金子恵治さん(クリエイティブディレクター)
ハンドメイドパンツにお金をかける!
バイヤー時代に、イタリアで熟練の職人のハンドメイドの服を見てから、洋服の良し悪しを決めるのは「縫製」という細部なのだと確信しました。だから、縫製のクオリティが高いものには惜しみなくお金をかけたい。中でもナポリで100年以上続くパンツ専業サルト、アンブロージのパンツは世界最高峰。内側を見れば、ひと目で工程数の多いハンドメイドだということがわかります。このテーパードパンツは細身に見えますが、縫製に手縫いならではの“ゆるさ”があるからスッとはけて身体に馴染む。人の身体は立体だから突き詰めれば手縫いがいちばん。手で縫っているという行為自体にもロマンを感じます。
Ambrosi
2カ月前に買ったこのハリスツイード生地のパンツは、伊勢丹がナポリのアンブロージに特別にオーダーした既製品。「工程を省いて効率を求める時代にわざわざ工程を増やしているから、こんなにボタンがついているんです。すべてに理由があってこう作られているので、それを読み解くのもまた楽しい。今度伊勢丹でオーダー会があるときには、採寸してもらってビスポークしようと思います」。
尾崎雄飛さん(SUN/kakke デザイナー)
小物入れにお金をかける!
一流のよさがわからないと一流のものは作れないというのが僕の持論です。だから20代の頃から服だけでなく、小物入れにもこだわってきました。特に革小物などケース類が好きで、見た目も品質もいいものを厳選しています。革小物では’90年代のエルメスの「クシュベル」という革が好きで、この10年ほどでいろいろ買い集め、リップクリームやイヤホン入れにしています。15年ほど前から薬入れに使っているのは京都の老舗、開化堂の携帯用の茶筒。この茶筒は密閉性が高く、僕の常備薬の百草丸を入れるのに理想的なんです。人が見ればどうしてそんなものに…と思うかもしれませんが、僕は価値が見合っていると思えば高価でも躊躇なく買います。
HERMÈS
エルメスの革小物はヴィンテージショップなどでそれぞれ2万~3万円で購入。「凝った製法をサラリと取り入れた革小物を見つけると買わずにはいられません。エルメスは職人のクオリティが高く、遊び心のある小物が多いというところも魅力的です」。
開化堂
匂いが強い百草丸もこれに入れて携帯すれば問題なし。「買った当時は編みの巾着がついていました。茶さじとセットで持ち歩いています」。