人気メガネショップに聞くと、「今いちばん売れている」のがユウイチトヤマ。’17年のスタート時からコアなファンに支持されていたが、今ではトップブランドに。デザイナー外山さんへのインタビューから、広く愛されている理由に迫る。
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YUICHI TOYAMA:5
プレステージラインの新モデル「BASTILLE」。精緻に仕上げたインナーリムが美しく、オリジナルパーツのみを使ったフレームで最高のかけ心地を追求した。蝶番には六角ネジを採用しており、カード型のドライバー付き。¥92,400/ユウイチトヤマ(アトリエサンク)
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YUICHI TOYAMA/D
ジャパニーズモダンがコンセプトのライン。伝統的な家紋に着想を得たヘキサゴン型のレンズシェイプ「IGETA」。¥39,600/ユウイチトヤマ(アトリエサンク)
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YUICHI TOYAMA.
メインコレクション。「V.Georg」は2本の線をベースにしたダブルダッチ構造と、柔和なフォルムが特徴。¥52,800/ユウイチトヤマ(アトリエサンク)
顔に馴染むけど少しだけ個性が出るその微妙なバランスを狙っています
「YUICHI TOYAMA.には3つのラインが存在しています。メインコレクションは、ブランド全体のコンセプトであるニュートラルを意識したデザインが特徴。次にYUICHI TOYAMA/Dは、ジャパニーズモダンをテーマに掲げ、デイリーユースできるシンプルなデザインを提案しています。そしてYUICHI TOYAMA:5は、2年前にスタートした5名の最高の職人さんとタッグを組んで制作しているプレステージラインです。こちらはたくさん本数を作れないため、現在は完売や予約待ちになっているモデルが多い。どのラインにも共通しているのは、完成されたヴィンテージに勝るかけやすさと独自のデザインをいかに突き詰めていくかです。伝統的な技術を引用することはよくありますし、クラシックなモチーフについても日々探求していますが、デザイン先行でかけ心地が悪いものは絶対に作りたくない。着用感や機構を邪魔しない、理にかなったデザインかどうかを精査していて、年間500枚以上スケッチすることもしばしば。また、見た目の新しさを考えるうえで、きめ細かなアレンジを加えています。例えば、フレームの上に角を出したら下は丸みをつけてカッティングしたり、テレビのブラウン管に似た形状の“テレビジョンカット”を採用するときはフレームをいかに美しく見せるかを試行錯誤。一方でインナーリムに0.5~0.7㎜という細かなレベルでの調整をかけ、カッティング手法を検討しながら、時には独自の方法を編み出すことも。伝統的な製法だけではなく、3Dマシンのような最新の機械を取り入れたほうがこれまでにない丸みを出せるパーツもあります。お客さんには、お店で試着する際に、今まで挑戦してこなかったフレームだけど想像以上に似合ってる!という体験をしてもらいたい。顔に馴染みながら少しだけ個性が出る、そんな繊細なデザインを常に追い求めています」
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外山雄一
YUICHI TOYAMA. デザイナー
鯖江市のメガネメーカーから独立後、2009年に立ち上げた自身のブランド「USH」を引き継ぐ形で’17年に「YUICHI TOYAMA.」をリスタート。「見る、考える、描く、作る、壊す」のステップを根幹にデザインするメガネは独創的かつタイムレス。
Text:Takako Nagai