春に欠かせない9アイテムにつき、目利きの9人がそれぞれマイベストを選出。ベーシックといえど、9人9様の細やかなこだわり満載で面白い。白シャツは着回しのきく匿名性をとるか、一枚でキマる存在感をとるか。
POLO RALPH LAUREN
「最近はジャストフィットが気分ですが白シャツに限っては別。“ビッグ フィット”のポロ ラルフ ローレンで肩肘張らずに動きやすく過ごしたい。’90年代にアイコニックだったオーバーサイズを、ボタンは一つ開けて、襟のボタンも外してラフに着たいです」
「春夏にこだわりたいのはサイジング。何をジャストフィットにして、何をオーバーサイズで着るのか、フレッシュなバランスを常に探しながら楽しみたい」
BROOKS BROTHERS
「どの年齢や体型にも似合うデザインを追求したパターンを、正確な縫製で仕上げた白シャツ。誰が着てもハズさない安心感がある。アメリカで育てられたスーピマコットンを使用し、柔らかい着心地と丈夫さを兼ね備えています」
「NY出身の自分なりに考える国際的なクラシックが好き。どの国で過ごしても馴染みよく映える服がいい。今季は日本の素晴らしい専業ブランドに多数出会いました」
HERILL
「春夏に一着は欲しい爽やかなリネンシャツ。極細な番手の上質なリネンで織り上げたヘリルのシャツが秀逸です。リネンなのに過剰なシワが出ずに滑らかで、ごわつかずに軽やか。美しい素材とリラックスしたシルエットのコンビネーションもいい。ラフに着られるキレイなシャツです」
「今季らしい新鮮なものと、不朽の名品を組み合わせて大人らしいファッションを楽しみたい。ジャケットやTシャツは今、あらためて定番品に回帰しています」
A MACHINE
「王道の白シャツこそマニアックなディテールに惹かれます。このシャツは小さな穴がランダムにあいていたり、前身頃がセットインなのに後ろのみラグランスリーブになっていたりと、ちょっとした違和感がクセになる。リラクシングなシルエットも今の気分です」
青山にある玄人好みなショップで、新鋭ブランドを多数ピックアップ。「エレガントであることからハズれず、エッジのきいたデザインを軽快に着たい」
Y
「とても実用的なYの白シャツ。i-Phone pro maxが余裕で入る大きな胸ポケットや、アイロンをかけずに洗いざらしで着られるタイプライター素材と、使いやすさにこだわりがあります。それ以外は何のクセもないデザインで、身幅はゆったり着られるワイド。チノパンやデニムにさらりと合わせたい」
「そもそも僕のワードローブは白シャツ・デニム・ジャケット…のような王道の組み合わせ。その一点ずつを、いかにブラッシュアップするかが勝負です」
JAN MACHENHAUER
「デンマーク発のヤン マッケンハウアー。とにかく端正な仕立て、柔らかくもコシはある生地、その絶妙なあんばいがヨーロピアンな佇まい。小ぶりの襟もちょうどよく、ノータイでジャケットをはおるときにはドレスライクになりすぎずに抜け感が生まれます」
「’80sのプレッピーを、今っぽく削ぎ落としたスタイルが気になる。ヨーロッパのお坊ちゃんのようなスクール風のアイテムや上品な配色に注目しています」
UNLIKELY
「一枚でもジャケットの中に着るにもちょうどいいサイジングのBDシャツです。個人的にはデニムやウールのスラックスに合わせ、タイドアップしてアメリカントラディショナルを楽しみたい。襟元はボタンを一つ開けて、タイは緩めるくらいの着崩しもいいですね」
「マイブームはアメリカントラディショナル。スタイリングのセオリーやキーアイテムを大事にしつつ、ディテールには現代の感覚を加えてアップデートしたい」
NONNOTTE
「太番手の糸を超高密度で織り上げた張りとコシのあるヘビーブロード生地の迫力に驚きました。肉厚な素材に対して、ふんわり広がるボックスシルエットのバランスも絶妙。シャツジャケット感覚でも着られます。デザイナーのこだわりをダイレクトに感じる、存在感ある白シャツです」
人気ブランドsteinのデザインを手がけ、セレクトショップcarolを主宰。「現代的なソリッドさと、ブランド独自のほのかなニュアンスを併せ持った服が好き」
COMME DES GARÇONS SHIRT
「ギャルソン シャツの“FOREVER”は大定番でありながら、着ている人がどんな仕事をしているのかわからない匿名性のあるデザインが好き。艶のあるコットンポプリン素材の上品さも好み。いつも制服のように着たいシャツですね」
ファッションを中心にデザインのコンサルティング、プロダクションを行う会社の代表。「作り手の個性を感じる、縁起のいい服が好きです」