春に欠かせない9アイテムにつき、目利きの9人がそれぞれマイベストを選出。ベーシックといえど、9人9様の細やかなこだわり満載で面白い。ブルーデニムは単なるヴィンテージ回帰ではなく「語れる」ひと工夫が欲しい。
SCYE BASICS
「やや太くきれいに落ちるサイのワイドデニムを愛用中。洗うほどに柔らかくなり少しの褪せ感が出てくるのがポイントです。アメカジではなく、あくまでキレイなスタイルに好相性で、トップスはコンパクトに、足元はチャッカブーツがいいですね」
「春夏にこだわりたいのはサイジング。何をジャストフィットにして、何をオーバーサイズで着るのか、フレッシュなバランスを常に探しながら楽しみたい」
LEVI'S® VINTAGE CLOTHING
「1955型のLevi’s®501が傑作。裾幅が太く、角ばったシルエットはテーラードジャケットとの相性が抜群です。この、加工をいっさいせずに織り上げたままの生地はまるでデッドストック。自分で育てる楽しみもありますね」
「NY出身の自分なりに考える国際的なクラシックが好き。どの国で過ごしても馴染みよく映える服がいい。今季は日本の素晴らしい専業ブランドに多数出会いました」
OUTIL
「ウティの“PANTALON BOUDES”は大きい後ろ身頃と小さめの前身頃を合わせた一本。パンツを作る者として衝撃を受けました。“デカパン”をウエストで絞ってはくカッコよさがありますが、これはただサイズを上げただけのようなもたつきがない。きれいにサイドに張り出します」
「今季らしい新鮮なものと、不朽の名品を組み合わせて大人らしいファッションを楽しみたい。ジャケットやTシャツは今、あらためて定番品に回帰しています」
KARTIK RESEARCH
「近未来的なエッセンスとインドの伝統技術が融合する、カーティック リサーチ。LVMHプライズのセミファイナリストにも選ばれています。古着を解体して再構築したパターンに小さな鏡のパーツが幾何学的に施されたインドムードのデザインに心が躍りました」
青山にある玄人好みなショップで、新鋭ブランドを多数ピックアップ。「エレガントであることからハズれず、エッジのきいたデザインを軽快に着たい」
RE-PURPOSE
「その名も“502.5”。フロントは501でバックは505のパターンです。はくとその中間くらいの程よいテーパードになり、’90年代に流行した大ぶりのバックポケットもポイント。パリッとさせてもいいけれど、僕は洗いながらナチュラルな色落ちを楽しみたいです」
「そもそも僕のワードローブは白シャツ・デニム・ジャケット…のような王道の組み合わせ。その一点ずつを、いかにブラッシュアップするかが勝負です」
GAP
「アメリカ本国モデルの“ウォッシュウェル バギーデニム”。主張の強くない適度なバギーシルエット、のっぺりしたマットな色落ち、素っ気ないデザイン…こういう、ある種普通な一本こそなかなか見つからない。ノンストレッチというクラシックさも含めて、すごく惹かれます」
「’80sのプレッピーを、今っぽく削ぎ落としたスタイルが気になる。ヨーロッパのお坊ちゃんのようなスクール風のアイテムや上品な配色に注目しています」
UNLIKELY
「ジャストサイズが気分。太すぎず細すぎず、ややテーパードしたデニムがはきやすい。ステッチの色使いは’50年代、股上の深さやフロントジップは’60年代、生地は’70年代…と、ヴィンテージのアーカイブから自分が思う“おいしいところ”を抜き出して編集したモデル」
「マイブームはアメリカントラディショナル。スタイリングのセオリーやキーアイテムを大事にしつつ、ディテールには現代の感覚を加えてアップデートしたい」
PROTOTYPES
「平面的なパターンで作られていて、フロントから見るとワイドだが横から見るとやや薄いシルエット。その違和感がユニークです。サイドに白く出るデニム地のつなぎ目や裾の処理を含め、個性的なのに派手すぎないバランス感覚にセンスを感じます」
人気ブランドsteinのデザインを手がけ、セレクトショップcarolを主宰。「現代的なソリッドさと、ブランド独自のほのかなニュアンスを併せ持った服が好き」
CELINE
「この“ウェスリー ジーンズ”は腰まわりがコンパクトでそのまま落ちるミニマルなパターン設計が気に入りました。ウォッシュしてから裾をほどく加工も面白い。これまでデニムを避けてきた自分が、久しぶりに気に入ったセリーヌのデニム」
ファッションを中心にデザインのコンサルティング、プロダクションを行う会社の代表。「作り手の個性を感じる、縁起のいい服が好きです」