思い出の服は黒く染めて着続ける
Before
After
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誰でもきっと、もう着ることはないけど、捨てられない服を持っている。今年37歳になる編集部員の僕はモノをあまり持たない生活をしているが、そんな僕でも思い出の服はある。一つは17年前のグレーのシルクリネンパンツ。お尻の部分が黄色っぽく変色してしまい、もう何年もはいていない。もう一つはイタリア軍のコットンジャケット。こちらは状態はいいが、案外濃いタンカラーが手持ちの服と合わせづらくて、クロゼットに眠っていた。
365日、何かしら黒いアイテムを身につけている僕は、両方黒であればまた着られる!という妄想を抱いていた。京都紋付の黒染めサービス「KUROZOME REWEAR FROM KYOTO」のことは噂に聞いてはいたが、一度染めたものは元には戻せないため、一歩を踏み出せずにいた。だが、このまま着なかったら、結局はただの負債。今こそお金のかけ時と決断し、運営会社である京都紋付に伺って、愛する二着の行く末を特別に見届けさせてもらうことにした。
黒染め=京都紋付と言われるほど、その技術は圧倒的。それは伝統的な黒紋付染で培ったノウハウを洋服で極めた世界最高水準の黒。サステナブルという言葉がここまで流行するずっと前から「愛着のある服を捨てずに黒く染めて生まれ変わらせ、着続けること」を提唱してきた。京都で黒に染まる様子を見届けて、東京で首を長くして待っていると、美しく黒く甦ったジャケットとパンツが届いた。それは吸い込まれるような「深黒加工」が施された濃〜い黒。夢に描いた姿だった。黒く染めることで始まる服のセカンドライフという考え方を前提に、これからは天然繊維の服だけ買おうと思った。
Q&A
色落ちやニオイは大丈夫?
白い襦袢の上に着る紋付のプロらしく高い堅牢性を誇り、染色後の色落ちや色移りの心配は無用。染料のニオイもしない。気になる人は納品後に一度洗濯をして着用するのがオススメ。
お金はいくらかかる?
黒染めの基本料金はアイテムと素材によって異なり、例えばTシャツなら綿・麻は¥2,970、絹・羊毛は¥3,850。詳しくはWEBサイトで確認を。染色後シワをとるプレス加工は¥660〜。
どのくらい時間がかかる?
WEBサイトから仮申し込み後、衣類を京都紋付宛てに発送。検品後、本申し込みを済ませるとあとは待つだけ。約1カ月後に染め上がった商品が手元に戻ってくる。染色結果が待ち遠しい。
染められる素材は?
綿、麻、絹、羊毛、レーヨン、キュプラ。化学繊維混紡素材でも、天然繊維が50%以上含まれていれば受け付け可。また、50%以下でも染色したい場合は成り行き承知の上、要問い合わせ。
KUROZOME REWEAR FROM KYOTO
100年以上の歴史を感じる京都紋付本社。全工程が1カ所で完結するので安全・安心。
事前に送付していた私物のジャケットとパンツを工場で発見。これが元の色の見納め。
たとえるなら巨大なドラム式洗濯機。ここに30〜50着を投入。4時間ほどで染まる。
赤ちゃんが口にしても安心の染料を使用。
染色機投入は職人さんが一点一点、商品を確認しつつ丁寧に行う。デリケートな素材はここでネットに入れてもらえるのがうれしい。
染め上がると巨大な脱水機に入れ替えて脱水。強力な振動により数分で終わる。
脱水後は素材をいたわり、乾燥機は使わず、すべてハンガーに掛けて自然乾燥。数日後、京都紋付秘伝の深黒加工を手作業で行うが、その全貌は企業秘密。期待が高まる。
KUROZOME REWEAR FROM KYOTO
お申し込み、お問い合わせはwww.k-rewear.jpまで