
仕事着のカジュアル化が進み、 スーツやネクタイが縁遠くなった人も少なくない。今あらためてアップデートするときに身につけておきたい、感性やマナーとは。実際にわが子のハレの日を経験した父たちが語り合った。
服好き父たちのクロストーク|先輩! どんなスーツを着ましたか?
「正直、まだ卒入スーツは迷子です(笑)」

「幅広い用途に使えて普段着感覚もある」と、2年ほど前に十数万円で新調した、ユーゲンのネイビースーツ。上質梳毛による緩やかなシルエットが優しい。
「あくまで子どもが主役。とがりすぎは注意したい」

「ほかにない色を」とナポリのテーラーに約50万円でオーダー。えび茶色のコットンスーツがボディラインに自然と沿う。タイの柄とチーフで個性を出すのが安武さんらしい。
「ちゃんとした仕立てで、軽いスーツがいい」

自身が手がけるリップラップのスーツは約14万円。春らしいブラックリネン素材が特徴。「少しボクシーな形のジャケットにストレートパンツ。使い勝手がいいんです」。
ハレの日スーツのアリナシは パンツのクリースにアリ!?
安武 この春、初めて娘の小学校入学を迎えます。
西野 ウチも同じです。池田さんは経験ずみなんですよね。どう乗り越えてきましたか?
池田 乗り越えてない(笑)。自分でも正解はわからないんですよ。こういうスーツってなんで難しいんだろう。
安武 お二人はダークスーツですね。
池田 いや、迷子だった経験があってのコレですよ。無難だけどシルエットが優秀だなって。昔はアダム キメルのブレザーを着ていったり、少しとがってましたから(笑)。
西野 自分はブランドでスーツを作っているので間違えられない(笑)。
池田 安武さんの茶色いスーツは、気張りがないけどしゃれてますね。
安武 僕の住んでいるところは、わりとコミュニティが密で職業も知られてますから。少しとがっても許されるんです(笑)。でも、小学校では新顔なので、やりすぎは注意ですね。
西野 われわれって職業柄ビジネススーツを着用しないので、セットアップを着るときって少し考えちゃいますよね。
池田 そういう読者も多いでしょうね。
安武 冒険しろ、とは言えませんから。トレンドのストレッチスーツは選択肢としてどうですか?
池田 普段スーツを着ない人には、手軽で万能ですよね。以前知人にも聞かれて、NGとは言えませんでした。ただ仕事着感が強めかもしれないなと。
西野 ストレッチスーツはピンからキリまでありますけど、スーツを作っている身からすると、毛芯入りのテーラードを推したい。
安武 結局、3人ともそうなってる。
西野 カジュアルなテーラードセットアップはどうですか。ユルいものやワークテイストも見かけますが。
池田 ブランドや仕立て、素材次第ですね。とはいえ、確かなテーラーリングによるスーツを選んでいる僕らは多数派ではないのかもですが。
安武 でも、一生に何度かのハレの場ですからね。校門の前でわが子と撮る姿はカッコよくありたいし。適度に個性は出したいけど、主役は子ども。
西野 手前みそですが、自分のスーツはそんな人用です。
池田 リップラップは、堅すぎないけど、スーツをわかっている人が作った確かな作り。着心地とシルエットのバランスがいい。
西野 ありがとうございます(笑)。
安武 正解はもちろんないけど、控えめにでも、ハレの場を楽しむというマインドは重要でしょうね。
池田 だから、タイドアップはなしでもOK。上質なニットポロやハイゲージニットのカットソーなら清潔だし。
安武 カジュアルダウンする際、パンツのクリースが重要な気がします。
西野 ポイントを押さえれば楽しめるんですね。お二人はチーフを挿してる。
安武 チーフはハズシの点では、もってこいじゃないですか。
池田 ストレッチスーツやカジュアルセットアップもいる中で、正統なスーツが映えることは間違いなさそう。
西野 ラクな服装が好まれる時代だけど、普段ズボラな親父こそハレの日くらいはキチッとしたいですね(笑)。