春に欠かせない9アイテムにつき、目利きの9人がそれぞれマイベストを選出。ベーシックといえど、9人9様の細やかなこだわり満載で面白い。春ニットはひとクセあるミドルゲージか、品のいいハイゲージの二択。
MAISON MARGIELA
「メゾン マルジェラの“アイコンズ”コレクションから、この春はミドルゲージに注目。ふっくらした編みと襟元のボリュームにかわいげがあります。これをコンパクトなフォルムで着て、ワイドデニムを合わせると新鮮なバランス」
「春夏にこだわりたいのはサイジング。何をジャストフィットにして、何をオーバーサイズで着るのか、フレッシュなバランスを常に探しながら楽しみたい」
VANDORI
「45年以上、ニットに携わるクリエイティブディレクターによる専業ブランド、ヴァンドリ。コットン素材には珍しいケーブル編みとカラーコンビネーションで、今シーズン最も興味深い一枚です。編みが美しく、クラシックなワードローブにも馴染みます」
「NY出身の自分なりに考える国際的なクラシックが好き。どの国で過ごしても馴染みよく映える服がいい。今季は日本の素晴らしい専業ブランドに多数出会いました」
UN-USELESS
「スウェットとニットのいいとこどりをしているアンユースレスの“スニット”。ミドルゲージにありがちな重さによるダレや首のヘタレがまったくなく、ガシガシ着られます。スウェット感覚の気軽さで、ニットの上品さも併せ持っているのがうれしい」
「今季らしい新鮮なものと、不朽の名品を組み合わせて大人らしいファッションを楽しみたい。ジャケットやTシャツは今、あらためて定番品に回帰しています」
RIER
「リアはオーストリアのエッセンスを感じるブランドで中性的な雰囲気が魅力。メンズなのにぴったりジャストサイズで、変形のクルーネックも攻めている。ルーズな古着のワークパンツにこのニットをタックインして、ギャップのある組み合わせを楽しみたい」
青山にある玄人好みなショップで、新鋭ブランドを多数ピックアップ。「エレガントであることからハズれず、エッジのきいたデザインを軽快に着たい」
CORGI × L'ECHOPPE
「コーギーの工場に偶然残っていた糸で作られたエクスクルーシブなニット。美しい光沢のあるコットンが特徴です。肩の落ちるセットインスリーブでスウェットライクな丸みに対して、袖や裾のリブがしっかり締まっている。メリハリのあるフォルムが好みです」
「そもそも僕のワードローブは白シャツ・デニム・ジャケット…のような王道の組み合わせ。その一点ずつを、いかにブラッシュアップするかが勝負です」
JOHN SMEDLEY
「シーアイランドコットンの定番ハイゲージ。中でも“SILVER”の色を。白Tと重ね、サンドベージュのチノパンを合わせ、コントラストの低いスタイルで鮮度を出したい。編み立ては老舗ならではのクラシックな風合いで、プレッピーに着るにも最適です」
「’80sのプレッピーを、今っぽく削ぎ落としたスタイルが気になる。ヨーロッパのお坊ちゃんのようなスクール風のアイテムや上品な配色に注目しています」
A.PRESSE
「程よくゆとりのある身幅、詰まったネック…すべてのバランスが素晴らしい。肌触りも滑らかで心地よい。毎年、買い足しているマイ定番ですが、今年はトップグレーを追加。グレーのトロピカルウールのスラックスと合わせ、爽やかな同系色スタイルを楽しみたいです」
「マイブームはアメリカントラディショナル。スタイリングのセオリーやキーアイテムを大事にしつつ、ディテールには現代の感覚を加えてアップデートしたい」
CRISTASEYA
「ブランドお馴染みの和紙シリーズですが今季は編み方に惹かれました。編地を表に出した凹凸感によって奥行きが生まれ、ドライタッチかつ膨らみ感もあり表情豊か。ゆとりある身幅に対してすっきりした短丈のバランスも絶妙。シンプルながら味わい深い一着です」
人気ブランドsteinのデザインを手がけ、セレクトショップcarolを主宰。「現代的なソリッドさと、ブランド独自のほのかなニュアンスを併せ持った服が好き」
SUNSPEL
「英国企画のサンスペルの一枚が名品。首まわりのスマートなデザインが特徴で、一枚でサマになる。上質なシーアイランドコットンを贅沢に使用しているから光沢があり柔らか。トレンドにとらわれずワードローブに残り続けるニットです」
ファッションを中心にデザインのコンサルティング、プロダクションを行う会社の代表。「作り手の個性を感じる、縁起のいい服が好きです」