
わが子のセレモニーを古ぼけたスーツでやりすごしたくない。ハレの日を、最高のきっかけと考えて新しいスーツを手に入れよう。必要なのは、生地が伸びる機能系でもビッグシルエットでもない。クラシックスーツを自由に解釈した「コンテンポラリー」なものだ。
01:ライトグレーは形と色合わせ次第

うららかな日差しが気持ちいい、春の季節感に合うカルーゾの無地のライトグレースーツ。純白のブロードシャツと、織り柄でニュアンスを出したオフホワイトカラーのネクタイで陽な印象のVゾーンを演出しよう。スーツは、クロージングのトレンド発信源であるイタリアのハイクオリティカテゴリーで、“最もバランスがとれた”と信頼が厚いブランドの定番モデル「aida」。イタリアンクラシックの野暮ったさとマッチョさを抑えたシルエットは、コンテンポラリースーツの手本として長年人気を誇っている。まだ肌寒さも残る頃だから、移動の際にはスプリングコートも忘れずに。
ダブルこそ今っぽさがカギ

上半身にボリュームがつくれるダブルブレステッドスーツは、頼りになる父親キャラの演出にピッタリ。今どき選びたいのは、いわゆる昭和っぽい肩パッドががっちり入ったものではなく、芯地を極力省いた軽い作りのもの。ボタンを外せば軽いはおりもの感覚で着られて、礼装以外にも5ポケットパンツやワイドカーゴパンツなどと相性がいい。Vゾーンは白とブルーの2色でストイックに。間隔の広いドット柄のセンスで個性を立たせよう。スラックスはややワイドなストレートシルエット。立ち姿がかっこいい。
「スクール×トラッド」は相性◎

トラッドは、いつだって着こなしの重要なエッセンス。その代名詞で、略礼装にも使えるメタルボタンの紺ブレザーは、ハレの日にもピッタリ。相性のいいレジメンタルタイを合わせつつ、遠目では無地に見えるギンガムチェック柄のシャツで遊び心を加えて。パンツはグレーがセオリーだが、ブレザーと同色を合わせてもしゃれている。カジュアルな縦長トートは、スリッパや財布、カメラなどの小物、提出書類を持ち運ぶのにちょうどいい。
普通なのに玄人好みなセンスのよさ


迷ったら、紺スーツに白シャツ&ネイビーソリッドタイという基本形で臨みたい。ユーゲンらしいナチュラルな肩まわりと、やや丸みを帯びた形が特徴の「STEVE」は、テーラードの文脈と技術に1940年代のワークジャケットの要素が。スラックスの「Freddie」も、フランスのワークパンツが着想源。コンパクトなレギュラーカラーシャツに、タイをプレーンノットで。靴は王道のプレーントウ。
ニットタイで平凡さを払拭する

わが子が主役となる日にこれ見よがしに目立つことは、良識ある保護者としてはNG。するとどうしても、一様に紺のスーツ&白シャツになってしまいがちだ。でも「無難」「退屈」「平凡」も避けたい。そこで、白シャツ&紺のネクタイでオーセンティックさがありながらコンテンポラリーな印象も手に入るのがシルクニットタイだ。引き締めてくれる存在でありながら、この編み地があるだけで、センスよくしゃれて見える。剣幅が細く、ドライで軽快な見た目は、春先に間違いなくハマる。