂田:今回のラインナップの中では唯一のブラックデニムですね。たて糸もよこ糸も黒に染められていて深みがある。リベットやボタンもマットなブラックで統一されていてモダン。
平沢:いい意味で普通のブラックデニム。今後の色落ちに期待。はき込んでいったときの経年変化が楽しみですし、どんなふうに色落ちしていくかで本当の評価が決まります。白けていかないで、黒が残ったまま経年変化してほしいですね。
西野:ストリートブランドらしい雰囲気と高級感があってカッコいい! ヒップポケットが外側に寄っていますね。両ポケットが離れていることで、ギュッとベルトで絞ってはくと、ちょうどいい感じに寄ったバックスタイルになるんですよ。
安武:前ポケにつく白いピスタブはなくてよかったけど、ズドンとした太めのシルエットがいいし、生地の張り感も好きです。